京成への転換クロスシート車導入 | 京阪大津線の復興研究所

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そのために、京阪線や他社の例も積極的に取り上げます。

京葉間直通輸送における京成の競争力向上には、ダイヤや停車駅の見直しに加え、車両の快適性を高めることが必要です。その模範とすべきなのが京浜急行(京急)の2100形です。

 

京急の2100形は転換クロスシートを備えており、首都圏の特別料金不要車両としては最高級の豪華さを誇っています(朝と夜間は座席指定の「ウィング号」に使用)。また、京急は都営地下鉄浅草線を介して京成と相互直通を行っているため車体の規格が統一されており、その気になれば同一設計の車両を走らせることもできます。

 

ただ、京急2100形は2扉車であるため、運用に制約を受けるのも事実です。その車体全長は京成ともども18.0mであり、名鉄・京阪・阪急・阪神・山陽などと比べて1m近く短いですが、何とか3扉車にしたいところです。

 

京急2100形は扉間に全転換方式のシートを10列備えているので、中央の2列を撤去すれば3扉車の土台ができます。扉幅は2100形より100mm広げ、通勤車両の標準である1,300mmを確保します。

 

座席配置は全転換方式を諦め、中央扉脇の座席を固定式にする折衷型とします。これならば、クロスシートに占めるボックス区画は4分の1の8人に収まります。連結面寄りは京阪の8000系にならい、ハイバック式のロングシートにして収容力を上げるのが良いでしょう。

 

18.0m3扉車の座席配置案

 

転換クロスシートは2100形と同じく前方に向けてロックを掛け、シートピッチを850mmまで詰めます。ただし、固定クロスシートの部分だけはボックス時を考慮して950mmとします。2100形と同様にノルウェーのエクネス社の枕直立型転換クロスシートを採用すれば、座り心地が良くなるとともに窓際の座席への出入りが楽になります。

 

これに加え、ロングシートを5人掛けとすれば、18.0mの車体長に収まります。ロングシートのうち3人分を収納座席として車椅子スペースを確保し、固定クロスシートの背面に補助椅子を設ければ、中間車両の座席定員は49人、収納座席と補助椅子込みで60人を確保できます。

 

この座席配置であれば、京急2100形よりも運用の幅が広がります。いずれはその成果を京急にフィードバックさせ、東京都営地下鉄浅草線を介しての直通列車である成田空港―羽田空港間の「アクセス特急」に用いることも考えられます。その際には、固定クロスシートの座面を跳ね上げて荷物置き場に転用できる構造にするべきでしょう。

 

京成本線は朝ラッシュ時にJR総武快速線へ乗り換える客が多いため、東京都内ではなく千葉県内の大神宮下→京成船橋間が最混雑区間となっています。混雑率も首都圏にしては低く、2016(平成28)年度で130%に留まっています。

 

運転本数は毎時18本ですが、大手私鉄の幹線では首都圏はもちろん、関西圏でも朝ラッシュ時には毎時24本程度を走らせるのが常なので、増発の余地がないわけではありません。

 

ただし、京成の本線は京成津田沼―京成高砂間の途中駅15のうち、追い越し可能なのが船橋競馬場・東中山・市川真間・京成小岩の4駅しかなく、増発すればスピードダウンは必至です。よって、朝ラッシュ時に千葉線と本線の直通列車を運転するのは難しいのが実情です。

 

転換クロスシート車ならばなおさらであり、3扉車であっても千葉線・千原線内折り返し運用に就けざるを得ません。朝は京成津田沼の西側の引上げ線を用いて、ちはら台までの線内特急を10分毎に運転するのが妥当です。

 

京成千葉―ちはら台間の各駅は8両分のホームが用意されているので、京成幕張本郷とみどり台のホーム延長が叶えば特急の8連運転が可能ですが、間合い運用で各停に用いることなども考えるなら、6連に留めておくのが無難です。

 

一方、昼間時の輸送力に問題はないので、この6両編成の転換クロスシート車を京成上野―ちはら台間の特急運用に就けることができます。20分毎なら運用本数は7本で、予備を含めて9本に収まります。夕方以降は上野発の座席指定列車として運用し、座席指定券300円程度(千葉線・千原線内は無料)で帰宅需要に応えるのが良いでしょう。

 

 

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