10月の下旬のことになりますが、少し訳があって和歌山市へ出かける用事がありました

目的地が和歌山市駅の近くだったので、今回はいつも帰省で使い慣れているJR阪和線ではなく、往復共に南海電車を利用することにしました

 

あまり南海を利用する機会が無い上に、往復共に「サザン」の利用では乗り鉄的に面白くないので、復路については和歌山市から泉佐野まで「サザン」、泉佐野から難波までは「ラピート」を利用しました

ただ、今回は鉄分補給がメインで和歌山市まで来たわけではないので、記事のボリュームとしては少々控えめになると思います

 

乗車路線:南海本線

乗車区間:和歌山市駅1730発→泉佐野1758着

乗車列車:サザン48号

乗車車両:南海10000系10010F10910(1号車35番)

座席種別:特別車

 

 

ということで、南海の和歌山市駅(以下、市駅)にやって参りました

この駅を利用するのも、2014年の1月以来、実に5年10ヵ月ぶりのことになります

 

どうしても、和歌山市で生まれ育ったわけではないので、大阪との往来にはJRの「くろしお」号を利用することが多く、実はほとんど南海を利用したことがないんですよね

実は「サザン」の特別車も、この前日に新今宮から市駅まで乗車したのが初めての利用でした

 

 

ホームの上屋はなかなか歴史を感じることのできる構造ですが、もしかしたら開業当初からの構造物なのかもしれません

 

 

あまり南海を使わないこともあって、同社の車両事情にはあまり詳しくないのですが、2000系もすっかり本線での活躍する姿が板についてきましたね

元来は高野線用のズームカーとして生を受けた車両なので、市駅に17mの2扉車が停車している様子は何だか不思議な感じですね

 

 

 

 

 

 

 

次の「サザン」が発車するまで時間があったので、市駅で撮り鉄を楽しみたいと思います

こういうこともあろうかと、邪魔になることが分かりきっているのに、わざわざカバンの中にカメラを忍ばせておいたわけです

 

こうして見ると、南海もなかなかに古豪たちが奮闘しているんですね

一番下の写真の7100系については、73年6月に新造されているので、車齢はゆうに40年を越え、半世紀に迫ろうかという勢いです

 

ただ、7100系についてはかなり廃車が進んでいるようなので、おそらく製造から半世紀を迎える前に引退しそうですね

それを考えると、今回は貴重な車両を拝めたのかもしれません

 

また、南海といえばブルーにオレンジを組み合わせた塗装がお馴染みですが、側線にオレンジを基調にした珍しい電車が停まっていました

形式を見ると9000系となっていますが、これは”NANKAIマイトレイン”と名付けられた特別仕様車で、内装が他の更新車と異なっているようです

 

 

 

運よくめでたい電車も撮影することができました

加太の名産品である鯛をアピールするのに一役も二役も買っているようで、その様子はさしずめ走る観光大使といったところでしょうか?

 

 

ということで、私の乗車する「サザン」48号が4番のりばに入線してきました(※写真は前日に撮影した別列車)

 

泉佐野まで30分に満たない乗車なので、別に追加料金不要の自由席にしてもよかったのかもしれませんが、10000系もいつ引退するか分かりませんし、「サザン」に乗車するまたとない機会なので、ここは520円を支払って特別車に乗ることにしました

 

ただ、”サザンプレミアム”こと12000系の増備がわずか2編成のみで長らく中断されていることを考えると、もうしばらくはこの10000系が現役に留まりそうですね

それでは、車内へ入っていきましょう

 

 

 

 

 

 

車内は、優等列車としてごくごく標準的なアコモとなっていますが、やはり目を引くのは南海伝統の光天井です

どうして南海の特急車両は、このような不思議な形状の照明カバーを付けているのか謎ですが、特徴的なことだけは確かです

 

また、関西私鉄やJR西日本の優等列車では、お決まりとなっている網棚の補助照明ももちろん備わっています

この光天井+網棚の補助照明という組み合わせは、最新鋭の12000系にも受け継がれていることから、もはや南海のお家芸といえます

 

その代わりというわけではなさそうですが、この車両ではなんと窓の下の部分にカーペットが張られています

鉄道車両では、主にアッパークラスにおいて床にカーペットを敷いている車両は存在していますが、客室の側面にカーペットを敷き詰めた車両は、日本広しといえどもこの南海10000系だけではないでしょうか?

 

肝心の座席ですが、座り心地は柔らかめ、というよりも前時代的というか、昭和的と言った方がしっくりくるかもしれません

 

座席は一見したところ、簡易リクライニングシートに見えなくもありませんが、きちんとバックレストのみが可動する列記としたリクライニングシートが採用されています

いまでこそ、こうしたタイプのリクライニングシートは当たり前の存在になりましたが、当時として先進的な試みだったなのではないでしょうか?

 

ちなみに、これらの写真は10000系の中でも初期に製造された1次車の車内なのですが、実はこの車両には座席にテーブルがありません

座席周りにあるのは、窓の横に設置されている小テーブル、それに網ポケットとドリンクホルダー、いくら阪和間60分程度の乗車時間とはいえ、付帯設備が貧弱なことは否めません

 

やはり南海側としても問題意識があったのか、これから紹介する2次車(中間車)では付帯設備が改良されています

 

 

 

 

 

ということで、こちらが2次車の車内です

 

この10000系は、当初1次車として先頭車両のみの2両で登場しましたが、平成に入ってから新たに2次車として中間車両が製造されました

そのため、カラーコードは1次車と共通の仕様になっていますが、この両車では室内アコモに明確な差異が生じています

 

まず、1次車で特徴的だったカーペット張りだった客室の側面は、ごくごく一般的な形状に落ち着いています

この車両にご多分に漏れず光天井となっていますが、カバーはスリットが入った形状に変更されています

 

 

 

肝心の座席ですが、1次車と比べてシートピッチが980mmから1030mmに拡大され、センターアームレストとインアームテーブルが追加されていることから、居住性は明らかに向上しています

それに留まらず、フットレストまで設置されているのですから、ここまで来ると1次車の貧弱過ぎるアコモが悲しくなってきます

 

さて、車内観察を一しきり終えたところで、列車は暮れなずむ市駅を発車しました

本音を言えば、車窓が楽しめる明るいうちに難波まで行きたかったのですが、今日は乗り鉄がメインではないので、こればかりは致し方ありません

 

 

列車は市駅を発車してからおよそ30分で、日の完全に暮れた泉佐野駅に到着しました

難波まで行くのであれば、このまま大人しく「サザン」に乗っておけばいいのですが、せっかくここまで来たので当駅以北は「ラピート」に移動しようと思います