増結も丹波路快速格下げとJR難波で快速減便へ JR西日本近畿統括本部ダイヤ改正(2020年3月14日)

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JR西日本近畿統括本部は2019年12月13日、プレスリリースにて2020年3月14日にダイヤ改正を行うと公表した( 2020年3月14日にダイヤ改正を実施します )。今回はこれについて見ていく。

2020年3月14日ダイヤ改正まとめはこちら!

1. 「はるか」増結と「くろしお」日根野全停車へ!

今回の2020年3月14日JR西日本近畿統括本部ダイヤ改正では、関空特急「はるか」と紀勢本線特急「くろしお」で輸送改善を図る。

まず関空特急「はるか」はこれまで大半を6両編成で運転していたが、今回のダイヤ改正に合わせ新型車両271系を投入したことにより全列車で9両運転が可能となった。この増結により指定席が1両、自由席が2両増えたが、新型車両271系が入り得る7号車~9号車は全列車全日各車自由席となっている。指定席券を買ってもあと5年でお陀仏になりそうな車両しか座席が確保できないのは如何なものかと思うが、ある意味乗り得列車が誕生したような気もする。

このほか紀勢本線特急「くろしお」は全列車が日根野に停車することになり、関西空港へのアクセスを改善する。やっていることがお隣の南海「サザン」と同じなのだが、和歌山県民が飛行機に乗るには1日2往復の日本航空の羽田便しか飛ばない南紀白浜空港より、国際線やLCCも飛んでいて日本国内も全国各所に行ける関西空港を利用した方がはるかに利便性が高いため、関西空港へと分岐する日根野への特急「くろしお」全停車は和歌山県民にとって大きな利益になるものと思われる。




2. JRゆめ咲線で増発へ!

また今回の2020年3月14日JR西日本近畿統括本部ダイヤ改正では、JRゆめ咲線で増発を実施する。

このJRゆめ咲線の増発はあらかじめ事前に公表されていたもので、今回のプレスリリースではその詳細を公表した。

今回のダイヤ改正では、JRゆめ咲線では平日朝ラッシュ時に2本増発する。増発するのは西九条~桜島間の線内運転電車で、大阪乗り入れは行わないこととなった。

また、土休日の増発は行わない。




3. JR宝塚線で区間快速本格導入へ

また今回の2020年3月14日JR西日本近畿統括本部ダイヤ改正では、JR宝塚線で区間快速を本格導入する。

厳密にはJR宝塚線には昼間に塚口発着の区間快速を運転しているのだが、JR宝塚線内は1駅間しか運転がなく学研都市線・JR東西線からの折返しのためだけの運用のため、JR宝塚線の区間快速の本格運転は今回のダイヤ改正で初となる。

今回のダイヤ改正で区間快速は昼間の丹波路快速・快速を置き換える形で設定する。丹波路快速からの区間快速への格下げは宝塚~三田間の各駅停車化、宝塚発着の快速の区間快速への格下げは宝塚発着から新三田発着に延長する形で行われ、大阪~新三田間では区間快速を昼間毎時4本運転する。代替として、新三田発着の普通電車毎時4本を宝塚発着に短縮し、宝塚~新三田間では昼間毎時6本から毎時4本に短縮する。

むしろなぜ先に2015年3月14日ダイヤ改正で学研都市線を減便したのだろう。JR宝塚線でも大阪~宝塚間の減便であれば阪急と競合しているので減便したくはないというのは分かるが、宝塚~新三田間は対大阪に対しては競合している交通機関はなくJR西日本一択なので、もっと早めに減便しても良かったはずだ。

強いて言えば昼間の快速の宝塚始発がなくなるので速達利用時に着席に難がある可能性はあるが、その分普通電車毎時4本が宝塚始発になるので座席確保という面だけ見れば改善している。




またこれまで大阪~新三田間は直通の先着列車は昼間は丹波路快速毎時2本しかなく、残る先着でのパターンは大阪~川西池田間で主に4両で運転する快速と川西池田~新三田間で7両編成の普通電車に乗り継ぐことである。この乗り継ぎ利用の場合、新三田から大阪に行く場合に宝塚で着席できるか怪しい面があったことから、利便性はよくなかった。しかし今回のダイヤ改正で昼間に大阪~宝塚間で通過運転を行う全ての列車が新三田まで乗り入れることとなり、新三田から大阪方面へ乗り換えなしで毎時4本が先着することとなった。丹波路快速は停車駅を3つ増やし所要時間が延び特急「こうのとり」誘導かと思う節もあるだろうが、利便性の面から言えば間違いなく改善している。

丹波路快速は大抵6両以上での運転であるが、宝塚発着の快速は昼間は主に4両編成で運転している。ただラッシュ時が近づくと321系又は207系7両編成での運転となっていることを考えると、今回運転する区間快速のうち新三田発着の列車は225系または223系4両編成ではなく、321系または207系7両編成になる気もする(そして丹波路快速から格下げした区間快速は主に6両で運転し、8両での運転を減らす)。そうすれば、大阪~宝塚間の輸送力を若干上げつつ減便や減車による運用変更で結果昼間の運用車両数を削減できるような気がする。

今回のダイヤ改正で本格運転を開始する区間快速は4駅しか通過駅がないが、それでも区間と付けることに抵抗があるのは私だけだろうか?

確かに2000年3月11日の丹波路快速設定のダイヤ改正までJR宝塚線では篠山口まで快速運転を行っていた快速をラッシュ時に運転していたことを考えると、どれだけ停車駅増やしたんだろうということにはなるが、競合する阪急宝塚線の急行も川西能勢口~宝塚間各駅に停まるんだから区間快速の区間に違和感を感じてしまうのは私だけだろうか。

あと気になるのは、平日夕ラッシュ時への区間快速の導入はないのだろうか。現在平日夕ラッシュ時は尼崎~宝塚間で毎時11本の料金不要列車を運転しているが、昼間に運転している京都から来る7両編成の普通新三田行きのほかに大阪始発の丹波路快速・快速が毎時3本(毎時1本抜けているのは特急「こうのとり」を運転するため)、JR東西線からの快速が新三田行き毎時2本と宝塚行き毎時2本で運転する。このため、宝塚~新三田間では平日夕ラッシュ時に毎時9本もの列車を運転している。

しかも毎時9本中毎時5本が快速列車で、15分サイクルベースで運転するため続行運転となってしまっている。宝塚までは必要なのかもしれないが、少なくとも宝塚以北では快速を毎時1本減らしたって影響は小さい。

そう考えると、JR東西線から来る快速新三田行き毎時2本中毎時1本を宝塚行きに短縮するか、宝塚から先各駅に停まる区間快速に格下げして普通電車毎時1本を宝塚行きに短縮してもいいのではないだろうか。そうすれば平日夕ラッシュ時の宝塚~新三田間は毎時8本運転に減るものの、快速と普通電車が毎時4本ずつ運転するため利便性を損なわない。格好の減便対象だと思うのは私だけだろうか?




4. 大和路快速の増結もJR難波から昼間の快速消滅へ

また今回の2020年3月14日JR西日本近畿統括本部ダイヤ改正では、大和路線で比較的大規模なダイヤ改正を行う。

プレスリリースでは大阪環状線に乗り入れる大和路快速が6両運転を取りやめ全列車8両化して輸送力を増強するとしている。大阪環状線内ではホームドア設置工事を行う予定であることから、8両編成に統一してドア位置を極力合わせたいというのもあるのだろう。

しかし、今回のダイヤ改正では大阪環状線内では確かに輸送力増強になっているのだが、大和路線内ではその限りではない。読み進めていくと、今回のダイヤ改正で和歌山線内直通の快速の昼間の運転を中止するとしている。つまり大和路線内では大和路快速の増結に伴い快速を減便するのだ。

高田発着快速は2011年3月12日ダイヤ改正で昼間の毎時1本を奈良発着の大和路快速に変更したことで毎時3本から毎時2本に減便して以来の減便となる。

そもそも大和路線で最も利用者の多い天王寺~東部市場前間の隣駅間輸送密度は181,240人/日・往復であり、昼間毎時1両の運転で4,000人/日・往復運べるとすると毎時46両あれば足りてしまい、8両編成の快速毎時4本と6両編成の普通毎時4本の合計毎時56両あれば足りてしまう。

しかも前回の2019年3月16日ダイヤ改正でおおさか東線が開業したことによりこれまで天王寺を経由していた一部の旅客(見込みでは大和路線天王寺経由利用のの2%)が久宝寺からおおさか東線に乗り換えてしまい、久宝寺~王寺間で多少旅客が増えても天王寺~久宝寺間の輸送量にはかなわない程度だし、最も混んでいる天王寺~久宝寺間の特に快速で空くようになってしまった。

また高田発着快速は近鉄大阪線と競合するために設定し、2004年3月13日にはJR五位堂を開業するほどであったが、2018年3月17日近畿日本鉄道ダイヤ改正で近鉄大阪線で河内国分~五位堂間で普通列車を昼間に毎時1本増発し大阪上本町~五位堂間の昼間の先着列車を急行のみの毎時3本から区間準急も合わせた毎時4本に拡大したほか、そもそも高田発着の快速の設定自体大和路線の15分サイクルダイヤの中に30分間隔の毎時2本で運転していたためかなり空いており、真っ先に廃止対象になってしまったようだ。

このことから、今回の2020年3月14日ダイヤ改正で昼間のJR難波~高田間運転の快速の廃止に持ち込めるようになったのだろう。

なお和歌山線王寺~高田間では昼間に唯一運転する列車であったことから代替として227系が王寺~高田間で運転することになるが、輸送密度からして従来の4両から2両に減車することが濃厚だ。また減便補填として大和路快速の全列車8両化は行われるが、運転本数はそのまま減便するためJR難波を発着する昼間の快速列車が消滅することとなった

ミナミの中心の一角をなす難波から昼間の速達列車を消すなんて、近鉄や南海からしたら到底考えられないことである。この状況はなにわ筋線が開業しても変わらないと思うのは気のせいだろうか…

ちなみに、阪和線の区間快速は2011年3月12日ダイヤ改正による昼間の毎時4本運転を2020年以降も継続する。天王寺~美章園間の隣駅間輸送密度は242,100人/日・往復であり、昼間に毎時61両必要である。もし関空快速・紀州路快速の8両編成毎時4本と6両編成の普通電車毎時4本しか運転しないと毎時56両しか確保できないため、区間快速を設定して輸送力増強を図る必要がある。平たく言うと、阪和線には堺と言う政令指定都市があるので、その分利用者が多いのだ。そう考えると、阪和線の区間快速は今後も安泰なようだ。

このほか、今回のダイヤ改正では湖西線、琵琶湖線、関西本線(おそらく非電化区間)で減便を見込んでいるようだ。




5. 嵯峨野線と奈良線で増結へ

また今回の2020年3月14日JR西日本近畿統括本部ダイヤ改正では、嵯峨野線と奈良線で増結を図る。

まずは嵯峨野線。昼間は多くの列車を4両編成で運転しているが、今回のダイヤ改正より一部で行っている6両運転を拡大するほか、平日朝ラッシュ時に行っている8両運転を土休日の昼間にも一部で実施することとなった。

また奈良線では半数程度が4両編成で運転しているみやこ路快速を土休日のみ全て6両での運転とし、輸送力増加を図る。奈良線は京都~宇治間の利用には便利だが、京都~奈良間の移動はお召列車から地元の高校生までみんな近鉄を使うのでJR奈良線はジャパン・レール・パスの利用者であふれている。訪日外国人が増えジャパン・レール・パスの売れ行きは好調かもしれないが、増結する割に増収にあまり響きそうにないと思うのは気のせいだろうか。

このほか北近畿方面では福知山線特急「こうのとり」や山陰本線特急「きのさき」などで行先変更があるようだが、全て福知山以北で収まっており京都方面への影響はなさそうだ。


6. 結び

今回の2020年3月14日JR西日本近畿統括本部ダイヤ改正では、奈良線や嵯峨野線で増結が図られる一方、JR宝塚線や大和路線で減便を図る。

次回の2021年3月ダイヤ改正では終電の繰り上げを図る見込みであり、終電以外にも見直しが行われる見込みだが、どのように図るのか見守ってゆきたい。

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