ヨコハマ・エア・キャビンの気になる輸送力。桜木町~新港地区ロープウエイの実力は?

2021年春開業めざし着工

横浜市の桜木町~新港地区にロープウェイが建設されます。ワールドポーターズや赤レンガ倉庫へのアクセスが便利になりそうです。

広告

泉陽興業が建設

横浜市は、JR桜木町駅からみなとみらい21の新港地区にある運河パークを結ぶロープウエーを事業化すると発表しました。遊園地「よこはまコスモワールド」を運営する泉陽興業と実施協定を結びました。泉陽興業がロープウエーを建設、運営します。

これは、横浜市が2017年度に公募した「まちを楽しむ多彩な交通」の提案の一つです。横浜都心臨海部において、移動自体が楽しく感じられるような多彩な交通サービスの充実に向けた提案を募り、企業が応募しました。横浜市は事業費を負担しません。

泉陽興業は遊園地の乗りものなどでおなじみの会社です。遊戯施設の製造・運営会社で、とくに観覧車に強いことで知られています。

ヨコハマ・エア・キャビン
画像:横浜市

汽車道沿いに設置

建設されるロープウエーの名称は「YOKOHAMA AIR CABIN(ヨコハマ・エア・キャビン)」。全長約630mで、臨海部のプロムナード「汽車道」沿いに設置します。高さは最大40mで、陸上と海上で計5つの支柱を設けます。

ヨコハマ・エア・キャビン
画像:横浜市

駅舎や支柱、ゴンドラのライトアップは、世界的な照明デザイナー石井幹子さんがプロデュースします。

ヨコハマ・エア・キャビン
画像:横浜市

料金や営業時間などは未定です。事業費は60億円程度です。

広告

輸送力は?

では、このロープウェイで、どのくらいの輸送力があるのでしょうか。

泉陽興業のウェブサイトに掲載されているゴンドラリフトの「GL-HE」は、秒速2.51m。653mの水平長で、8人乗りゴンドラを使い、搬器発車間隔を12秒として、毎時片道2,400人を運べるとしています。

ヨコハマ・エア・キャビンのゴンドラは8人乗りで、36基を備えます。秒速2.51mが同じとすると、630mにかかる所要時分は約250秒です。したがって、ヨコハマ・エア・キャビンの所要時間は4分10秒程度になるとみられます。

ヨコハマ・エア・キャビン
画像:横浜市

所要時間4分10秒とすると、ひとつのゴンドラが1時間に7.2往復できます。8人乗り36基のゴンドラが毎時7.2往復すれば、片道最大2,073人の輸送力が見込めます。このとき、搬器発車間隔は13.8秒の計算になります。

路線バスと比較すると、三菱エアロスターのノンステップM尺の旅客定員は82人(座席27、立席55)ですので、ロープウェイは1時間あたり大型バス25台分に匹敵する輸送力があります。

つまり、数字上は、路線バスを2分半間隔で運転するくらいの輸送力がある、ということです。

2020年度末開業

ヨコハマ・エア・キャビンの建設は、2019年内に準備作業に入り、2020年に本格的な工事に着手します。開業は2020年度末(2021年春)。当初は東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年夏前の開業を目指していましたが、2020年度末と後ろ倒しになりました。

完成すれば、桜木町駅から新港地区へのアクセスが便利になります。新港地区にはワールドポーターズや赤レンガ倉庫といったショッピング・イベントエリアがありますので、レジャー客には便利になるでしょう。汽車道を眼下に眺めながら、駅からのゴンドラ移動は、旅のアクセントとしても楽しそうです。(鎌倉淳)

広告
前の記事常磐線がいよいよ全線復旧へ。富岡~浪江間で試運転開始、2020年3月運転再開
次の記事札幌市電延伸は前向き、地下鉄東豊線延伸は先送り。「札幌市総合交通計画」改定案を読み解く