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JR東日本が気仙沼線(柳津~気仙沼)・大船渡線(気仙沼~盛)の鉄道事業廃止を届け出、BRTの運行はこれまで通り!

鉄道ニュース
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JR東日本は、東日本大震災で被災し、現在はBRTで運行している気仙沼線(柳津~気仙沼)と大船渡線(気仙沼~盛)の鉄道事業廃止の届け出をしました。これにより、同区間の鉄道での復旧は法律上もなくなることになりますが、BRTの運行はこれまで通り継続されます。

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JR東日本が気仙沼線・大船渡線BRT運行区間の鉄道事業廃止を届け出

JR東日本は、気仙沼線(柳津~気仙沼)と大船渡線(気仙沼~盛)の鉄道事業廃止を届け出たことを発表しました。

気仙沼線(柳津~気仙沼)、大船渡線(気仙沼~盛)は、東日本大震災の津波により大きな被害を受けてしまい、その後、地域の復興とあわせて、BRTでの復旧を進めてきました。

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法律的には「バス」ですが鉄道のようなホームが整備されています(盛駅)

BRTは「バス高速輸送システム」(Bus Rapid Transit)のことで、世界中で実用化されている交通システムです。日本では、主に、バス専用道やバス専用車線を経由するバスによる輸送システムを「BRT」と呼んでいるようです。

鉄道事業廃止の届け出がされたとしても、BRTの運行に影響はありません。鉄道は鉄道事業法という法律に基づいて運行されていますが、BRTは道路運送法という別の法律(バスやタクシーなどの旅客自動車運送について定めた法律)に基づいて運行されているためです。

つまり、鉄道事業廃止の届け出がされたところで、特にこれまでと何も変わることはないということです。一つ言えるとすれば、同区間を「鉄道」で復旧する可能性がなくなった、ということだけでしょう。

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専用道の整備や新駅設置が続く気仙沼線・大船渡線BRT

気仙沼線BRT、大船渡線BRTは、BRT専用道と一般道を組み合わせて運行されています。

BRT専用道は、東日本大震災前までは鉄道として使われていた路盤やトンネルなどをそのまま活用してBRTが運行できるようにした道路です。BRT専用道ですので、BRT以外の自動車は入ることができず、定時運行ができるメリットがあります。

一方、市街地周辺や、復興にともなって役場や病院、住宅などが高台へ移転したところなどは、一般道を通行します。一般道を通行することで、町の中心部や主要施設への乗り入れがしやすくなり、「路線バス」としての利便性が向上します。

BRTでの運行開始以降、BRT専用道の整備が続けられていて、2019年11月時点では、以下のようになっています。

路線 全長 BRT専用道 専用道
の割合
気仙沼線
柳津~気仙沼
55.3km 42.7km 77.2%
大船渡線
気仙沼~盛
43.7km 18.8km 43.0%

最終的には、気仙沼線BRTの約9割、大船渡線BRTの約5割を専用道として整備する計画になっています。

また、市街地を中心に、新駅の設置や、利便性向上を目的とした駅(停留所)の移動なども頻繁に行われています。

最近も、2020年春に、気仙沼線で1駅、大船渡線で4駅の新駅の設置が発表されています。

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気仙沼線BRTの柳津駅 BRT専用道と専用ホームが整備されました

筆者は、BRTの運行が始まった2013年と、2019年の2回、気仙沼線BRTに乗車しましたが、この6年の間に、専用道の整備が圧倒的に進んでいる印象でした。

2019年1月に乗車した気仙沼線BRTと大船渡線BRTの乗車記については、以下の記事をご覧ください。

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JR東日本が運行するBRT、ローカル線の廃止とは違う

気仙沼線、大船渡線の復旧を巡っては、当然のことながら、鉄道での復旧を望む声もありました。

しかし、気仙沼線、大船渡線の被災区間は長距離にわたり、鉄道での復旧費用は、気仙沼線で700億円、大船渡線で400億円(鉄道の原状復帰に加えて、ルート変更などにかかる費用=公的支援も含む)と巨額だったため、鉄道での復旧をあきらめて、BRTでの復旧を選択しました。

BRTでの復旧という選択が良かったのか、将来的にはわかりませんが、筆者としては、現時点では妥当な選択だったと思っています。

理由としては、

  • 気仙沼線、大船渡線のBRT区間は広域輸送よりはローカル輸送が中心(他路線との直通は重視されない)
  • 気仙沼~仙台の都市間輸送では、三陸沿岸道路の整備が進んでいて、高速バスのほうが本数・料金で利便性が高い
  • 復興に合わせて柔軟にルート変更や新駅(停留所)の設置ができる
  • 現状でも運転本数が大幅に増え、ローカル輸送としての利便性は向上している
  • 維持費の低いBRTをJR東日本が運行してくれることで、安い運賃で利用でき、当面の廃止を免れる

があります。

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大船渡線BRTのBRT専用道 トンネルは鉄道時代のままです

特に、JR東日本がBRTを運行している点は重要です。

BRT専用道の整備などには、鉄道復旧ほどではないせよ、それなりに費用がかかります。ただ、一度完成してしまえば、鉄道に比べて、BRTの維持費は圧倒的に低いはずです。

それに、BRTの料金は、JR東日本の鉄道路線の運賃と同じです。通常、路線バスの運賃は、JRの鉄道の運賃と比べるとかなり高く設定されていますので、鉄道と同じ運賃で利用できるのは、利用者にとってはありがたいはずです。

気仙沼線の柳津~気仙沼間のBRTの運賃は1,170円ですが、所要時間は1時間50分程度。地方の路線バスに1時間50分も乗車したら、運賃は2,000円を超えてもおかしくありません。

「もともと鉄道だったんだから、同じ運賃にするのが当たり前でしょ?」 と思うかもしれませんが、無理をして鉄道で復旧して、将来的に廃止されてしまったら、その代替バスの運賃は大幅に値上げされてしまうでしょう。

その点、JR北海道などで問題となっているローカル線の廃止とは大きく異なります。「JR東日本」が運行している、維持費の低い交通機関であることが重要なのです

いち鉄道ファンとしては、鉄路が二度と復活しないことが確定してしまうのには、一抹の寂しさはありますが……。


以上、「JR東日本が気仙沼線(柳津~気仙沼)・大船渡線(気仙沼~盛)の鉄道事業廃止を提け出、BRTの運行はこれまで通り!」でした。現在も専用道の整備などが進むBRTですが、沿線の復興の後押ししてくれる存在になってくれることを祈りたいですね。

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この記事を書いた人
乗り鉄歴25年!
ひさ

乗り鉄歴25年! 青春18きっぷやフリーきっぷを利用して、関東甲信越、北海道、東北によく乗り鉄に出かけます。このブログでは、これまでの乗り鉄経験を活かして、おすすめの列車や路線、青春18きっぷ活用のノウハウ、お得なきっぷの情報などを掲載しています。

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