今里筋線には、実はこっそり1編成だけ電気式のドアを採用した電車がいるのをご存知でしょうか。
ドア開閉の音をよくよく聞いていると、その違いがおわかりになるかと思います。
今回、わかりやすように動画にして比較してみました。
いかがでしょうか。01編成のみ、どこかガチャコンッという音がするのがおわかりになられるかと思います。
この電気式ドアは80系01編成だけが持つ機構で、今里筋線はおろか大阪メトロ全体を見渡してもこの1本だけに採用されているという非常に珍しい編成です。
何故採用したのか?
電気式ドアを採用した理由としては、次のように述べられています。
戸閉め装置については、試作車01編成にて当局(注:大阪市交通局のこと)としてはじめての電気式戸閉機を採用し、今後の当局標準の戸閉機のあり方を検討のためのバックデータを積み上げるため、長期試験の位置付けで使用していくものとする。また、量産車には、一般的な圧縮空気に寄るベルト駆動方式の戸閉機を採用した。
出典:「大阪市高速電気軌道第8号線 井高野~今里間地下鉄建設記録」大阪市交通局
なるほど、今後の技術的な長期データを積み上げる為に採用したようですね。
これより後に出た30000系には採用されなかったことから、現時点では従来どおりの空気式ドアの方が良いという結論になったのでしょうか。
電気ドアのメリット
電車のドアは、大正時代以来長らく空気圧縮式のドアが採用されてきました。全国的にもほぼ共通の部品となっていますが、近年JR東日本では電気式ドアの量産へと移行を始めています。
そもそも、何故電気式のドアを採用するのでしょうか。
こんな資料も参考になるかもしれませんhttps://t.co/EKsvQWAcXI
— ensen-y (@ensen_y) October 16, 2019
今回はensen-y様に参考となる論文をご教示して頂きました。ensen-y様にこの場にて御礼を申し上げます。
制御性を高くし乗客や荷物が挟まったときの安全性を高めることや、自己診断機能などによるメンテナンス作業の軽減を志向し電気式の戸閉装置を採用するところも増えてきている。(中略)
電気式戸閉装置では、コンロトーラ部分にメモリーを持ち、ローダによって装置の状態を確認したり、また情報制御伝送用装置と連携して運転台のモニタに装置の情報を表示したり、運転台からの操作により一斉に開閉試験を行い、開閉時間や電流値により側引戸に障害物の有無などの異常が無いか、また異常の兆候が無いかどうかを診断する機能を有するものがある。こういった機能を活用することで、メンテナンスの軽減に役立てることができる。
出典:「電気式戸閉装置の構造と機能について」鉄道車両工業461号 2012年1月
https://www.tetsushako.or.jp/page_file/20120123135142_rjgw9ViEaQ.pdf
空気式ドアにはないメリットとして、安全性の向上やAI化が容易でメンテナンスに関わる人的負担を軽減することが可能であることがメリットのようです。
南海にも出ている?
https://twitter.com/OsakaSubwaycom/status/1186463673004388352
長らく関西で電気式ドアを採用したのはこの80系01編成のみでしたが、近年になって南海電鉄6509Fでも電気式ドアが誕生しだしているようです。
関連ツイート
80系の01編成と量産車のドア開閉の違いを動画にしました
01編成は大阪メトロ唯一の電気式ドアになっています。JR東日本ではよく見るタイプですね pic.twitter.com/BCxRKO7iyS— Osaka-Subway.com (@OsakaSubwaycom) October 28, 2019