所有事業者：防長交通 （山口）
仕様・用途：都市間夜行高速路線仕様 （高速 「萩エクスプレス」 号に充当）
登録番号：山口２００ か １０７２
初年度登録：２０１６年
シャシー製造：日野自動車
搭載エンジン：日野Ｅ１３Ｃ〈ＥＴ-Ⅹ Ⅵ〉型
車体架装：ジェイ・バス小松
車両型式：ＱＲＧ-ＲＵ１ＥＳＢＡ
車名：日野セレガ・ハイデッカ
撮影日：２０２０年２月１２日 （水曜日）
撮影場所：東京駅日本橋口
乗り鉄をしに東京駅に向かいました。
東京駅に着くと、萩からの夜行高速路線バス 「萩エクスプレス」 が到着していました。説明するまでもなく、防長交通が担当していますが、見慣れないカラーだな。新車かな？
調べてみたら、１０７２号車は４年前に導入された車のようですが、この車の導入によって、在来車のセレガＲ ＧＤが引退したとのこと。と同時に最後まで残っていた 「カルスト」 カラーが消滅したことになります。
「カルスト」 号といえば、１９９０年８月から運行を開始した夜行高速路線バスで、大阪－徳山・萩間が最初の区間でした。秋吉台を描いたダイナミックなカラーデザインで、近鉄バス （当時は電鉄直轄だった） と防長交通とでデザインが異なっていました。
防長交通の 「カルスト」 カラーが首都圏に進出したのは、 「カルスト」 運行開始の４ヶ月後で１９９０年１２月のこと。横浜－徳山間の運行で 「ポセイドン」 号と命名されました。共同運行会社は相模鉄道 （現、相鉄バス） で、相鉄は三菱エアロクィーン・Ｍ、そして防長交通は期待通り、 「カルスト」 カラーの車を持ってきましたが、当時最新鋭の日野セレガＧＤでした。因みに、 「カルスト」 の近鉄車は日野グランデッカだったんですが、防長は 「カルスト」 でもセレガだったのかな？
「ポセイドン」 運行開始の３年後、１９９３年４月に京浜急行電鉄 （当時） と防長交通が品川・浜松町－萩間に 「萩エクスプレス」 号の運行を開始、さらに同年１１月、京急と防長は品川・浜松町－岩国・徳山間に 「アルバ」 号の運行を開始し、 「ポセイドン」 は事実上、吸収される形で廃止されてしまいました。 「ポセイドン」 は僅か４年の儚い命でした。
１９９８年には運行区間が被る 「萩エクスプレス」 と 「アルバ」 を統合し、それぞれの経由区間を全てカバーする一方で、横浜には立ち寄らなくなりました。
京急は組織改編 （京浜急行電鉄→京浜急行バス→羽田京急バス→京急観光バス） など様々な紆余曲折を経た後、２００７年６月に京急が撤退し、防長交通単独の運行となりました。そしてその２ヶ月後、東京側の出発地が品川バスターミナルと浜松町バスターミナルから東京駅に変更し、乗車予約や運行支援等は京急からＪＲバス関東に移管されました。それが現在の 「萩エクスプレス」 になるのですが、２０１５年に新車が導入されて、長らく運行の中枢にあったスーパーハイデッカーからハイデッカーに置き換えられました。スーパーハイデッカーは予備車で残りましたが、画像の１０７２号車の導入で姿を消したというわけです。
「萩エクスプレス」 に限らず、どこの夜行高速路線仕様車も軒並みハイデッカーを導入するようになりました。それは今に始まったことではありませんが、長らくスーパーハイデッカーを導入してきた便にとっては、 「格落ち」 は否めず、これで東京－山口間を乗るのはやっぱり地獄なのかなって思ったりします。
そうそう、 「萩エクスプレス」 は山口便も東京便も渋滞による遅延の常習便で、東京駅に到着する他の夜行高速路線便は概ね定時か、少し早く到着するのが普通なんですけど、 「萩エクスプレス」 は毎度毎度遅延しますね。この日は運良くほぼ定時かなと思われますけど、あれは７年前のお盆、山口方面行きの便は朝の６時前に滋賀県にいました。定時刻ですと、６時過ぎには広島の大竹にいないといけません。なのに６時前でまだ滋賀県。その先の行程が心配されました。鉄道も何かトラブルが起きると、それだけ遅延が生じますが、路線バスもまた、事故や工事、あるいは盆暮れなどの交通集中で渋滞が生じると、それだけ運行時間が延び、後々の行程に多大な影響が及びます。その７年前のお盆ですが、私が乗った王寺行きの 「プレミアム・ドリーム」 も渋滞で大幅に到着時刻が遅れ、以降の行程は全て変更になったのを思い出しました。
こういう長距離便にこそ、取って付けたような夜行仕様ではなくて、ゆったり出来るホスピタリティの車を導入すべきだと思いますね。
【参考文献・引用】
年鑑バスラマ２０１５→２０１６ （ぽると出版社 刊）
クラリオンバス危機ニュース別冊１８ 「ＴＨＥ ＨＩＧＨＷＡＹ ＢＵＳ ’９４」 （クラリオン社 刊）
高速バス時刻表 ２０１９～２０２０冬春号 （交通新聞社 刊）
ウィキペディア （カルスト号、萩エクスプレス号）