乗継割引拡大への挑戦 | 京阪大津線の復興研究所

京阪大津線の復興研究所

大津線とは、京阪の京津線と石山坂本線の総称です。
この大津線の活性化策を考えることが当ブログの目的です。
そのために、京阪線や他社の例も積極的に取り上げます。

現在、御陵を経由して京津線の各駅と東西線の蹴上・東山・三条京阪を直通する際には、大人普通運賃の合算額から京阪が20~30円、京都市交通局が50~60円を割り引くことになっています。石山坂本線の各駅と蹴上・東山・三条京阪間の場合は京阪が20円を割り引きますが、京都市交通局の割引はありません。

 

このように、通常は遠方になるほど割引額が小さくなります。大津線と東西線もその例に漏れませんが、逆のパターンも存在しないわけではありません。京成の千原線は、前身である千葉急行電鉄時代の運賃体系を引き継いでおり、千葉線との境界である千葉中央をまたぐ際の運賃を別々に計算して合算していますが、京成千葉から千葉中央を経て千葉寺・大森台までの運賃を合算額から50円、それより遠い学園前・おゆみ野・ちはら台までの運賃を70円割り引いています。

 

拙著「京阪大津線の復興計画書」では、東西線側の割引額を一律90円に拡大することを提案しましたが、大津線各駅と三条京阪間の運賃はこれでもまだ割高感が否めません。そもそも、大津線の四宮以東各駅と蹴上・東山は御陵―京津三条間廃止以前から結びつきが弱く、だからこそ浜大津―京津三条間の準急と四宮―京津三条間の各駅停車が「遠近分離」で設定されていたのです。

 

乗継割引を拡大するならば、京成千葉のように主たる目的地となる駅、即ち三条京阪に重点を置かなければ意味がありません。鉄道事業の運賃は認可制ですが、認可基本運賃の50%以内であれば事前届出による割引が可能(斎藤峻彦『私鉄産業』晃洋書房)なので、御陵―三条京阪間の半額である130円を東西線側が割り引いてくれれば、大きな効果が期待できます。

 

さらに、上栄町・びわ湖浜大津と石山坂本線各駅発着時の大津線側の割引額を現状の20円から60円に拡大すれば、三条京阪―上栄町・びわ湖浜大津・島ノ関・三井寺間は260円+240円-(130円+60円)=310円となり、京津三条時代末期と同額になります。

 

 

一方、定期運賃に関しては、京阪時代との格差を縮めるため、三条京阪―山科間各駅の相互間が「特定区間」に指定されており、通常の1区・2区とは異なる設定になっています。

 

表の「通学甲」は大学、「通学乙」は中学・高校、「通学丙」は幼稚園・小学校を指しますが、特定1区・特定2区とも、通常より大幅に安く設定されていることが分かります。さらに、特定区間と大津線および京阪線を乗り継ぐ際には割引が拡大されますが、京阪側は大津線・京阪線ともに定期運賃の乗継割引を行っていません。定期運賃については、「東西線側だけの割引」が実現した格好になっています。

 

通常の1区・2区とのバランスや、東西線の建設費の償還を考えると、特定1区・特定2区の通学定期運賃をこれ以上割り引くのは現実的ではありません。ですから、せめて通勤定期だけでも、大津線乗継時の運賃額を東西線開通当時の水準まで引き下げてはどうでしょうか。この場合、1ヵ月の特定1区は7,480円から2,020円引きの5,460円、特定2区は9,240円から2,940円引きの6,300円となります。

 

なお、表の※3で記したように、現状では東西線の特定2区を介して大津線と京阪線を乗り継ぐ場合は乗継割引が適用外になっていますが、その際に東西線の取り分を多くする合理的な理由は見当たりません。これに関しては、通勤定期・通学定期ともに乗継割引の対象とすべきです。

 

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