前回は大浪通を通る87号系統のお話でしたが、今回はもう一つの大浪通経由の系統・98号系統をご紹介することとします。
しかし、この系統の歴史を紐解いてみると、度重なる路線再編の動きに巻き込まれかなりややこしいことになっていたようです・・・。


Osaka TR1029 98taisho

【98】[新千歳]大正区役所前行き
三菱ふそう CNGエアロスター KL-MP37JK改
酉島営業所所属 57-1029号車(2007年式)

今回初めて他営業所との共同運行路線を紹介しますが、鶴町営業所が持つ共同運行路線は専ら酉島営業所とのペアとなっています。
98号系統はドーム前千代崎・大正橋から大浪通に入り、泉尾一丁目、新千歳、済生会泉尾病院前を経由して大正区役所前に至るかなり短い路線です。
本数には若干の変動がありますが、日中1時間に1~2本、朝夕は1時間に3~4本と87号系統と合わせてそこそこの高頻度運転となっています。
大正通を通らないにもかかわらず、営業係数は鶴町営業所の中でも2番目に良い成績(営業係数75、2017年度)を誇ります。

2014年からは同じくドーム前千代崎発着の51号系統「弁天町駅前経由天保山行き」との連結運行を、酉島営業所担当便に限り開始しました。
連結運行というのは、ドーム前千代崎に到着した98号系統が終点扱いとせず、そのまま51号系統として天保山へと向かう仕組みです。
勿論その逆も然り、乗客は引き続き乗車して天保山方面に行くこともできます。
裏を返すと、終点のドーム前千代崎で降車する際は降車ボタンを押さなければならないため、なかなかややこしいシステムになっています・・・。



Taisho-bashi

(系統番号は自作しました・・・汗)
こちらは大正橋バス停の乗り場一覧ですが、これが後述する98号系統の経路改変の歴史を紐解く鍵となります。

まずは南行の1~5番のりばを見ていきますが、日中を基準に考えていくと以下のような分類ができます。

【1】:大浪通(泉尾一丁目・新千歳)経由・・・【87】【98】

【2】:大正通(南泉尾・大運橋通)経由の鶴町四丁目行(各停)・・・【71】【90】【91】

【3】:千島団地・小林公園前経由・・・【94】

【4】:西船町行(各停)・・・【70】

【5】:地下鉄住之江公園行・・・【76】

ご覧の通り経路別・行先別に乗り場が分けられており、特に乗客の多いこのバス停の待機列分散が実現されています。
これに【70急行】と【91急行】を同系統の各停便と被らないように配置すると画像のような配置になります。
98号系統の発着する1番のりばは他の乗り場と違ってJRの高架を挟んだところにありますが、特にこれに深い意味は無さそうなので割愛します。


一方で、北行の6~9番のりばは完全に行先別で分けているタイプですが、それがなかなか変なことになっています・・・。

【6】:ドーム前千代崎行・・・【98】

【7】:なんば行・・・【71】【87】

【8】:野田阪神行・・・【90】

【9】:ドーム前千代崎行・・・【70】【76】【91】【94】

同じドーム前千代崎行なのに98号系統だけ隔離された状態になっています。
他のドーム前千代崎行は9番のりば(実質的に降り場)、しかし98号系統だけ9番のりばをすっ飛ばして6番のりばで客扱い・・・
そう、この「6番のりば」に98号系統の”散々振り回された”歴史が詰まっているのです。


かつて98号系統は「大正区役所前~大正橋~玉船橋~弁天町バスターミナル」を結ぶ、今でいう現行の98号系統と51号系統の一部をドッキングしたような経路を辿っていました。
尚、この当時からドーム前千代崎発着の大正区役所前行(現在の98号系統のルート)が無かったわけでなく、当時の大阪市バスの常套手段であった「区間運行」と言う立ち位置で、「98A号系統」として運行されていました。
担当営業所も酉島や鶴町ではなく、2013年に廃止となった港営業所となっていました。

2010年辺りまでは先述した2つの経路の他にも「新千歳止め」の便も存在していたようですが、それ以降は98,98A号系統の2本体制で運行されていました。
しかし2012年にダイヤ改正が行われ、98A号系統が独立して74号系統に変更。
74号系統は平日と土曜の朝夕限定の便として、引き続き98号系統を補完する役目を果たすこととなりました。
でもこの体制は長くは続かず、翌年には港営業所の廃止に伴い鶴町営業所と酉島営業所がその跡を引き継ぎ、さらにその1年半後の2014年9月には遂に弁天町バスターミナルが閉鎖となるのです。
そこで、従来「弁天町BT~大正橋」の区間を98号系統が受け持っていた代わりに、「弁天町BT~第一突堤前~天保山」を結んでいた51号系統をドーム前千代崎に延伸する形でバトンタッチ。
98号系統は現在の運行経路に短縮される代わりに、一部の便を51号系統との連結運行を行うことになりました。
それと同時に74号系統は98号系統に名称変更、消滅しました。


Taisho-6789

以上を踏まえると、大正橋6番のりばはかつて「弁天町BT行の乗り場」として機能していたことが分かります。
74号系統が存在していた当時は、その74号系統とも棲み分けが為されていたため特段矛盾が発生するということは無かったのですが、74号系統無き今このような「2つのドーム前千代崎行の乗り場」が存在しているのです(まあ乗る人誰もいないと言っちゃったらオシマイなんだけど)。
とはいえ現在のような連結運行があることもあってか、昔の名残としてこのような配置にしていると思われます。



長くなりましたが以上です。
一つの山を越えた気がするので、多分更新頻度落ちます(おい)