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【男鹿線 ACCUM 乗車記】 非電化路線を電車で! 車窓の見どころは八郎潟と寒風山!

男鹿線を走る蓄電池列車「EV-801系」 乗車レポート
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秋田県にある男鹿半島の南岸を走るのが男鹿線です。長大な八郎潟防潮水門や寒風山の眺めなど車窓の見どころも多い路線です。鉄道ファンに注目なのが、「ACCUM」(アキュム)の愛称が付けられた蓄電池電車が走っていることです。架線のない非電化路線を電車で旅することができるのです。

今回は、秋田~男鹿を走る男鹿線の乗車記をお届けします。

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男鹿線とは?

男鹿線は、秋田県の追分駅と男鹿駅を結ぶ約26kmの非電化路線です。多くの列車は奥羽本線を経由して秋田駅発着となっています。

秋田県の中央よりやや北部から日本海に突き出た男鹿半島の南岸を、半島の付け根部分を少し回り込むように走ります。

途中、八郎潟の南側を通ります。車窓から八郎潟を見ることはほとんどできませんが、八郎潟調整池と日本海を結ぶ船越水道を渡ります。

男鹿線には「男鹿なまはげライン」の愛称が付けられています。「なまはげ」は、ユネスコの無形文化遺産「来訪神:仮面・仮装の神々」の一つとして登録されている伝統的な民俗行事です。その「なまはげ」発祥の地が男鹿半島なのですね。

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男鹿線を走る蓄電池電車「ACCUM」(EV-E801系)

男鹿線を走る蓄電池電車「EV-E801系」(愛称「ACCUM」)
男鹿線を走る蓄電池電車「EV-E801系」(愛称「ACCUM」)

男鹿線には、EV-E801系(愛称「ACCUM」)という形式の電車が走っています。この電車は、車両に蓄電池、つまり、バッテリーを積んでいて、非電化区間に入ると、パンタグラフを下ろして蓄電池に蓄えた電気を利用して走行します。

この電車、もともとはJR九州が開発した「DENCHA」(BEC819系)がベースとなっています。BEC819系をベースに、東北地方の周波数に対応した50Hz化や、耐寒・耐雪仕様化などを施して、JR東日本が導入しました。

JR九州の蓄電池電車BEC819系は、筑豊本線、福北ゆたか線、香椎線などで運行されています。詳しくは、以下の記事をご覧ください。

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なお、JR東日本には、自社で開発した「EV-E301系」という蓄電池電車があり、すでに宇都宮~烏山間の烏山線で運行されています。

烏山駅で充電中のEV-E301系電車
烏山駅で充電中のEV-E301系電車

男鹿線にJR九州のBEC819系をベースにしたEV-E801系を投入したのは、東北地方が交流電化、烏山線が走る宇都宮周辺が直流電化という電化方式の違いがあるためです。交流電化に対応した蓄電池電車を自社で一から開発するよりは、JR九州がすでに開発したBEC819系をベースにカスタマイズしたほうが良いという判断があったのでしょう。

「ACCUM」ことEV-E801系は、2017年のダイヤ改正から導入が始まり、2021年3月のダイヤ改正で、男鹿線の全ての列車がEV-E801系に統一されました。2023年1月現在、男鹿線を走る普通列車は、全てEV-E801系(ACCUM)での運転となっています。

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男鹿線 乗車記(秋田~追分)

※2019年夏に乗車したときのものです。現在とは時刻等が異なります。

それでは、秋田駅から男鹿線に乗車してみましょう。

秋田駅に入線してきた男鹿線のEV-E801系電車
秋田駅に入線してきた男鹿線のEV-E801系電車

午前8時36分ごろ、秋田駅にEV-E801系電車が入線してきました。2両編成ですが、男鹿側(男鹿行きの時の先頭車)が赤、秋田側が青と、色違いになっています。

EV-E801系電車は、鮮やかな赤と青の2両編成
EV-E801系電車は、鮮やかな赤と青の2両編成

車両の前面、側面とも赤、青で塗装されていて、とても色鮮やかな印象です。JR東日本の電車といえば、銀色のステンレスに路線や地域ごとのカラーの帯が巻いてある車両が多いので、新鮮ですね。

行先表示のLEDがとても大きいのも、JR九州仕様でしょうね。JR東日本の車両よりかなり大きく、とても見やすいです。

EV-E801系の車内は3扉のロングシート
EV-E801系の車内は3扉のロングシート

EV-E801系は、3扉のロングシート。最近の通勤型の電車と特に変わりはありません。(車内の写真は男鹿駅到着後に撮影)

車内には電気の流れを示すモニターが設置されています
車内には電気の流れを示すモニターが設置されています

車両の端には、バッテリーを積んだ車両ではおなじみになったモニターが設置されています。秋田~追分間は電化区間ですので、パンタグラフをあげ、架線からの電気で走行します。

08時52分、座席が半分くらい埋まる乗車率で秋田駅を発車しました。

秋田から途中の追分までは、奥羽本線を北上します。前述のとおり、この区間は電化されているので、ふつうの「電車」として走行していきます。

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男鹿線 乗車記(追分~船越) 車窓の見どころ「八郎潟防潮水門」

09時08分、男鹿線との分岐駅、追分駅に到着。秋田から追分までの間にかなりの乗客が下車し、車内は閑散としてしまいました。

さて、追分から先は非電化区間。ここからは、蓄電池に蓄えた電力で走行していきます。

非電化区間に入ると蓄電池で走行します
非電化区間に入ると蓄電池で走行します

車内のモニターも「蓄電池の電力で走行しています」に変わりました。架線からの電気だろうが、蓄電池からの電気だろうが、同じモーターを回して走行するので、乗り心地は先ほどまでと何も変わりません。

二田駅でキハ40の上り列車と行き違い
二田駅でキハ40の上り列車と行き違い

9時24分、追分から三つ目の二田駅で上り列車と行き違い。あちらの列車はキハ40でした。こちらはガラガラですが、あちらは立ち客までいる模様。土曜日の午前中ですから、秋田へおでかけの人が多いのでしょうね。

架線がないのに電車が走る不思議な男鹿線
架線がないのに電車が走る不思議な男鹿線

停車中に最後尾から線路を眺めてみると、当たり前ですが、架線がありません。架線がないのにモーター音を響かせて電車が走るのですから、なかなか不思議な気分になります。

八郎潟調整池の八郎潟防潮水門、水門がずらっと並ぶ様子は壮観です
八郎潟調整池の八郎潟防潮水門、水門がずらっと並ぶ様子は壮観です

男鹿半島の南岸を走る男鹿線ですが、海岸線よりはやや内陸側を走るので、車窓からはほとんど海が見えません。そんな男鹿線の車窓の見どころの一つが、天王駅~船越駅間にある船越水道からの眺めです。

八郎潟調整池のほうを見ると、長い水門が見えます。「八郎潟防潮水門」です。もともと海水が入り込んで汽水湖だった八郎潟の水を、農業用水として活用するため、防潮水門で閉め切ったのです。

かつては琵琶湖に次ぐ日本第二位の面積を誇った八郎潟ですが、干拓で埋められ、現在はこの八郎潟調整池だけになっています。

放流ゲートと洪水吐ゲートの2種類の水門があります
放流ゲートと洪水吐ゲートの2種類の水門があります

八郎潟防潮水門は、水位を調整するために利用する「放流ゲート」と、降雨などで八郎潟の水位が大幅に上昇したときに利用する「洪水吐ゲート」の二つがあるそうです。

「放流ゲート」は両端の2門で、その間にある12門は「洪水吐ゲート」だそうです。

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男鹿線 乗車記(船越~男鹿)車窓の見どころ「寒風山」

船越~脇本間は田園風景が広がります
船越~脇本間は田園風景が広がります

船越駅から次の脇本駅までの間は、車窓に一面の田園風景が広がります。青い空に浮かぶ夏らしい雲が印象的です。

脇本駅付近からは寒風山を見ることができます
脇本駅付近からは寒風山を見ることができます

脇本駅を出ると、右前方に頂上が平らな形をした山が見えてきます。寒風山です。低い山ですが、周りに高い山がないので、頂上からは男鹿半島を360度眺めることができるそうです。

芝生に覆われて、緩やかな斜面の寒風山は、パラグライダーのメッカでもあるそうです。

脇本~羽立間は男鹿線で唯一山の中を走る区間
脇本~羽立間は男鹿線で唯一山の中を走る区間

脇本駅を出ると、次の羽立駅までの間は、低い山に囲まれた地形の中を走っていきます。ほとんど平地を走る男鹿線の中で、この一駅間だけは山の中を走ります。少し高いところから、男鹿半島の内陸部の山々を眺めることができます。

羽立駅まで来ると山の中から抜けて平地へ
羽立駅まで来ると山の中から抜けて平地へ

9時44分、羽立駅に到着。山間部から抜けて、ここからは男鹿の市街地へと入っていきます。

秋田から約1時間のミニトリップ、終点の男鹿駅に到着
秋田から約1時間のミニトリップ、終点の男鹿駅に到着

9時49分、秋田から1時間弱で、終点の男鹿駅に到着しました。

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男鹿駅前を散策

折り返しの列車まで30分ほど時間がありますので、男鹿駅の周辺を散策してみました。

2017年に移転・新築された立派な男鹿駅の駅舎
2017年に移転・新築された立派な男鹿駅の駅舎

狭いホームが一つだけの男鹿駅ですが、駅舎はなかなか立派です。

以前は、ホームの横に駅舎がありましたが、2017年に現在の位置に移転、新築されました。あとで紹介する観光施設に隣接するようにしたとのことです。

駅前の広場には長い歩道が
駅前の広場には長い歩道が

駅前の広場を貫く歩道を歩いていきます。

複合観光施設「なまはげの里オガーレ」
複合観光施設「なまはげの里オガーレ」

道路を渡ると、先ほど紹介した観光施設「道の駅 おが」「なまはげの里 オガーレ」があります。かなり大きな施設で、物産館、レストランなどが入っています。男鹿駅から徒歩でも2~3分ですので、次の列車までの間に訪れるのにぴったりです。

「なまはげの里 オガーレ」の前で秋田名物ババヘラアイスをいただきます
「なまはげの里 オガーレ」の前で秋田名物ババヘラアイスをいただきます

「なまはげの里 オガーレ」の前には、秋田名物「ババヘラアイス」の露天がたくさんでていました。8月下旬の暑い日だったので、さっそく一ついただきます。

注文すると、へらを持ったおばあさんが、器用に盛り付けていきます。まるで花びらを一枚一枚付けていくように丁寧に、かつ、素早く盛り付けていく様子は、見ていて楽しいものです。

「なまはげの里 オガーレ」に保存されている貨物支線の「船入踏切」
「なまはげの里 オガーレ」に保存されている貨物支線の「船入踏切」

「なまはげの里 オガーレ」には、踏切が保存されています。かつて、男鹿駅と、海に近い船川港駅を結ぶ男鹿線の貨物専用支線がありましたが、2002年に廃止。支線にあった「船入踏切」が保存されているということです。

ちなみに、この「なまはげの里 オガーレ」の一部も、当時の支線の跡地を利用して建設されているそうです。

男鹿駅2階からの眺望は必見! 寒風山も見えます!
男鹿駅2階からの眺望は必見! 寒風山も見えます!

折り返し列車の発車時刻が迫ってきたので、男鹿駅に戻ってきました。男鹿駅の2階からは男鹿駅構内を広く見渡すことができます。線路の向こうには、車窓からも見えた寒風山が正面に見えています。

男鹿駅には、EV-E801系(ACCUM)専用の充電設備があります。充電といっても、線路上に短い架線が引かれているだけですが、停車中の時間を利用して、蓄電池に充電をしているのです。

上の写真は、既にパンタグラフを下ろしているので、充電が完了したあとだったのでしょう。

急いでホームへ行き、10時20分発の秋田行きの列車に乗車。先ほど男鹿まで乗ってきた「ACCUM」が、30分の充電期間を経て、秋田へ戻っていくのでした。


以上、「【男鹿線 ACCUM 乗車記】 非電化路線を電車で! 車窓の見どころは八郎潟と寒風山!」でした。非電化路線に電車が走る男鹿線。秋田から男鹿まで1時間と、男鹿へのミニトリップにはちょうど良い時間でした。

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この記事を書いた人
乗り鉄歴25年!
ひさ

乗り鉄歴25年! 青春18きっぷやフリーきっぷを利用して、関東甲信越、北海道、東北によく乗り鉄に出かけます。このブログでは、これまでの乗り鉄経験を活かして、おすすめの列車や路線、青春18きっぷ活用のノウハウ、お得なきっぷの情報などを掲載しています。

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コメント

  1. miyajit より:

     こんばんは。
     男鹿線のブログ拝読しました。
     男鹿線、面白そうです。実は、EV-E801系、結構興味があります。乗ってみたいです。男鹿線にはまだ乗ったことはありませんが、今度秋田へ行ったときには、計画しています。写真で拝見をしましたが、黄色いシートが輝いていていいですね。
     以前烏山線に乗ったことがあります。烏山線のEV-E301系には1度乗りましたが、とても良かったです。パンタグラフが上下するところも見ました。このような形態の列車が今後増えるのではないかと期待を寄せています。環境にも良さそうでいいです。
     男鹿駅にも興味があります。男鹿駅は最近商業施設ができたと聞いたことがあります。貴方のブログを拝見して、男鹿駅前は本当に面白そうだとわくわくしました。男鹿駅からバスへ移動して男鹿水族館へ行ってみたいです。
     素晴らしい写真ありがとうございます。自分でも生で見たいです。

  2. kzlife より:

    みやじさん、こんばんは。
    コメントありがとうございます。
    EV-E801系、乗ってしまえば普通の電車と乗り心地は変わらないのですが、非電化区間で架線がない、広々とした空を見上げると、不思議な気分になりますね。
    まだ走行距離がそれほど長くできないのか、短距離の路線から導入されているようですね。次は、同じような距離の左沢線あたりではないかと思っているのですが、どうなるでしょうか。
    男鹿駅は、駅舎や駅前もきれいになりましたし、商業施設のオガーレもできたので、楽しみが増えましたね。
    初めて男鹿線に乗車したときには、男鹿半島の先端、入道崎まで足を延ばしたのですが、夏の日本海の絶景を見られて、とてもよかったです。男鹿駅からはちょっと遠いのですが、観光されるのであればぜひ。

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