小田急9000形(地下鉄乗入仕様)入線~営団車に負けない小田急のプライド~ | みなかん~南千住車両管区~

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鉄道模型を中心に、ゆる~くのんびり・まったり語るブログ。
取り扱う車両は、営団地下鉄と乗り入れ先の関東私鉄たちが主成分です。

 

おはようございます、ななせです♪

 

今回は記事のテーマを変え、小田急に関する話題をお送りいたします。

 

ブログ移転後初めての小田急の記事なので改めて説明すると、保有車両はまだ微々たるものながら

当区第三の柱であり、9000/5200形までの通勤車とSE車(3000形)までのロマンスカーがポリシーです。

本当にひねくれていますね

 

一方で、当区では地元車両として常磐線や営団千代田線の車両も展開しており、

長らく空白になっていた千代田線を走る小田急の車両がこの度ようやく入線しました。

 

 

 

新たに入線したのは、マイクロエース製

「小田急9000形 地下鉄乗入仕様車 4両/6両セット」です。

 

MAの9000形は様々な仕様が出ている中、このセットは単に乗り入れ運用としてだけでなく

本線運用としても使えるので汎用性の高さと近年の国鉄・営団車の製品化と相まって人気があります。

 

実際に前ブログ時代に交流のあった方もこちらの4両セットを入線した時に

千代田線へ乗り入れるためではなく、江ノ島線での運用を想定して入線したと言っていました。

 

 

当区ではもちろん4+6連にして地下鉄乗り入れが目的で入線していますが、

本線仕様にもう1編成欲しいなと思ってしまいます…

沼って怖いですね

 

 

 

箱の中身はこんな感じです。

 

本線仕様として走らせることも見越しているためか、「基本/増結」という表記は無く

各セットに動力ユニットが入っており、それぞれ独立しています。

 

編成は第3編成である9003×49403×6

今回は2セット同時に紹介するので、4両セット6両セットで色分けを行います。

*小田急の編成は「新宿方の先頭車×両数」で表します

 

車番は下記の通りです。

 

←新宿/綾瀬

 

(Mc1) デハ9003

(M2)  デハ9103

(M1)  デハ9203

(Mc2) デハ9303

 

(Mc1) デハ9403

(M2)  デハ9503

(T1)  サハ9553

(T2)  サハ9653

(M1)  デハ9603

(Mc2) デハ9703

 

→本厚木・小田原/藤沢

 

 

 

小田急9000形は、営団千代田線乗り入れ車として、直通運転開始に先立ち1972年に登場しました。

お前その乗車券の世代じゃないだろ

 

開発当初は5000形の次形式として「6000形」とするつもりでいたものの、乗り入れ相手の営団では既に

6000系(1次試作車;1968年)が登場しています。

 

そこで車番被りを避けるため、千代田線の計画路線である「9号線」を由来とした「9000形(仮)」と

その場しのぎで命名したものがそのまま正式名称になりました。

 

 

従来の正面3枚窓で貫通扉に方向幕、上部に前照灯のある「小田急顔」から一変し、

屋根に届く大きな前面窓と窓下に灯火類を配するなど前面デザインが大きく変わりました。

 

これは乗り入れ先の千代田線を走る営団6000系が登場当初から斬新なスタイルが話題を呼んでいたからであり、

小田急側としてもそれに負けじと大胆にモデルチェンジを行いました。

 

その事からも、営団6000系に続いて1973年の第13回ローレル賞を受賞しており

小田急の車両の中でローレル賞を受賞したのは本形式が唯一です。

「BR賞は受賞しまくっているのに…」とか無粋なツッコミをしてはいけない

 

 

登場から6年後の1978年に千代田線が全通、乗り入れを開始したことにより

従来の本線運用に加え、綾瀬~本厚木の直通運用もこなす多彩な活躍ぶりを見せました。

 

 

 

では、詳しく見ていきましょう。

最初は「共通ルート」として、全体的に見ていきたいと思います。

その言い方は誤解を招きますよ

 

まずは先頭車(Mc1/Mc2)の4両から。

左が新宿(綾瀬)方になっており、順にデハ9003930394039703になっています。

*真ん中2両だけTN化しています(後述)

 

9000形は小田急通勤車で初めてスカートを本格採用した車両であり、それぞれスカートの形態が異なります。

 

写真をよく見るとデハ9703のスカートの端が…?

どうやら「ハズレ」を引いたらしく、デハ9703のスカートがデハ9303と同じものになっていました。

 

これに関してはエラーではなく、単なる検品漏れです。

 

まあ車体ではないのでメーカー送りにするまでもなく、1ミリのプラ角材をコアにして

パテ盛ってペーパー掛けしてサフを吹いてサクッと修正しました。

*付け間違えていたのが新宿方先頭車のパーツだったらバッドエンドですが…

 

 

また、デハ9003のみ前面ステップの高さが段違いになっており、

これは新宿方の先頭車には元々ジャンパ栓が付いていたからです。

*デハ9403(6両セット)の方は追設だったため他の車両と同様の位置

 

当製品は撤去後の姿をプロトとしているものの、乗り入れ開始後も80年代初頭までは

付いていたので、パーツさえ工面できれば当区ではジャンパ栓取り付けはマストですね。

 

 

 

同じく大形車である2600形(NHE車)を並べてみました。

9000形は地下鉄に乗り入れるために、車体幅が従来より30ミリ狭くなっています。

 

30ミリの差なので並べれば露骨にわかるという違いではありませんが、

縦長の前面窓と相まってスカートが短くてもどことなくほっそりした印象です。

 

 

 

前面を斜めから見てみます。

 

灯火類の部分から屋根にかけて後ろへ傾斜しており

営団6000系を意識していることがわかります。

 

9000形は千代田線との直通運転開始に際して、10連を組むと中間で顔を合わせる先頭車

(デハ93039403)の貫通扉脇の手すりを大きなものに交換しています。

 

最初は「大形」と聞いたのでABF車が付けているような長めのものを想像していたのですが、

これはこれで他形式と併結してみると結構大きいことがわかります。

 

 

 

他にも9000形の特徴は、側面の窓にも見られます。

 

従来の高性能通勤車は二段窓を使用していたのに対して

9000形は一段下降窓を採用しました。

 

側面窓が1枚でスッキリした外観になっており、いかにも「新型車」な雰囲気が漂います。

 

また、従来車と違うのは乗務員扉と客用扉間の戸袋窓の有無で、

これは地下鉄用の保安装置など、運転席に機器類を詰め込んだことによるものです。

 

これに関しては国鉄103系ATC車/1000番台も同様ですね。

 

 

 

続いては、乗り入れ仕様ならではの特徴を見ていきましょう。

 

10連を組んだときに先頭で風を切るデハ90039703の妻面には営団用の誘導無線(IR)アンテナが

1両あたり1つずつ妻面左側に付いています。

 

ちなみにU-TRAINS製のものだと右側に付いていた写真を見たことがあり、営団車同様に

アンテナ感度向上のために増設したのか、はたまた編成によって位置が違うのか疑問が残ります…

 

 

 

 

これまた営団IRアンテナを装備しているデハ90039703のみに見られる特徴として

屋根の上には常磐無線アンテナの準備工事があります。

*真ん中の逆L字アンテナは小田急無線

 

常磐無線アンテナもまた送信/受信用で2つあるため、前後に台座と

その2つの台座を結ぶ配管を設置しています。

 

千代田線に乗り入れた暁には綾瀬より先の常磐緩行線にも乗り入れる計画があったようで

そのことを見越して準備工事がなされていました。

 

 

 

台車を見ていきます。

使用している台車は住友製リンク式台車であるFS385/085です。

 

小田急では定番のアルストーム式の台車であり、当区ではHE車こと2400形と並び

2例目の両抱きブレーキ式の台車です。

 

FM車やNHE車は片押し式のものを使用しているためどこかシンプルですが、

やはり個人的には9000形や5000形シリーズが履く両抱き式の方が好きですね。

 

 

 

小田急では長いことアルストーム式台車を多用していた一方で、様々なメーカーから

新方式の台車のテストに関するオファーがしばしばある事でも知られています。

 

そんな中、9000形開発時にも住友金属から「営団に乗り入れるのだからミンデンはどうだ?」と

営団6000系が履いているようなS形ミンデン台車の話を持ち掛けられたことがあるようです。

 

それに対して「あれはダメだ」と却下したそうですが、もし採用していたら

鋼製車ならではの重厚感は少し薄くなっていたかもしれませんね。

 

 

 

 

次は床下機器です。

 

上写真はM2/Mc2(デハ9303910397039503)で、

下写真はM1/Mc1(デハ9003920394039603)になっています。

 

M2/Mc2では制御装置が、M1/Mc1ではMGとCPを搭載しており、

一般的なMM’ユニット構造になっています。

 

 

9000形は界磁チョッパ制御を採用しており、狭いトンネルを走る地下鉄では

抵抗器からの排熱がネックになっていました。

*界磁チョッパは抵抗制御の仲間です

 

そこで排熱問題の観点から、抵抗器に送風機を取り付けた強制冷却式を採用しました。

 

この方式は国鉄車両でよく見られた方式ですが、対する103系1000番台は騒音を抑えるため

自然冷却式にして、トンネル内に熱風をまき散らすことになり…

 

営団6000系は電機子チョッパを使用していることから消費電力量の差分を国鉄は営団に支払っていたという話は

有名な話であり知っている人も多い一方で、実は小田急も支払っていたという事はあまり知られていないみたいです。

 

しかし、営団側にも欠点があります―それは非冷房であること。

 

先述の通りトンネル内の温度上昇対策で車両の冷房化が遅れているのに加え、

走行距離相殺のために9000形3本は日中時間帯に綾瀬~代々木上原での折り返し運用に使われています。

もちろん、冷房を切って

 

小田急も当時は冷房化率100%ではありませんから、なぜ冷房車3本を他社で走らせ

自社に乗り入れてくる営団車は非冷房なのかと不満を募らせていたのだとか…

 

 

 

共通ルートでの紹介はだいたい終わったので、個別ルートに入る前に

簡単なセットアップを行います。

 

まずは顔を合わせる車両だけTN化しました。

スカートを外して電連付きのTNカプラーに交換し、スカートを元に戻すだけのお手軽工事です。

 

 

 

取り付け完了&他形式との比較です。

 

やはりTN自体オーバースケールな感じがあり、それに加えてデハ9303のように

スカートから飛び出してしまう車両もあります

 

 

 

TN車同士で連結してみました。

電連の存在も相まって、雰囲気が出ていていい感じです。

 

走らせてみても特に手すりが干渉して脱線してしまうことも無く

走行面においては問題ありませんでした。

 

 

 

続いてはパンタグラフを少しいじりました。

 

少々見づらいですが、相変わらずパンタグラフのホーンがショボくなっているため、

グリーンマックス製のPT42Lのホーン部分と交換しました(写真奥)。

 

いつものようにTOMIXのパンタグラフをドナーにしているわけではないので、

取り付け・取り外しに関しては普段より簡単にできました。

 

 

 

 

もちろん、互換性の無い他社製品ですから欠点もあります。

それは―パンタグラフが完全に閉じなくなることです。

 

とはいえ、走っている時は全てのパンタグラフが上がっていますし

これはこれで地下鉄走行時みたいと割り切ってしまえばいいかな…と。

 

ちなみにケースに仕舞う時はホーンを引っ掛けないように注意すれば

下写真のように収納可能です。

*タムタムウレタン(12両)でも大丈夫でした

 

 

 

 

さて、ここから先は(内容の薄い)個別ルートに入っていきます。

最初は…オレンジの色分けがやたらと多かったので、4両セットから始めましょうか。

 

4両セットは先述の組成内容からもわかる通り、

全ての車両が電動車であることが特徴です。

 

 

ここで特徴的な車両は…やはりMcだけどパンタグラフの無い

デハ9003(Mc1)でしょうか?

 

デハ9003に限らず、パンタグラフの無い車両にもパンタを置くスペースや

ランボードを屋根上に設置してあります。

 

 

 

 

こちらはパンタグラフを装備するデハ9303(Mc2)とデハ9103(M2)です。

 

主ヒューズ箱が2つ設置であるのはどちらも共通していますが、

避雷器の位置と配管の取り回しの向きが異なります。

 

これに関しては、Mc2が新宿方・M2が小田原方にパンタを設置しているため

編成を組むと同一の側面に避雷器(海側)と配管(山側)がくるようになります。

 

ちなみに妻面の配管・ステップについては両者共に同じです。

 

 

 

こちらはM1車であるデハ9203。

パンタグラフの無い中間電動車は、4連の中にしか含まれていません。

 

デハ9003(Mc1)同様に、パンタスペースとランボードを新宿方に設置しています。

 

 

 

 

妻面写真です。

写真上が新宿(綾瀬)方、写真下が小田原方です。

 

4連の方は両数自体が少ないのでこれといって大きな差はないものの、

パンタ無しの先頭車であるデハ9003(Mc1)だけ他とは違った形態になっています。

 

以上が4両ルートでした。

 

 

 

 

さて、今度は緑色で塗り分けした6両セットです。

6連の先頭車はどちらもパンタグラフを設置しています。

*デハ9703スカート修正済み

 

しかし、屋根上を見るとその違いは一目瞭然です。

 

下写真上がデハ9703(Mc2)・下がデハ9403(Mc1)で、主ヒューズ箱の数・避雷器の位置・

配管の取り回しといった差異が見られます。

 

 

 

 

次は6連の妻面形態です。

先程の4両セット同様に、写真上が新宿方・下が小田原方です。

 

一部車両については後述しますが、他の車両には無い形態のものが4連の時より多いです。

 

 

 

デハ9603(M1)とデハ9403(Mc1)です。

 

どちらの車両も制御器の無いMG・CP搭載車ですが、6連の編成では全ての電動車に

パンタグラフを設置しているのが特徴です。

 

 

 

 

M1/Mc1の配管の取り回しです。
制御器を搭載していないせいか、主ヒューズ箱の数がM2/Mc2車と比べ一つ少ないです。
 
一方でM2/Mc2車の時とは違い、屋根と妻面で高圧母線の取り回しと
妻面ステップの位置や種類が異なります。

 

 

 

 

これまた6連の編成にしか含まれていない付随車です。
上写真手前がサハ9553(T1)、奥がサハ9653(T2)になります。

 
先述の通り、付随車とはいえ屋根の上にはパンタ設置スペースとランボードがあり、
スペースの位置はサハ9553(T1)は小田原方・サハ9653(T2)は新宿方です。
 
また、サハ9553(T1)の新宿方の妻面のみに貫通扉を設けており、
9000形の中では当車両が唯一となります。

 

 

 

さて、一通り攻略(?)したのでエンディングはシール貼りです。
 
付属品のものは正直微妙という事で、ジオマト製の#A1-903B(6輌用編成車番)に
含まれているステッカーを使用しました。
 
ちなみに4輌用のものを使用すると、現行仕様のステッカーが入っており
当製品には合いません。
 
ステッカーには切り出し用のガイド線がついているものの、線に沿って切ると
ライト点灯した時に光漏れするため、外枠いっぱいに切り出すことをお勧めします。

ここで一番苦労したのが列車番号を貼り付けるとき。
 
車体側は塗装印刷で一文字ずつセパレートになっているのはいいのですが、プリズムに
そのまま貼った所で列番が枠内に収まりません。
 
枠内に収まるようにするには右に少しはみ出して貼る必要があり、そうすると
今度はプリズムを元に戻す時にステッカーが斜めにズレやすくなります。
 
そして何度もつけ外しをしていると、今度は黒の塗装印刷が剥がれてしまうので気を付けましょう。
*単に私がヘタクソなだけなのですけどね

 

 

 

 

何とか貼り付け完了&点灯チェックです。

乗り入れ仕様のアピールということで、準急綾瀬行き・列番は99Eにしました。

 

千代田線乗り入れ運用(平日のみ)は全て準急であり、本線系統の準急とは違い経堂駅も通過するので

登戸駅までは急行列車と同じ停車駅になります。

 

これで朝の上りで1本だけある「スキップ準急」の板とかあれば

91Eでもよかったのですけどね…

*生田・読売ランド前・百合ヶ丘も通過する準急

 

ちなみに側面については種別表示のものが含まれていないため、

付属品でお茶を濁しました。

 

 

 

ということで、長々と話しましたが以上が地下鉄乗り入れ仕様の小田急9000形についてでした。

これで千代田線を取り巻く乗り入れ車両を3社コンプリートすることができました。

 

あとは派生形などを集めていったり、9000形自体も本線運用にもう1編成くらい欲しいので

次に入線する時は噂の(?)登場時仕様になるのかな…と。

 

最後の方は字数上限に引っ掛かりそうで失速気味…これだけ話してろくな総括も出来ず

グダグダしていますが、取り零しの部分はまた登場時が入線した頃にでも…

 

それでは今回はこの辺で。

長らくのご乗車お疲れ様でした♪