車両転属でTJライナー増発と野田線急行運転拡大へ! 東武鉄道ダイヤ改正予測(2020年3月予定)

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東武鉄道は2019年4月26日、プレスリリースにて平成31年度事業計画を公表した( 2019年度の鉄道事業設備投資計画 )。また東武鉄道は2019年9月27日、プレスリリースにて2020年3月に野田線でダイヤ改正を行うと公表した( 2020年3月 東武アーバンパークラインで大幅なダイヤ改正を実施! )。今回はこれについて見ていく。

同日実施の2020年3月日光線・伊勢崎線ダイヤ改正予測はこちら!

2020年3月ダイヤ改正予測一覧はこちら!

1. 複線化で通過運転開始へ

今回の2020年3月東武鉄道ダイヤ改正では、東武野田線の複線区間拡大に伴い急行運転区間が拡大する。

今回のダイヤ改正に合わせ野田線では逆井~六実間で複線化し、高柳を待避可能な2面4線に拡大する。これにより野田線では春日部~運河間以外で複線となる。

駅構内の複線部分の最終の延長が2011年3月の梅郷駅構内、駅間の最後の複線化が2004年10月の東岩槻~春日部間及び新鎌ヶ谷~鎌ヶ谷間の複線化であることを考えると、これまでしてきた積極的な複線化が近年は鈍化している印象がある。清水公園~梅郷間では連続立体交差化事業を行っているが、事業完成後に野田市を2面3線から2面4線に拡充するものの複線化は行われず、実質当該区間の複線化は放棄したものとみて良い。つまり今回の逆井~六実間複線化は野田線最後の複線化と言っても過言ではなく、これ以上の駅構内の配線拡充は考えられるが春日部~運河間の複線化はないと見ていいだろう。

ではこの複線区間の拡大を使って野田線ではどのようなダイヤ改正を行うのだろうか。

今回の2020年3月ダイヤ改正では、急行運転区間が拡大し、大宮~春日部間のみならず複線区間の運河~柏~船橋間でも通過運転を行うこととなった。

今回新規に通過運転を行う運河~船橋間の急行の停車駅は流山おおたかの森、柏、高柳、新鎌ヶ谷で、高柳以外は全て乗換駅となっている。

昼間の運転本数は毎時2本で、原則柏で乗り換えが必要な普通列車と異なり急行は柏を跨いで大宮~船橋間で直通運行をする。

これにより昼間は大宮~船橋間で1時間32分から1時間16分に16分短縮する。既存の大宮~運河間でも1分短縮するが、おそらく運河~柏間で4分、柏~船橋間で11分所要時間を短縮するものと思われる、柏~船橋間では8駅しか通過しないのに11分も短縮できるのは、複線化により列車交換する必要がなくなり、運転時刻の制約が大きく減ることもあるのだろう。

ただ野田線柏~船橋間は昼間は空席が目立っており、7人掛けの席に4人程度しか座っていない。それもそのはずで、平日夕ラッシュ時に毎時6本の運転しかないところに昼間も毎時6本の列車を運転し、昼夕輸送力比は100.0%になっているのだ。つまり、地域輸送性を無視すれば昼間は毎時4本あれば足りてしまう。

そんなところに急行を増発しても空気輸送が進むだけで、電気代のムダである。8000系の一部を日光線に20400系列を投入したことにより春日部支所所属の運用が余った10030系を野田線に転属させて置き換えて多少省電力化を図るのかもしれないが、そもそも列車本数を減らしてしまった方が電力消費量が少なくて済む。もしかすると複線化完了や急行運転開始に伴い新京成より優位に立って旅客を奪おうとしているのかもしれないが、そもそも絶対量が多いとは言えないし少なくとも毎時6本の運転で座席が埋まるとは考えにくい。柏~船橋間では昼間は急行がそのまま毎時2本増発する可能性が高そうではあるが、普通列車を毎時6本から毎時4本に減らしてもおかしくはないものと思われる。




1.1. 柏~船橋間では急行を終日運転へ

なお、大宮~春日部間の急行運転は昼間のみの運転であり平日朝夕ラッシュ時には実施しないのに対し、柏~船橋間の急行運転は平日朝夕ラッシュ時にもしっかりやるようだ。

平日朝夕ラッシュ時は柏~船橋間で急行を毎時2本運転するが、昼間と異なり大宮方面への直通運転は行わない。柏~船橋間の所要時間は平日朝ラッシュ時は31分から22分に9分短縮するほか、平日夕ラッシュ時も30分から19分に11分短縮する。平日朝ラッシュ時の所要時間短縮効果が少ないのは前に列車が詰まっているためだと思われる。おそらく平日朝ラッシュ時は六実~船橋間運転の区間運転列車を柏~船橋間の急行に置き換える可能性が高く、平日夕ラッシュ時は現在の普通列車毎時6本のみに加え急行毎時2本がそのまま増発するものと思われる。これにより急行を運転開始しても平日朝ラッシュ時の運用本数は変わらない見通しだ。

なお、大宮~船橋間では急行運転開始時間帯である昼間への移行時間帯に運河~柏間で各駅に停車する区間急行を運転する。大宮~春日部間では昼間に毎時2本を超える速達列車の運転は必要ないことをかんがえると、たった数本のために新種別を設定することになるようだ。春日部や運河で種別変更するのではいけないのだろうか。




1.2. 野田線で終電繰り下げへ

このほかにも野田線では終電の繰り下げを実施する。2016年3月26日の急行運転開始に伴うダイヤ改正同様終電の繰り下げは主に平日で、土休日は終電の繰り下げを行っても繰り下げ幅が小さいものと思われる。

まずは大宮発から。高崎線最終普通高崎行きの大宮到着が24時14分、2019年3月16日ダイヤ改正時点での埼京線通勤快速川越行きの大宮到着が24時18分(なお2019年11月30日JR東日本埼京線ダイヤ改正で各駅停車に格下げ)、埼京線各駅停車最終川越行きが24時38分であることを考えると、少なくとも大宮24時17分発最終岩槻行きは繰り下がりそうだ。ただ埼京線の各駅停車の終電の大宮到着が高崎線と比べて20分以上も遅いことから、大宮24時24分発程度で設定するのか、大宮24時43分発程度で設定するのかが不透明だ。

次に柏・流山おおたかの森発。つくばエクスプレスの最終普通守谷行きの流山おおたかの森24時49分着かつ常磐線快速取手行きの柏24時39分着から連絡させようとすると、柏24時37分発最終七光台行きの後に柏24時47分発程度の七光台行きを設定すれば良さそうだ。

次に船橋発。総武線快速最終千葉行きのの船橋到着は24時27分であることから、現在の船橋24時13分発最終六実行きは船橋24時31分発程度にまで繰り下がりそうだ。

最後に新鎌ヶ谷発。北総鉄道最終印旛日本医大行きの新鎌ヶ谷到着が24時27分であることから、柏24時22分発六実行きを船橋行きに延長する可能性もありそうだ。なおこの終電繰り下げを行うと六実→船橋間の最終列車が31分繰り下がり、プレスリリース記載の最大30分程度の終電繰り下げに合致する。

このほかにも柏始発の特急「アーバンパークライナー」を設定するとしているが、2017年4月21日ダイヤ改正で設定した大宮始発の特急「アーバンパークライナー2号」が大宮22時43分発であること、浅草発野田市行き特急「アーバンパークライナー」の野田市到着が22時35分着であることを考えると、柏始発の特急「アーバンパークライナー」の発車時刻は柏22時台後半発、場合によっては23時台前半の可能性すらある。

また柏始発の野田線特急「アーバンパークライナー」は北春日部に入庫させる関係で大宮行きではなく春日部行きで設定する可能性が極めて高そうだ。

また柏まで500系特急型車両Revatyを送り込む必要があるため浅草21時30分発野田市行き特急「アーバンパークライナー3号」の運転区間が野田市行きから運河・柏方面に延長する可能性がありそうだ。




2. 東上線で平日朝に「TJライナー」増発へ

また今回の2020年3月東武鉄道ダイヤ改正では、東上線で「TJライナー」を増発する見込みだ。

そもそも速達列車を運転しているにもかかわらず山手線と接続するような大きな駅を発着する全ての各駅停車が10両編成で運転するのは、東京メトロ東西線や東急田園都市線、JR埼京線や東武東上線くらいしかなく(あとは中央総武線各駅停車や京浜東北線もある意味当てはまると言えばそうなるが)、東武東上線は日本の都市鉄道でも極めて珍しいことを行っているのだ。ただ、東武東上線の輸送量からして各駅停車に対しては輸送量がオーバーな点が否めない。

そんな中、30000系を1編成春日部から森林公園に移動させるようだ。2018年度の朝の混雑率も136%とそこまで高くないことから必要性は薄そうに見えるし、東上線の10両編成は他線区の車種と比べるとまだ車両交換して廃車にするには早いのだ。

そうすると2020年3月ダイヤ改正で「TJライナー」を増発するのに必要な50090系の運用を1運用増やすために普通列車運用から玉突きさせたいということなのだろうか。

では東上線の平日朝ラッシュ時のダイヤはどのようになっているのだろうか。現在平日朝ラッシュ時は池袋行きは急行毎時4本、準急毎時8本、普通毎時12本の合計毎時24本の運転であり、概ね15分サイクルダイヤとなっている。川越→新宿では西武新宿線の急行より停車駅の絞った通勤急行と東上線準急が所要時間でほぼ互角なので西武新宿線に対して大きく優位ではあるが、平日夕ラッシュ時は急行が毎時5本、昼間は快速と急行たして毎時6本運転してるんだから、所要時間削減に伴う労働環境改善と通勤時間短縮のためにも平日朝ラッシュ時も急行を毎時6本ないし毎時8本運転した方が良いのではないかと思うが…

東上線では2015年の30000系及び10000系列の転属完了以降2019年まで車両数に変動はなく、「TJライナー」の増発も時間帯の拡大は行ったが毎時2本までしか設定できなかった。しかし今回の2020年3月ダイヤ改正に向け30000系10両1本が東上線に転属してくることから、1運用余裕が生まれ「TJライナー」を増発可能になる。

しかし、平日夕ラッシュ時は6本しかない50090系のうち5運用を使用していることから、50090系の増備が行われない限り平日夜間の「TJライナー」の増発は不可能だ。

そう考えると、「TJライナー」の増発で最も考えられるのは平日朝ラッシュ時の増発だ。現在は運用数の関係でオフピークに2本だけ運転しているが、東上線は平日朝ラッシュ時ピーク時でも毎時24本の運転であることから増発しようと思えば池袋8時台着でも設定できる。

東武本線系統では太田6時44分発特急「りょうもう6号」浅草行きが2017年4月21日ダイヤ改正より土休日運転から全日運転に拡大したことで、平日も北千住に8時03分着、浅草8時17分着の運転を実現、平日朝ラッシュ時ど真ん中に座席指定制列車を導入した。

伊勢崎線特急「りょうもう」はラッシュ時の通勤電車として利用不可能な200系または250系による運転で、かつ赤城発着と太田発着各毎時1本ずつであれば運用が足りるため通勤型車両の車両移動なしに行うことができたが、東上線「TJライナー」用50090系は平日朝ラッシュ時に池袋発着の普通列車を中心に運用に就いてしまっているため平日朝の増発には車両運用を増やすほかない。

そう考えると、30000系の転属に伴い2020年3月ダイヤ改正での平日朝の「TJライナー」増発は必須と考えてもいいのではないだろうか

ただ、「TJライナー」は何本増発するのだろう。東上線では平日夜間に「TJライナー」の運転時間帯を拡大する場合、「TJライナー」を2本増発すると準急1本を削減している。もしこれを平日朝の「TJライナー」設定に際しても踏襲するのであれば、2020年3月ダイヤ改正では平日朝の「TJライナー」を1本増発するか「TJライナー」を2本増発して準急を1本減らすかの2択に絞られそうだ。


3. 結び

今回の2020年3月東武鉄道ダイヤ改正では、野田線の複線区間拡大に伴う急行運転区間拡大を実施するほか、東上線「TJライナー」の朝の増発を図る可能性が高そうだ。

今後東武鉄道でどのようなダイヤ改正を実施するのか、楽しみにしたい。

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