安家川橋梁787

 


今回の"はしやすめ"は、旅記録183号車の途中で立ち寄った安家川(あっかがわ)橋梁です。

三陸鉄道リアス線堀内~野田玉川間にあって二級河川安家川を渡る橋梁です。
安家川橋梁772安家川橋梁793
上路PCハウトラス7連で、長さは305.06m。
安家川橋梁773安家川橋梁727
数少ないPC(プレストレストコンクリート)トラス橋の1つです。
安家川橋梁768


両側を山に挟まれて河口に近く、そして冬は降雪がある場所。
安家川橋梁748安家川橋梁750

実は地形的条件があの有名な餘部橋梁と酷似しています。
トレッスル橋だった旧橋梁は全長310.59m、高さ(河床からレール面まで)41.45m。
エクストラドーズド橋に生まれ変わった現橋梁は全長310.6m、高さは同じ(基準は不明)。

旧餘部橋梁は、形式を決定するまでには様々な案が検討され
最後はトレッスル橋とコンクリートアーチ橋との二択になったと言われています。
予算と工期が有利になるトレッスル橋に軍配が上がりましたが、
海風や雪にさらされて鋼製の橋梁は、保守に手間と経費がかかるようになったそう。

安家川橋梁でも同様の検討が重ねられ、海外では採用例があるものの
日本にはなかったPCトラス橋で最終決定しています。
いろいろと情報をかき集めて確認できたPCトラス構造による鉄道橋は4つ。
あらためて紹介する同じリアス線の普代~白井海岸間にある太田名部橋梁と
岩泉小本~島越間にある槇木沢橋梁。
あと1つは山陽新幹線広島車両基地入出庫線にある岩鼻架道橋です。

コンクリート橋の長大化の可能性を期待して採用されたこれらの橋梁ですが、
なぜか普及することはありませんでした。

能書きはさておき、美しいトラスを見ていきましょう。
径間の中央に向かって「ハ」の字に斜材が組まれるハウトラス。
安家川橋梁753安家川橋梁760
縦横斜めの弦材はすべて工場で製作され、現場で組み立てられました。
よく見ると一径間が3+4+3の3組の枠組みで構成されています。
安家川橋梁754

最後は車内から。
バラスト軌道で騒音軽減、防風壁も抜かりありません。
半径700mのカーブ、久慈方へ向かって上り8‰です。
安家川橋梁516安家川橋梁520


車窓からの眺めはあいにく旅記録で使ってしまいましたが、
多くの列車がサービス停車を行っていて、太平洋の眺めを堪能させてくれます。


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