【サフィール踊り子】新型車両E261系が落成!甲種輸送で東大宮へ輸送開始

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JR東日本から構想が明かされて以降、伊豆観光の切り札として大きな注目を集めている新たな観光特急列車、「サフィール踊り子号」。

本日、この列車に使用されるE261系電車の一部が製造元の川崎重工業兵庫工場を出場、甲種輸送(貨物列車)にて東大宮へ向けて発送されました。

本記事では前編として、プレスリリースで発表されている概要とともに、今回出場した6両の外観をお伝えします。

E261系「サフィール踊り子」落成までの長い歴史を振り返り

2012年 新たな観光特急の検討

豪華観光特急の計画が初めて明かされたのは、JR東日本の中長期計画である「グループ経営構想V(ファイブ)〜限りなき前進〜」に遡ります。

JR東日本の中長期計画を記したもので、この「ファイブ」は2012年10月末に発表されています。

「鉄道ならではの魅力ある旅の提案や非日常性を感じられる車両空間の提供などを目的として、当社の新たなフラッグシップとなる豪華列車を導入します。」

という1文で、非常に抽象的な記述となっています。

TRAIN SUITE 四季島の計画を指しているのではないか?という見方も出来ますが、この発表の翌年である2013年にデビューしたJR九州が大成功を収めたクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」に影響を大きく受けてプロジェクトがスタートしたことを考えると、先ほどの中長期計画の記述は別の計画を指していたと推測することが出来ます

現在までの動きを加味すると、この記載がE261系の構想を指していたとも考えられるのではないでしょうか。

以前から中央本線の特急「スーパーあずさ」「あずさ」「かいじ」のE351系・E257系の置き換え、185系・251系をE257系の玉突き転用で置き換える計画があったこと(震災やE353系の試験不調などで延期した可能性が濃厚)、251系が明らかに延命措置として臨時列車を削っていることなどを総合的に考えれば、スーパービュー踊り子号の後継車両がこの頃から検討されていたはずです。

(噂の状態がその後も何年も続きました)

2018年5月 エクステリア・インテリアデザイン・形式名発表

2018年5月8日、今までは構想段階だった伊豆方面への豪華特急について、外観・内装についての詳細イメージが公開されて大きな話題となりました。

JR東日本では初となるプレミアムグリーン車をはじめ、グリーン個室・ヌードルバーなど、251系グリーン車で好評を博していた3列で広いシートピッチの座席・2号車1階のグリーン個室・1号車1階のサロン室といった豪華設備を成長発展した車両を4両設けているほか、5号車から8号車も通常のグリーン車とした豪華な構成で大きな注目を集めています。

エクステリアデザインについては、「伊豆の圧倒的な雄大な自然を表現」した「紺碧色」は「伊豆の海と空」をイメージしたほか、前面から屋根にかけての「ホワイト」は「伊豆の砂浜が太陽の光を受けて金色に輝く様子」、側面のグレーは「溶岩地形である城ヶ崎海岸の黒々とした岩石」をイメージしたとしています。

E6系以降のJR東日本の車両デザインを担当している「KEN OKUYAMA DESIGN」がこの新型特急のトータルデザインを担当しているほか、大きな話題となった「ヌードルバー」について、「TRANSIT GENERAL OFFICE」が担当することも公表されています。

伊豆方面特急としては、185系は登場時と現在は”白地に緑色のストライプ”、一時期は湘南色です。

現在の看板列車である251系「スーパービュー踊り子」では、登場時はアジュールブルー・フューチャーグレー、リニューアル後の現在は飛雲ホワイト・エメラルドグリーン・ライトブルーとなっています。

251系の現在塗色は当時のJR東日本の各新幹線のデザインを意識したものでしたが、伊豆方面=海の青というイメージ自体はそのまま引き継がれた格好です。

但し、宝石はエメラルドからサファイアになっているように、最近のJR東日本では同系統の色でも違う色合いにする傾向があります。

通勤型電車も彩度の高い色合いになったり、光沢やメタリックの塗装を採用したりと、この辺りは時代の流れでしょうか。

一方で、形式名については251系から続くJR東日本の直流特急型電車の続番であるE261系となりました。こちらもファンの予想通りでしょうか。

製造本数が8両2編成に絞られたことや、東京・新宿双方からの発着が検討されていることも明らかとなり、2020年3月ダイヤ改正で大きくダイヤにテコ入れがされる可能性が出てきました。

2018年9月 車両愛称を商標申請

現在運行されている「はちおうじ」「おうめ」「富士回遊」などとともに、「サフィール踊り子」の愛称が商標登録の申請をしていることが判明しています。

これにより、ファンの間では新型豪華特急の名称が「サフィール踊り子」になるのではないかという推測が色濃くなっています。

余談ですが、一緒に申請された「はちおうじ」「おうめ」は地域名そのままだからと商標は却下されています。

2019年5月 愛称・車両の詳細を発表

概要発表からちょうど1年となる2019年5月8日、伊豆方面の新型観光特急が「サフィール踊り子号」、形式名がE261系となることが正式に発表されました。

サフィールの語源については、フランス語の「saphir(サフィール)」を由来としています。

「宝石のサファイヤのような青く輝く美しい伊豆の海と空をイメージ」「上質・高級で優雅な旅を楽しんでもらいたいという願いから、英語の「sapphire(サファイア)」ということで、車体外観との整合がされています。

川崎重工と日立製作所で1編成ずつ製造……ではない理由は?

今回落成したのは、E261系2編成分の1号車〜3号車の6両です。

今回、E261系はプレミアムグリーン車とグリーン個室を設けた1〜3号車についてを川崎重工が受注、残りのヌードルバーとグリーン車を設けた4〜8号車を日立製作所が受注しています。

両社ともJR東日本の標準的なアルミボディの基本設計自体は製造経験がありますので、編成間で外観の目立つ違いは発生しないものと推測できます。

残りの日立製作所笠戸事業所にて製造されている10両についても、6日に発送開始で追いかけて上京する予定となります。

鉄道車両の発注では、複数のメーカーによって製造する際には編成単位で製造されるケースがほとんどですが、今回のような特殊な設計の車両や少数発注の車両、量産先行車・試作車などでは稀に編成間で異なるメーカーが担当します。

E261系についても、特に食堂車文化が廃れて久しいなかでヌードルバーといった供食設備が求められるほか、プレミアムグリーン車・個室などの内装についてもかなり特殊な艤装が求められることでしょう

同一仕様の車両を2両ずつ作る方が費用・手間を考えると適切という判断になったものと容易に推測できますね。

また、自社の看板車両を自社傘下である横浜・新津の総合車両製作所で担当しなかったことも特筆されます。

新津については通勤型電車に特化した設備であるために除外するとしても、E655系を東急車輛時代に製造した実績もある総合車両製作所横浜が引き受けなかった点は意外です。

こちらも、お召し列車で使用される”E655-1″もE261系同様の日立製作所笠戸事業所にて製造していることを考えると、1点ものの特殊車両に時間をかけるよりは、大量製造の車両を自社で安く仕上げる方が得策という判断なのかもしれませんね。

川崎重工業から登場した6両を見る

11月5日に川崎重工業を出場したのは下記の6両です。

E261系川崎重工出場車両

E261系RS1編成=クロE260-1・モロE260-101・モロE261-101

E261系RS2編成=クロE260-2・モロE260-102・モロE261-102

クロE260-1

RS1編成の伊豆急下田側の先頭車・1号車海側となります。

プレスリリースにて発表されているように、内装はプレミアムグリーン車となっています。

プレミアムグリーン車の記号に1等車由来の「イ」が付与されることに期待する声もありましたが、2等車由来の「ロ」を踏襲しています。

JR東日本ではお召し列車・御乗用列車などで活用されるE655系ハイグレード車両も「ロ」扱い(お召し列車で使用されるE655-1は符号なし)なので、整合性を考えると妥当なところでしょうか。

特急型電車では初めてとなるINTEROSの搭載(E353系ではE235系登場後の車両もTIMS)も目を惹きます。

1,250mmのシートピッチに合わせて付けられた窓も1号車の外観の特徴でしょうか。

モロE260-101

RS1編成の2号車海側で、こちらもプレスリリースで発表されているように内装はグリーン個室となっています。

また、1号車寄り(下田寄り)にトイレ・洗面所が設置されていることが床下にタンクを設置していることから判明しています。

プレスリリース等で以前から公開されている画像では、座席以外の用途は不明瞭でした。

モロE261-101

RS1編成の3号車海側で、こちらもグリーン個室です。

こちらは4号車寄りにトイレ・洗面所、そしてパンタグラフが設置されています。

トイレの構成が少し特殊な点は、251系の悪い部分を引き継いでいるようにも感じますが、車内案内はどういったものになるのかも気になります。

クロE260-2

RS2編成の伊豆急下田側の先頭車・1号車となります。

今回、編成毎の差異については明らかにされていませんが、少なくとも外観については同一のものとなります。

185系のような分割・併合運用は想定されていない車両であるうえ、そもそも先頭車と中間車が連結される甲種輸送自体も珍しいですね(先頭車同士を編成中間にしている場合は時々他社で存在します)。

モロE260-102

RS2編成の2号車山側です。

こちらについてもRS1編成との外観上の違いは見当たりません。

モロE261-102

RS2編成の3号車山側です。

甲種輸送でパンタグラフが端になる組成も少し珍しいのではないでしょうか。

JR東日本の新車輸送でもカバーが掛けられる例は時折ありましたが、今回は外観丸わかりでファンには嬉しい輸送となりました。

YouTube=鉄道ファンの待合室資料館で詳細映像を公開!

YouTube=鉄道ファンの待合室資料館にて、E261系甲種輸送の様子・詳細を編集少なめでご覧いただけます。

川崎重工出場編成はJR西日本の電気検測車で最後の”電気釜”として人気のクモヤ443系との離合や223系との並走と関西圏ならではの映像になっています。

日立製作所出場編成では、115系や227系との離合、相模湾とは似て非なる瀬戸内海を走る姿や、伊吹山・中京圏を走るシーンを収めています。

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