大津線20分サイクル化の是非 | 京阪大津線の復興研究所

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大津線とは、京阪の京津線と石山坂本線の総称です。
この大津線の活性化策を考えることが当ブログの目的です。
そのために、京阪線や他社の例も積極的に取り上げます。

大津線の4つの駅が改称された2018(平成30)年3月17日には、同時に大規模なダイヤ改正が実施されました。1971(昭和46)年8月15日以来続けてきた15分サイクル運転を改め、昼間時(10~15時)のダイヤを20分サイクル基調に変更したのです。

 

今回の改正以前の京津線は、昼間時に京都市役所前行きと太秦天神川行きが交互に約15分間隔で運転されていましたが、約20分間隔に減便の上で太秦天神川行きに統一されました。

 

また、石山坂本線は全線運転と石山寺―近江神宮前間の区間運転を合わせて7.5分間隔でしたが、全線運転に統一の上で10分間隔に変更され、2本に1本が京津線と接続するようになりました。

 

これにより、石山坂本線の南滋賀以北からの乗車機会が増加し、京津線との接続も改善されました。加えて、京津線から烏丸御池以西へのアクセスが強化されています。

 

問題なのは、京津線の昼間時の運転間隔が「約」20分間隔であることです。直通相手の京都市営地下鉄東西線が7.5分間隔のままなのでサイクルが合わず、京津線側が等間隔運転を崩さざるを得ないのです。都市近郊路線のサービスとしては下限に近い「片道毎時3本運転」において、運転間隔が不揃いなのはかなりのハンディキャップだと言わざるを得ません。

 

京津線列車の東西線への乗り入れを拡充するからには、地下鉄を運営する京都市交通局を含めた総合的なダイヤの見直しが必要です。例えば、利用客の多い烏丸線を7.5分間隔から5分間隔に増発することが考えられます。

 

烏丸線の相互乗り入れの相手である近鉄京都線は、拙著【「復興計画」の時刻表集(完全版)】 で述べたように15分サイクル化するのが妥当ですが、烏丸線の3本に1本を「準急」として直通させれば問題なくつながります。この場合、準急の京都―竹田間を無停車(九条・十条・くいな橋通過)とすればスピードアップが実現します。

 

一方、東西線は六地蔵―太秦天神川間の各駅停車を10分毎に減便し、御陵で京津線直通列車からの接続を受けるようにします。京津線直通列車を完全な20分毎とし、蹴上・東山・二条城前・西大路御池を通過する「急行」に格上げすれば各駅停車との役割分担が明確になり、烏丸線との接続時間も2~5分に収まります。

 

烏丸線とは異なり、東西線と京津線は相互乗り入れではなく、京阪が一方的に直通する「片乗り入れ」です。京津線は大谷―上栄町間の最大61‰(パーミル)の急勾配や、上栄町―びわ湖浜大津間に併用軌道を抱える過酷な線路条件であり、これに対応するため京阪が導入した800系車両は4両編成の全車が電動車となっています。

 

京都市交通局の50系車両は6両編成の両先頭車両がモーターのない付随車のため、京津線には入線できないのです。京阪の800系は、全電動車である上に、保安装置として京阪型ATSと東西線用ATC・ATOの車上子を搭載しているため、非常に高価な車両となっています。

 

その価格は1両1億7千万円とも2億円とも言われており、2億円ならば車体長あたりで日本一という計算になります。なお、先頭車両には集団離反型クロスシートが横3列で配置されています。

 

20分サイクル化の最大のメリットは、この高価な800系車両を増備せずに運転区間を拡大できることです。逆にデメリットとしては、全体的に運転本数が少なくなって乗車機会が減ることや、山科・大津京・膳所・石山で連絡するJRが15分サイクル基調であるため接続時間が一定にならないことなどが挙げられます。

 

いずれも一長一短ですが、15分サイクル時のダイヤ改正案については拙著【遠近分離ダイヤの復興計画】 で述べたので割愛し、以降では20分サイクルの維持を前提として話を進めるものとします。

 

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