【石炭輸送】高崎線・秩父鉄道直通の石炭貨物列車が運転終了へ・40両の長編成も

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現代の貨物列車では、コンテナ貨物がほとんどとなっており、それ以外も石油輸送がほとんどです。

現代で残る貴重な石炭輸送で、多くの貨物列車ファンを魅了してきた関東圏の5764列車〜5783列車が運転を終了することが明らかになっています。

高崎線を走る長すぎる貨物列車としても知られていたこの貨物列車を振り返ります。

秩父セメント〜太平洋セメントの石炭輸送

日本各地で石炭の採掘・輸送が盛んに行われていた時代こそあるものの、現代では石油エネルギーに代替される形でその姿を見かけることはほとんどなくなりました。

JR貨物と秩父鉄道では、長年に渡り川崎港・扇町駅を起点に鶴見線・南武支線・武蔵野線・高崎線・秩父鉄道線を経由して武州原谷駅の太平洋セメント(旧・秩父セメント/秩父小野田セメント)への石炭輸送が続けられてきました。

ホッパ車と呼ばれる貨車を使用しており、この形態の貨車自体がレール敷設用の砕石=バラスト輸送以外で見かけることはほぼなくなっていますが、この石炭輸送では専用形式ホキ10000形が使用されています。

今ではJR貨物と私鉄を直通する貨物列車自体が貴重なものとなっていますが、この石炭輸送はほぼ毎日運転されており、高崎機関区・現在は新鶴見機関区の人気機関車が充当される日には、多くのファンが沿線に足を運ぶ人気の列車でした。

この列車ですが、昨年末発表された2020年3月14日のダイヤ改正にあわせて運行を終了することが明らかになりました。

近年は一通り専用貨物列車の整理が行われ、今残っている列車は固定の大口荷主がいるから当面安泰……と考えていたファンの方も多かったようで、驚きの声が上がっています。

今回の石炭輸送列車の運転終了により、130年もの歴史を持つ鉄道石炭輸送が遂に終焉となります。

炭鉱から港への輸送ルートとして鉄道敷設が行われた歴史を持つ路線も多くありましたので、鉄道の歴史においては大きなターニングポイントとも言えるでしょう。

ファンから大人気!伝説の41両編成

今回運転を終了する石炭輸送ですが、その運行形態も面白いものでした。

現代の石炭輸送は輸入した石炭と秩父原産の石灰石をあわせてセメントを作るために運行されていました。

秩父鉄道線内では、1日20両の貨車を10両ずつに分け、1日2往復の体制となっています。

一方でJR貨物では、積載している下り列車は20両の専用列車として仕立てられていた一方で、上り列車は高崎線岡部駅にある新日本石油岡部油槽所から運転されていた、石油輸送用タンク車の空車が後ろにぶら下がるという体制が長く続けられてきました。

そのため、最大でEF65形+ホッパ車20両+タンク車20両という長大編成が組まれたことでも有名でした。

機関車+貨車40両の41両編成が組まれると、東海道新幹線の全長400mを凌ぐものとなりました。

現在はこのような体制は解消されていますが、この体制が解消された理由はもちろん「編成長が長すぎるから」という至極妥当な理由でした。

空車の列車番号が石油輸送貨物と連番の5760番代、積車の列車番号が後述の安中貨物やワム80000形の製紙輸送などと同様に、5780番代という点が辛うじてその違いを継承しているものと言えるでしょうか。

運転時刻も年々変化をしており、貨物時刻表が発売されるとファンは一喜一憂していました。

関東圏では“安中貨物”が運行継続中

JR線を走行する専用貨物列車としては、現在も継続している“安中貨物”が有名です。

これは、常磐線・高崎線・信越線を経由(かつては両毛線・水戸線経由)して群馬県安中駅まで走行する貨物列車です。

東邦亜鉛小名浜精錬所から同社の安中精錬所まで、亜鉛精鋼・亜鉛焼鉱を輸送している貨物列車です。

長年に渡りJR東日本が運行を受託していたことでも有名で、JR東日本のEF81形・EF510形が牽引していたことで多くのファンに注目されていました。

EF510形500番台がJR貨物に譲渡されることとなり、常磐線で実施されていた貨物輸送の委託が解消。北海道新幹線開業で青函トンネルを追い出された、EH500形“ECO POWER 金太郎”の新たな活躍の場となっています。

タンク車であるタキ1200形は、2010年,2011年に亜鉛焼鉱輸送用に新造されて置き換えられたばかりであるほか、同じく編成を組むトキ25000形も1999年に製造された車両ですので、今後も当面は運行される可能性が高い列車です。

旅客輸送に比べて注目がされない貨物列車ですが、コンテナ貨物の利用が伸びる一方で、貴重な専用貨物の残党は確実に減りつつあります。

高崎線系統だけでも、“黄タキ”“白タキ”などの賑やかな貨車が連結されていた上越線方面の3881列車〜3880列車、ワム80000形の紙輸送5789列車〜5788列車がここ10年で姿を消しています。

モーダルシフトが叫ばれる昨今、JR貨物の新たな専用貨物列車の登場にも期待したいところですね。

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