横浜「上瀬谷ライン」の概要。上瀬谷通信施設跡へ、2027年開業目指す

瀬谷~上瀬谷間2.8km

横浜市の米軍上瀬谷通信施設の跡地と相模鉄道瀬谷駅を結ぶ新交通システム「上瀬谷ライン」の概要が判明しました。2022年の事業着手を目指します。

広告

旧米軍通信施設の開発にあわせ

横浜市の旧米軍上瀬谷通信施設は、横浜市旭区と瀬谷区にまたがっていた、在日アメリカ海軍基地の施設跡です。総面積240万平米に及ぶ広大な土地で、2015年6月30日に日本へ返還されました。

この旧上瀬谷通信施設では新たな土地利用による開発が予定されていて、そのアクセス手段として建設されるのが「上瀬谷ライン」(仮称)です。相鉄本線瀬谷駅周辺から旧上瀬谷通信施設跡地の間に、中量軌道輸送システムを整備します。

横浜市は、旧上瀬谷通信施設の開発で国際園芸博覧会(花博)やテーマパークの誘致などを目指しており、上瀬谷ラインは、それらの利用客へのアクセス手段となります。また、横浜市郊外部の新たな活性化拠点の形成に資することも目的としています。

広告

上瀬谷ラインの計画概要

上瀬谷ライン計画について、横浜市は2020年1月24日に環境アセスメントの計画段階配慮書を公表しました。それによりますと、上瀬谷ラインの総延長は2.8kmで、全線複線です。起点となる瀬谷駅と、旧上瀬谷通信施設に終点の上瀬谷駅(仮称)を設けます。上瀬谷駅の先には車両施設(5ha)も整備します。

上瀬谷ライン計画図
画像:(仮称)都市高速鉄道上瀬谷ライン整備事業に係る計画段階配慮書

路線はほぼ環状4号線(上瀬谷線)に沿って作られます。事業は南区間(約1.9km)と北区間(約0.9km)に分けられ、南区間は地下式または高架式。北区間は地表式または高架式で、上瀬谷駅を含みます。車両基地は地表式です。

上瀬谷ライン計画図
(仮称)都市高速鉄道上瀬谷ライン整備事業に係る計画段階配慮書

案1では、南区間が地下式、北区間が地表式。案2では南区間が高架式、北区間が地表式。案3では南区間が地下式、北区間が高架式。案4では南区間、北区間とも高架式となっています。

事業スケジュールは2019年度から2021年度までが着工準備期間とされ、都市計画や環境影響評価などの手続き、国との協議などが行われます。事業期間は2022年度から5年程度を想定しています。したがって、現時点の開業予定は2026年度ということになります。年度末なら2027年3月ということになります。

旧上瀬谷通信施設での花博は2027年3月~9月の開催を目指していますので、開催されるならそれに間に合わせる必要があります。

広告

採算面の検討は?

気になるのは、「中量軌道輸送システム」が、実際にどのような交通方式になるかという点です。

計画段階配慮書では「新交通システム(AGT)、都市モノレール、LRT 等」を候補して挙げた上で、「具体的な中量軌道輸送システムの種類や構造形式については、周辺環境への影響や経済性等を総合的に比較検討し、決定します」と記されました。実際には、横浜シーサイドラインと同じAGTの導入が有力視されているようです。

複線で整備され、東京ドームの面積に匹敵する5haもの車両基地が建設されるのもポイントです。

2駅間を結ぶ2.8kmの路線に複線や5haもの車両基地はオーバースペックで、この路線が将来の延伸を想定して建設されることを示しています。延伸について配慮書に記載はありませんが、横浜線の十日市場駅や長津田駅が延伸先の候補として想定されています。

需要や採算面の検討も気になりますが、そうした情報は、はっきりとした形で公表されていません。採算性は整備方式によっても異なるでしょう。それらの情報公開も待たれます。(鎌倉淳)

広告
前の記事羽田~イスタンブール直行便時刻表。ANAとターキッシュエアが開設へ
次の記事羽田~ミラノ・ローマ線の時刻表。ANAとアリタリアがイタリア直行便!