大津線の観光開発 | 京阪大津線の復興研究所

京阪大津線の復興研究所

大津線とは、京阪の京津線と石山坂本線の総称です。
この大津線の活性化策を考えることが当ブログの目的です。
そのために、京阪線や他社の例も積極的に取り上げます。

前回述べた50系の増備先頭車両には京阪型ATSを搭載し、電動車ユニットを抜き取って4連運用ができるようにしておきます。土休日はこれを用いて50系3本で区間運転の急行を賄い、代わりに800系5本で太秦天神川―びわ湖浜大津―坂本比叡山口間を直通する急行を20分毎に設定すれば、観光客の誘致に力を発揮します。

 

800系は車体長が16.5mで、石山坂本線用の600形・700形より1.5m長く、石山寺方面への入線はできませんが、近江神宮前にある錦織車庫で検査・留置を行う必要性から、坂本比叡山口方面への入線は可能です。実際、錦織車庫で検査を受けた後の800系車両の試運転は、近江神宮前―坂本比叡山口間で行われています。

 

坂本比叡山口は頭端式の1面2線で、ホームは15m車2両分の長さしかありませんが、1番線(西側)・2番線(東側)ともに線路の有効長は16.5m車4両分が確保されており、800系の折り返しが可能です。坂本比叡山口ホームの2番線側(1番線側は15m車2両分を残して柵で仕切る)と、京阪大津京・大津市役所前の上下ホームだけを800系4両編成対応に延長すれば、最小限の投資で直通運転が可能になります。

 

石山坂本線から分かれて京都方面へ向かう京津線の800

(旧塗装時代)

 

びわ湖浜大津の駅は島式ホーム1面2線で、京津線の当駅止まりと石山坂本線の石山寺行きが2番線を共用し、京津線の京都方面行きと石山坂本線の坂本比叡山口方面行きが1番線を共用しています。京津線の列車は、石山寺側にある引上げ線を使って折り返します。

 

よって、京津線の急行を坂本比叡山口に直通させるには、往路・復路ともに、一旦2番線を通過して引上げ線に入り、進行方向を変えて1番線に進入し客扱いを行う必要があります。

 

このように手間はかかりますが、それを行う価値はあります。坂本比叡山口付近は延暦寺と日吉大社の風情ある門前町であり、潜在的な観光需要は大きいと考えられるからです。

 

沿線でこれと並ぶ観光名所が園城寺(三井寺)ですが、三井寺の駅はびわ湖浜大津に続く併用軌道に接しておりホームの延伸は不可能です。三井寺参拝は大津市役所前からも徒歩で可能なので、こちらを玄関口として急行を停め、駅名を「三井寺・大津市役所前」とするのが良いでしょう。現在の三井寺駅は、隣接するバス停に合わせて「三保ヶ崎」に改称するものとします。ただし、ここでは混乱を避けるため、以降も現駅名を用います。

 

一方、大阪方面から石山寺へは、京阪線の宇治から京滋バイパス経由で高速バスを運行したほうが速いので、石山坂本線は補助的な役割を担うのが妥当です。この高速バスと接続する形で、石山寺港からびわ湖浜大津駅前の大津港まで京阪系列の琵琶湖汽船の手で航路を設定すれば、新たな回遊ルートを開拓することができます。

 

15分サイクルの下では、800系の増備なしには太秦天神川直通と坂本比叡山口直通を両立させるのが難しいですが、これを一本化できるのが20分サイクルのメリットの1つです。太秦天神川で接続する京福の嵐山本線は、二条で接続するJR山陰本線(嵯峨野線)ともども洛西地区の観光地に通じており、その観光客を大津方面へ引き込める可能性があります。

 

20分サイクルであれば、三条京阪で接続する京阪線との接続時間もほぼ一定になります。ただし、観光輸送のピーク時に運転される京阪間ノンストップの快速特急「洛楽」は30分毎なのでサイクルが合いません。とはいえ、現実問題として大阪市内から大津線沿線へはJRが有利なので、三条京阪では主要駅停車型の特急との接続に重点を置くべきでしょう。

 

その特急のうち、8000系車両を用いる列車には座席指定車の「プレミアムカー」が連結されています。そのチケットを坂本比叡山口・大津市役所前・びわ湖浜大津でも発売すれば、乗車の20分以上前に購入することになるので予約が取りやすくなり、好評を博するはずです。この手法は宇治などでも応用可能です。

 

 

書籍のご案内

【大手私鉄軌道線活性化の意義】 (詳細)
データ本:330円 (税込)

 

【フリーゲージトレインの復興計画】 (詳細)
データ本:330円 (税込)/ 紙本:682円 (税込・送料別)

 

【北海道新幹線の復興計画】 (詳細)
データ本:275円 (税込)/ 紙本:605円 (税込・送料別)

 

[都会のローカル線の復興計画] (詳細)

データ本:324円 (税込)/ 紙本:770円 (税込・送料別)

 

【不都合な停車駅 36選】 (詳細)
データ本:330円 (税込)/ 紙本:880円 (税込・送料別)

 

【各駅停車がローカル線を滅ぼす】 (詳細)
データ本:330円 (税込)/ 紙本:729円 (税込・送料別)

 

【軌道系都市交通の復興計画(前篇)】 (詳細)
データ本:330円 (税込)/ 紙本:682円 (税込・送料別)

 

【軌道系都市交通の復興計画(後篇)】 (詳細)
データ本:330円 (税込)/ 紙本:682円 (税込・送料別)

 

【高加減速車と多扉車の復興計画】 (詳細)
データ本:330円 (税込)/ 紙本:682円 (税込・送料別)

 

【ダブルデッカーの復興計画】 (詳細)
データ本:330円 (税込)/ 紙本:729円 (税込・送料別)

 

【遠近分離ダイヤの復興計画】 (詳細)
データ本:330円 (税込)/ 紙本:729円 (税込・送料別)

 

【振子車両の復興計画】 (詳細)
データ本:330円 (税込)/ 紙本:682円 (税込・送料別)

 

【前面展望車の復興計画】 (詳細)
データ本:330円 (税込)/ 紙本:682円 (税込・送料別)

 

【関空アクセス鉄道の復興計画】 (詳細)
データ本:330円 (税込)/ 紙本:729円 (税込・送料別)

 

【鉄道ジャーナリズムの復興計画】 (詳細)
データ本:330円 (税込)/ 紙本:682円 (税込・送料別)

 

[転換クロスシートの復興計画] (詳細)

データ本:330円 (税込)/ 紙本:770円 (税込・送料別)

 

【「復興計画」の時刻表集(完全版)】  (詳細)
データ本:330円 (税込)/ 紙本:880円 (税込・送料別)

 

【寝台車と食堂車の復興計画(前篇)】  (詳細)
データ本:330円 (税込)/ 紙本:729円 (税込・送料別)

 

【寝台車と食堂車の復興計画(後篇)】  (詳細)
データ本:330円 (税込)/ 紙本:682円 (税込・送料別)

 

【鉄道デザインの復興計画】  (詳細) アンチ水戸岡派必読の書
データ本:330円 (税込)/ 紙本:770円 (税込・送料別)

 

【「関西鉄道」の復興計画(前篇)】  (詳細)
データ本:330円 (税込)/ 紙本:729円 (税込・送料別)

 

【「関西鉄道」の復興計画(後篇)】  (詳細)
データ本:330円 (税込)/ 紙本:729円 (税込・送料別)

 

【関西経済の復興計画(鉄道篇)】  (詳細)
データ本:330円 (税込)/ 紙本:729円 (税込・送料別)


【京阪神間直通輸送の復興計画】  (詳細)
データ本:330円 (税込)/ 紙本:770円 (税込・送料別)

 

【阪和間直通輸送の復興計画】  (詳細)
データ本:330円 (税込)/ 紙本:770円 (税込・送料別)


【関西私鉄王国の復興計画(上巻)】  (詳細)
データ本:330円 (税込)/ 紙本:616円 (税込・送料別)

【関西私鉄王国の復興計画(中巻)】  (詳細)
データ本:330円(税込)/ 紙本:682円(税込・送料別)

【関西私鉄王国の復興計画(下巻)】  (詳細)
データ本:330円(税込)/ 紙本:682円(税込・送料別)

鉄道コム