今回は、「ゆりかもめ」や「アストラムライン」などの運転士を必要としない世界初の無人運転システムを先駆けて導入した神戸新交通ポートアイランド線についてご紹介させていただきます。
お台場エリアの足として活躍中の「ゆりかもめ」
広島市街地の新しい足である広島高速交通「アストラムライン」

では、どうぞご覧下さい。
1981年2月5日に、神戸新交通ポートアイランド線が開業しました。
神戸新交通ポートアイランド線は、三宮駅(写真は三宮駅前)からポートアイランドを経由し神戸空港駅までを結ぶ、神戸新交通の自動案内軌条式旅客輸送システム (AGT) 路線で、中公園駅、市民広場駅を経てポートアイランド沖の神戸空港駅に至る路線と、市民広場駅から分岐して北埠頭駅を経て中公園駅へ合流する路線から構成されています。
遊園地の遊具などで導入されていましたが、本格的な無人運転システムは神戸新交通ポートアイランド線が先駆けで、1983年12月には埼玉新都市交通、1985年4月に西武鉄道山口線レオライナー(上写真)など各地にも導入されました。
運転士を必要としない世界初の無人運転システム(開業当初は添乗員が乗務)で、全駅に日本で初めてのフルスクリーンタイプのホームドアの設置や最小曲線半径 30m、56パーミルの急勾配など、AGTの性能を最大限発揮した線形となっており、既存市街地では高層ビルや高速道路などを縫うように軌道が敷設されています。
フルスクリーンタイプのホームドア
全線高架のため駅のホームから改札まで離れている
神戸港沖に建設された人工島「ポートアイランド」と神戸市の中心地の三宮を一方通行の環状運転で結ぶ軌道系交通機関として建設され、1981年2月5日に日本初の実用的な新交通システムかつ世界初の自動無人運転方式として開業しました。

1995年1月の阪神淡路大震災では、液状化現象による基礎の損壊や地盤の軟弱化が確認され、車両基地でも損傷を受けたほか、三宮駅とポートターミナル駅では駅舎が傾いたり大きな損傷、案内軌条や電気設備にも大きく損傷した箇所があり、復旧は困難を極めましたが、1995年7月31日に195日ぶりに全線が開通となり、9月11日には震災前のダイヤに戻され、全線が復旧しました。
現在のポートターミナル駅
その後、2006年2月16日の神戸空港の開港に先立って、神戸空港駅まで同年2月2日に延伸・複線化し、現在の路線の形となっています。
主力車両の2000型は、神戸空港開港に伴う延伸をにらんで、2006年に実に25年ぶりとなる新車として3編成が運用開始、2008年3月下旬からは改良型が登場、全17編成102両が活躍しています。
2016年3月19日からは、2020型が営業運転を開始、バリアフリー化や省エネ性を向上させたマイナーチェンジ車両で、全2編成12両保有しています。
三宮駅直前の急曲線が運転時分に大きく影響していることから三宮駅を移設する構想、新神戸駅への延伸構想、神戸空港島に車両基地を新設し8両編成化する構想、神戸空港西側の旅客営業を行うための延伸構想などがありましたが、神戸新交通の財政悪化などにより計画は白紙に
しかし「神戸の都心の『未来の姿』検討委員会」や「三宮構想会議」などでこれらの構想が再浮上しつつあり、今後の動向から目が離せませんね。

今回も最後までご覧下さり、ありがとうございました。

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