【日本では皆無】ヨーロッパの鉄道“コンパートメント”の魅力

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2020年にJR西日本が運行する「銀河」や、2020年3月の新型特急「サフィール踊り子」では、豪華な個室車両が再注目されています。

海外に目を向けると、ヨーロッパでは日本とは全く異なる形態の個室昼行特急が多く存在しています。

コンパートメントは6人~8人の個室で、見ず知らずの人達と個室で過ごすことになります。

今回は知られざるコンパートメントの実像に迫ります。

コンパートメントはどんな列車に連結されているの?

コンパートメントは、すべての列車にコンパートメントが連結されているわけではありません。コンパートメントがある列車は主に優等列車です。つまり、日本の特急列車にあたるIC(インターシティー)やEC(ユーロシティー)、国内を走る急行列車に連結されています

1990年代まではコンパートメントが優等列車の主流でしたが、存在感は薄れつつあります。たとえば、ドイツのICEやフランスのTGVといった超高速列車は日本と同じオープン座席が主流です。効率性やプライバシーの観点からコンパートメントは減っていくでしょう。

コンパートメントと言ってもいろいろ 

ここからは筆者が利用したコンパートメントを写真付きで紹介します。「コンパートメント」と言っても、様々な種類があります。

最初に紹介するのはポーランドの急行列車にあたる「TLK」のコンパートメントです。「TLK」はコンパートメントの客車で構成されており、2等車は8人部屋です。写真では余裕があるように見えますが、8人利用だとキツイです。ヨーロッパ人は足が長いので、足の置き場にも困ります。基本的に「TLK」には日本のような冷房設備はありません。夏はムッとした空気が立ち込めます。夏に「TLK」を利用する際は水分補給にご注意を。窓側の座席に座り、アメを舐めていると多少は快適に過ごせます。

コンパートメントは乗客と交流できることが大きな強み。私は8年前に同室となったポーランド人と友人となり、現在でも交流が続いています。

こちらはチェコ鉄道の急行「Rx」のコンパートメントです。先ほどの「TLK」と同じ2等車ですが、6人部屋です。座席が別々になっているため、満席であってもすし詰めになることはありません。現在、チェコ鉄道の客車コンパートメントはこのレイアウトが主流になっています。

チェコでは「EC」の1等車にも乗りました。1等車は2等よりも割高ですが、座席のレイアウトはほとんど変わりません。変化があるとすれば座席に白のカバーがある点です。料金が割高なせいか、1等車は2等車よりも空いています。オンシーズンの長距離移動の場合は乗客が少ない1等車でリラックスするのも有効です。

2015年に乗車した際はこのような旧型車が「Rx」に使われていました。こちらは2等車ですが、先ほどの2等車と比較すると見劣りします。座り心地はゴワゴワで、夏になるとシートがものすごく暑くなります。また、旧型車のトイレは汲み取り式トイレ(ボットン便所)であることがほとんど。さすがにチェコではこのような客車が優等列車に使われていることは少ないと思いますが。

次はチェコのお隣、スロバキアのコンパートメントです。こちらは普通列車です。ヨーロッパでも普通列車はボックスシートをよく見かけますが、このような優等列車に使われた客車のお下がりが普通列車の運用に就くこともあります。長年使われてきたせいか、ずいぶんとくたびれていました。

様々なコンパートメントを紹介しましたが、中には「コンパートメントもどき」も存在します。こちらはスロバキア鉄道の1等車です。コンパートメントのように見えますが、ガラス板を張っただけです。なぜ、このような中途半端な設計になったのか、理由はよくわかりません。

ところで、ロシアをはじめとする旧ソビエト連邦諸国ではコンパートメントはお目にかかれません。なぜなら、寝台車も昼行列車の役割を果たすからです。旧ソ連の優等列車は夜行列車が中心のため、主役はあくまでも寝台車。世界の陸地面積の六分の一を占めていたソビエト連邦らしいエピソードです。

コンパートメントは座席指定ができる! 

ほとんどの優等列車では座席指定ができます。コンパートメントのおすすめは窓側。真ん中の座席になると体格のいいヨーロッパ人に挟まれるため、つらい鉄道旅行となってしまいます。したがって、コンパートメント付きの列車に乗る際は座席を予約することをおすすめします。

ヨーロッパでは鉄道会社のホームページから簡単に切符の購入や座席の予約ができます。国内線であればEチケットのスクリーンショットを見せるだけで車内検札が終わります。

注意したいのは国際線です。国際線は列車を運営する鉄道会社のホームページから予約します。

たとえば、オーストリア・ウィーンとハンガリー・ブダペストを結ぶ特急「Rail Jet」はオーストリア鉄道が運営しています。したがって、オーストリア鉄道のホームページから切符の購入や座席指定を行います。ハンガリー鉄道のホームページからは予約できません。

ぜひ、コンパートメントを利用して地元の方と触れ合ってみましょう。気軽に触れ合えることがヨーロッパの鉄道の魅力だと思います。

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