~お詫び~

記事の公開設定を誤り、編集が終わっていない状態で10月28日にこの記事が閲覧できる状態になっていました

編集作業が終わりましたので、本日より改めて公開したいと思いますが、想定以上に記事が長くなったので、前後編に分けたいと思います

 

 

去る9月11日のことになりますが、猛烈に近鉄特急に乗りたい気分に陥ったので、「伊勢志摩ライナー」に乗ってきました

そもそも、お盆に和歌山県にある実家からUターンしてくる時に、いつものように松阪経由で紀伊勝浦から京都まで「南紀」+「伊勢志摩ライナー」を利用しようと思っていました

 

ところが、諸般の事情でオーソドックスに「くろしお」号を利用して、和歌山・大阪廻りでUターンすることになったので、フラストレーションが溜まっていたわけです

そこで、「伊勢志摩ライナー」に乗りに行こうと思い立ち、当初はいつものように京都から京伊特急に充当されている列車に乗車する計画でした

 

しかし、近鉄京都・橿原線は、帰省や通院でよく利用している路線のため、肝心の車窓が代わり映えしません

それに、今回は帰省・Uターン時とは違い、いつも松阪駅で乗り換える「南紀」号のダイヤに制約を受けることなく旅程を組めることから、難波若しくは名古屋を発着する「伊勢志摩ライナー」に乗車することにしました

 

近鉄の時刻表を眺めつつ、難波へ行こうか名古屋へ行こうか迷っていたのですが、名古屋発着の「伊勢志摩ライナー」であれば、ついでに京都~岐阜間で大阪ひだ(「ひだ」25・36号)にも乗れることが判明しました

JR西日本管内へ乗り入れている大阪ひだについては、JR会社間跨りの列車がどんどん姿を消している現状を鑑みると、大阪しなののようにいつ廃止されてもおかしくはありません

 

そこで、今回のお出かけでは、京都から「ひだ」25号に乗車して岐阜へ向かい、ここで新快速に乗り換えて名古屋で近鉄に乗り換え、賢島まで行くことにしました

復路についても、岐阜から「ひだ」36号に乗りたいので、まったく同じルートを辿って京都へ戻ることにしました

 

なお、大阪ひだの乗車記については別稿で紹介するとして、この記事では「伊勢志摩ライナー」の乗車記のみを取り上げます

 

 

ということで、京都から「ひだ」25号と新快速に揺られて名古屋までやって来ました

近鉄名古屋駅にホームに降り立つのは、もう10年以上も前になる07年に近鉄難波(※当時)から名古屋まで21020系「アーバンライナーnext」に乗車して以来のことになります

 

関西の私鉄として、よくお世話になっている近鉄ですが、なかなか名古屋まで来ることはありません

大阪からともかく、京都から名古屋へ向かうのであれば、どうしても東海道新幹線一択なので、近鉄名古屋駅を利用するケースはかなり限られてしまいます

 

無論、京都から名古屋まで近鉄特急で行くことは可能ですが、かなり大回りになる上に、接続も悪く運賃・料金も新幹線と比べて大差ないので実用的ではありません

いつも訳の分からない寄り道ばかりの乗り鉄を敢行している私が、「実用性がない」なんて口が裂けても言える立場ではありませんが…

 

 

ということで、いつものように前置きが長くなってしまいましたが、そろそろ発車時刻も迫ってきたので、自席へ向かうことにします

「伊勢志摩ライナー」のレギュラーシートはいつも乗っているので、今回は奮発してデラックスシートを確保しました

 

奮発とはいっても、名古屋から賢島まで乗車しても追加料金は410円(※1)なので、JRのグリーン料金と比べてもずいぶんと良心的な価格設定です

その代わり、横3列シートではありますが、シートピッチはレギュラーシートと同じ1050㎜なので、横幅の割には足元が少し窮屈な印象を受けます

 

JRの特急であれば、グリーン車の標準シートピッチは1160㎜なので、それと比べると物足りなさを感じてしまいますが、徴収される追加料金の安さを考えると買って損はありません

賢島からの復路も、同じように「伊勢志摩ライナー」のデラックスシートを利用しているので、後ほど詳細な座席チェックをしたいと思います

 

夏休みも終わった9月半ばの平日とあって車内は空いている…のかと思いきや、そうでもありません

名古屋から三重県下の津や松阪といった都市へ向かう用務客や伊勢志摩方面へ向かう観光客で車内は非常に混雑しています

 

名古屋発車後に一通り車内を観察しましたが、レギュラーシートでは空席を見つける方が難しいほどの盛況ぶりです

裏を返せば、名古屋から三重県下の都市へ向かう場合の交通手段として近鉄特急が圧倒的なシェアを誇っていることをまざまざと見せつけられた気分です

 

定刻通り11時10分に近鉄名古屋駅を発車した「伊勢志摩ライナー」は、県境を越えて最初の停車駅である桑名駅に到着しました

驚いたことに、デラックスシートに乗っていたお客さん(1名)が桑名駅で下車しました

 

名古屋からであれば、急行に乗っても20分ほどで着いてしまう距離ですし、始発駅である名古屋からであれば座席を確保できなくもないと思うのですが、特急の魅力には抗し難いのでしょうか?

 

 

妻壁には真珠のレリーフが飾られており、行楽客の利用を念頭に置いた配慮がなされています

この辺りは、ビジネス利用を念頭に置き、実用本位な内装の「アーバンライナー」のデラックスシートとは好対照を成しています

 

「伊勢志摩ライナー」の後輩であり、同じく行楽輸送を担っている「しまかぜ」は客室内に本革張りの座席が鎮座しており、視覚へ直感的に訴えかける豪華さが特徴ですが、こちらこちらで暖色系にコーディネートされた空間が落ち着いた雰囲気を演出しています

 

 

 

せっかく追加料金まで払ってデラックスシートに乗っているのですから自席で大人しくしておけばいいのですが、「伊勢志摩ライナー」に乗ったからには展望デッキに立ち寄りたいものです

離合する列車を撮影しようと思ったのですが、カーブの向こう側からいきなり現れるのでなかなかタイミングが合いません

 

 

早く自席に戻って寛ぎたいところですが、今度はシーサイドカフェの誘惑に負けて、しばらくここで

登場当初は、ここが売店として営業していましたし、いまでも土休日はここをベースにして車内販売が行われていますが、平日はご覧の通りもぬけの殻です

 

では、どんな誘惑に負けたのかというと、他のデッキと違って車端部にぽっかりと空間が空いているため、ここだとインバータの音が凄くはっきり聞こえるんですよね

 

 

そんなこんなで、”車内探検”に出かけてから1時間ぶりに自席へと戻ってきました

列車は既に松阪駅を発車し、もうまもなく斎宮駅に差し掛かろうとしています

 

列車が南下するにつれて、車内の乗客も1人、また1人と去っていき、車内はどこか外界とは隔絶されたようにゆったりと時が流れていくようです

こうした乗車しているだけで心が安らぐ瞬間にこそ、追加料金を支払ってアッパークラスに乗車する意義を見出すことができます

 

デラックスシート車には、VVVFインバータや主電動機といった走行関連機器は搭載されておらず、車輪がレールを駆る心地いいサウンドだけが耳に届きます

いつもはインバータ音が聞きたいので、レギュラーシートに好んで乗っているのですが、この快適な空間が僅か数百円の追加料金で手に入るのであれば、これからも積極的にデラックスシートを利用したいですね

 

ところで、今回のお出かけでは帰省のついでによく利用している京伊特急ではなく、名伊特急に乗って正解でした

近鉄名古屋線は12年前に1度乗ったきりですし、近鉄鳥羽・志摩線の方にいたっては前に乗ったのがいつなのか思い出せないくらい昔のことなので、普段まったく利用しない路線とあって車窓は新鮮そのものです

 

鳥羽を過ぎればデラックスカーの車内は空席になると思っていたのですが、あに図らんや私以外にも3名の乗客が名古屋から終点・賢島まで乗り通しました

志摩半島の南端部に向かうにつれ、人口が漸減していくとはいえ、やはり著名な観光地であることから、底堅い行楽需要があるようですね

 

 

名古屋を出発してから2時間ほどで終点の賢島に到着しました

暦の上では秋ですが、まだまだ強い日差しがホームに照り付けています

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

賢島では、伊勢志摩への行楽輸送を担ってきた歴代特急車両…ビスタカー(ビスタEX)・伊勢志摩ライナー・しまかぜ…の3列車が揃い踏みです

5線しかない構内を4本の特急車両が埋め尽くす光景はなかなか壮観です

 

 

駅の横に看板があったので、とりあえず賢島を訪れた記念に「しまかぜ」をバックに絡めて1枚写真を撮っておきました

帰りの列車がおよそ1時間後に発車するので、あまり時間はありませんが、ちょっと駅の周辺を散策したいと思います

 

 

志摩マリンランドへ行くのも悪くはありませんが、絶対に時間が足りなさそうなので、海でも眺めに行こうと思います

 

 

 

志摩半島のこの辺まで来ると、地理的にも近いせいか、どことなく風景が我がふるさとである紀伊半島南部と似通っていますね

ただ、海に山がせり出すような険しい地形ではなく、山の標高も低いので視界は開けています

 

 

以前、YouTuberのド●チソ氏が紹介していた船上レストランは、残念ながら閉店していました

海の幸を豪快に焼き上げる残酷料理で有名?でしたが、多くの人で賑わっているはずの船内はもぬけの殻で、当然店内(船内?)へ立ち入ることはできません

 

 

駅の近くにあったレストランの玄関に何とも愛くるしいデザインのマットを発見しました

松坂牛に伊勢エビ、それに伊賀忍者と三重県の名物があしらわれたイラストで、お土産品としてクリアファイルにしてもよさそうなデザインです

 

お腹も空いていたので、ここで昼食にしてもよかったのですが、ゆっくり食事をしていては帰りの列車に間に合いそうにありません

 

 

今回の旅程では、往復共に大阪ひだを利用するという制約があったことから、賢島でゆっくり滞在できなかったのですが、せっかくここまで来たのですから英虞湾島めぐりクルーズくらいは乗りたかったですね

 

 

最後に、賢島駅から真珠港駅間の廃線跡を見学してから駅に戻りたいと思います

かつて、近鉄志摩線は志摩電気鉄道として、鳥羽~賢島間が1929年に全通しました

 

旅客上の終点は賢島駅だったのですが、この先の港にある真珠港駅に向かって300mほどの貨物線が伸びていましたが、1969年7月に廃止され、跡地はご覧のように道路になっています

写真の奥に見えているが現在の賢島駅ですが、その右側の駐車場となっている部分に志摩電気鉄道時代のホームが存在していました

 

志摩電気鉄道が近鉄志摩線となり、レール幅が狭軌から標準軌へ改軌された後も普通列車専用ホームとして残存していましたが、それも94年3月に撤去されました

いま現在では、志摩電気鉄道の残り香が感じられるのは、開業当初からの駅舎のみとなりましたが、帰宅後にこの事実を知ったため、写真を撮り忘れてしまいました

 

~近鉄特急「伊勢志摩ライナー」デラックスシート乗車記(後編)へつづく~

 

 

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