この週末に日本列島に上陸した台風19号ですが、主に東日本各地に大雨による被害を与えました。
鉄道関係でも各地で大きな被害が発生しました。

主だったところを取り上げると、以下の通りでしょうか。

●JR東日本:
台風19号によるJR東日本管内の設備等の主な被害状況について(2019年10月13日)|JR東日本
・北陸新幹線 長野新幹線車両センター浸水
・中央本線 梁川〜四方津間 土砂流入
・両毛線 大平下〜栃木間 永野川橋りょう 橋台背面流出
・水郡線 袋田〜常陸大子間 第六久慈川橋りょう 橋桁流出
・横須賀線 武蔵小杉駅 駅構内冠水

●上田電鉄:
台風19号に伴う別所線の被害状況について | お知らせ | 長野県上田市にあるローカル線「別所線」沿線情報・観光情報|上田電鉄株式会社
・別所線 上田〜城下間で橋梁が崩落

●しなの鉄道:
台風による10月14日の列車運転計画について | お知らせ | しなの鉄道株式会社
【しなの鉄道線】(軽井沢〜篠ノ井) 
・屋代高校前駅〜篠ノ井駅間の千曲川橋梁の安全確認が、増水のため実施不能
・大屋駅〜田中駅間の線路上空の海野バイパスこ線橋が崩落したため、安全確認に相当の時間を要する見込み。
【北しなの線】(長野〜妙高高原)
・千曲川堤防決壊のため、線路や電力設備が冠水しており安全確認が行えず、復旧のめど立たず。

●阿武隈急行:
台風19号の影響による被害について | 阿武隈急行株式会社
・土砂崩れ、駅ホーム損壊、線路への土砂流出等により、槻木〜梁川間は当分の間運休


その他、三陸鉄道、えちごトキめき鉄道、東武鉄道等でも土砂流入等による長期間の運転見合わせが発表されています。

その他路線でも、台風被害により運休やダイヤの変更等が行われている可能性がありますので、ご旅行等の場合は今一度各社のWebサイト等をご覧下さい。



今回の台風では、首都圏を直撃する予想でありましたが、結果として長野県内を中心に鉄道各線に大きな被害が生じました。
特に北陸新幹線では、長野新幹線車両センターが浸水したことにより、留置していたE7系・W7系電車が10編成する等の、被害が発生していることが報じられています。
北陸新幹線120両浸水=山手線など前倒し再開−JR | 乗りものニュース

一度にこれだけの車両が浸水被害を受けるケースというのは、これまでにあまり例が無いものと記憶しており、よく言及されるのは、国鉄時代の1982年(昭和57年)8月に奈良県の王寺駅での台風による記録的な豪雨で電留線が水没、101系・113系計100両が水没するという災害であります。
参考:


今回の長野新幹線車両センターでの水没は、それを上回る規模であることに加え、今回水没した12編成は、北陸新幹線のE7系19編成(※1)・W7系11編成の計30編成のうち、3分の1の編成が水没するという事態であること、またE7系・W7系以外で北陸新幹線で運用できる形式がほぼ無いこと(※2)がより深刻なものであるといえます。
(※1)E7系には、この他に上越新幹線向け3編成があり、現在計22編成の在籍です。
(※2)高崎〜長野間に限れば、E4系の一部編成が軽井沢または長野までの乗り入れ対応となっています。但し、頻繁に入線できない等、種々の制限があるようで、E7系・W7系の不足分を補うべく、恒常的に入線するのは難しいかも知れません。



上記「乗りものニュース」の画像でも確認できるように、水没した車両は床下機器を中心に水に浸かった状態となっており、そもそも修理が難しく廃車になる可能性も大いにあり得るものと考えられます。
そうなると、その他の設備が仮に復旧したとしても、残る3分の2の編成で運用を回す必要があること、またE7系・W7系の新造(あるいは修理)には、年単位といった相当の期間が必要なこと、他の系式の新幹線車両で代替できないことを考えると、運転再開後のダイヤも相当変更が生じる可能性があると考えられます。
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▲北陸新幹線W7系(2015年10月・新高岡駅)

現在、北陸新幹線には、東京〜金沢間で「かがやき」(速達タイプ)「はくたか」(主要駅停車)の2種類、東京〜長野間で「あさま」、富山〜金沢間で「つるぎ」の4種類の列車が設定されています。
仮に減便を余儀なくされる場合、「はくたか」で代替可能である「かがやき」と、これまた「はくたか」で代替可能な「つるぎ」のある程度の減便は避けられないのでは、とも思われます。
一方、「あさま」は、長野以南での需要が一定程度あることから、大幅な減便は難しいものとも思われることから、復旧後のダイヤは、「はくたか」「あさま」を軸に運行されるのでは、とも思われます。

ただ、そうなると「はくたか」に利用者が集中する事態も考えられることから、利用者の分散を図るために、東海道新幹線と北陸本線「しらさぎ」「サンダーバード」の乗継、あるいは、北越急行・あいの風とやま鉄道・IRいしかわ鉄道といった並行して走る第三セクター鉄道路線への迂回案内も同時に出されるのではないか、と思われます。

加えて、東京(羽田)〜小松・富山の航空路線についても、機材の大型化あるいは臨時便の運行といった措置もとられるものと思われますが、ともあれ、復旧後についても、長期的な減便は避けられないのではないか、とも思われます。


長期的な影響、という観点では、上田電鉄での橋梁崩落も大きな被害であります。
直近では、昨年7月の西日本豪雨で同じく橋梁流失した芸備線では、この10月でようやく全線復旧となることは、下記の記事でご紹介しました。


このように、橋梁流出の被害が生じると、年単位での運転見合わせが避けられないことから、一ローカル鉄道である上田電鉄にとっては大きな痛手になることは避けられませんが、千曲川の南北を結び、別所温泉へのアクセス路線としても地域交通にとっては重要な路線であるのには相違ありませんので、着実な復旧と、安定した経営が取り戻せるよう、ファンとしても支援をしつつ見守りたいところであります。


以上のように、今回の甚大な被害を生じた今回の台風19号。
私個人的には、台風の接近に伴い東海道新幹線が運休が予告されたことから、前日に利用者が集中した結果、東海道新幹線に大幅な遅延が発生した結果、阪和線の最終に乗れずに天王寺近辺で泊まらざるを得なかった程度の影響でしたが、各地では人命や財産の喪失といった、大きな被害が出ていると聞いています。
今回の台風でお亡くなりになった方のご冥福をお祈りすると共に、被害に遭われた方にお見舞いを申し上げ、当記事の終わりとさせていただきます。



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