SL人吉の魅力 損をしない乗車方法「SL人吉」攻略法 予約方法も(肥薩線)

SL人吉

SL人吉(ひとよし)は、JR九州が熊本駅~人吉駅間を蒸気機関車(SL)牽引の臨時快速列車・全席指定でした。
九州の球磨川沿いを走るSLローカル「観光用列車」として運行されていました。
SL8620形の58654の機関車は、1975年に廃車となり、矢岳駅前の人吉市SL展示館にて静態保存されていたものを、保存会のボランティアさんを説得して譲り受け、動かせるように修理したそうです。
当初は、1988年から熊本~宮地間にて快速SLあそBOYとして運行されていました。
しかし、2005年、営業運転中に機関車が故障したため、修理を行い、肥薩線(ひさつせん)が開業100周年を迎える2009年から、約2億円かけて改装され、熊本~人吉間でSL58654とリニューアル客車による快速列車が運転開始されました。
これがSL人吉になります。

その後、2020年7月に球磨川の氾濫で肥薩線が大きな被害を受けて普通に。
そして、JR九州よりSL人吉をけん引していて、日本でもっとも古い営業運転可能な蒸気機関車8620型「58654号機」の引退が2022年10月に発表されました。
大正11年の製造から100年を迎え、老朽化とメンテナンス部品や技術者不足から運転を終了すると言う事になります。
2024年3月頃までは臨時で熊本~八代間などで運行もあるようですが、災害被害を受け長期不通となっている肥薩線を2度と走ることなく引退するのはとても寂しい気持ちになります。
<追記> 肥薩線復旧の方針が固まった。復旧費用は235億円の予定。

【PR】

2020年7月4日、集中豪雨により球磨川(くま-がわ)が上流から下流までの全域にて氾濫し、人吉の街中も大きな被害となりました。
肥薩線では線路や駅の冠水だけでなく、球磨川第一橋梁(一部流失)、球磨川第二橋梁(全流失)(いずれも近代化産業遺産群)と、大きな被害となりましたので、復旧には数年単位の時間が掛かるものと推測します。
普段でしたら、球磨川の清流が独特の青さで、風光明媚な山間を抜けていく肥薩線ですが、SL人吉号だけでなく、いさぶろう・しんぺい号、かわせみ やませみ号などの特急も、当面運転ができないことでしょう。
令和になってから、更に災害・感染病など、とても試練を与えられており、人吉の被害も心が痛みます。
被害を受けられた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
一日も早い復旧と、みなさまのご健康をお祈り申しあげます。

肥薩線の被害は450箇所、復旧費用の概算は230億円とのこと。
約2年経過の2022年6月現在、まだ復旧方法なども決まっていない。

SL人吉号

もう肥薩線を走ることが無くなったSL人吉ですが、2019年9月の段階での情報として下記の通り残しておきます。

新しくなった熊本駅のホームに参りますと、最後尾に、八代駅から引っ張ってきたED10機関車が停車していました。

DE10

しかし、この時間、熊本駅には、鹿児島本線の普通列車も停車していました。

鹿児島本線の普通列車

下記も熊本駅にて撮影。

JR九州・普通列車

SL人吉の客車は、50系客車700番台3両で、内装などは、JR九州などでおなじみの水戸岡鋭治さんデザインです。

SL人吉

人吉側1号車と熊本側3号車には展望ラウンジが設置されており、2号車には軽食やドリンク・地ビール、86弁当(ハチロク)オリジナル弁当などを販売するビュフェがあります。

SL人吉

車内では、記念乗車証や、アテンダントさんにカメラを渡して写真撮影して頂けるフォトサービス、小さなお子様用の制服・制帽貸出しなどもあります。
また、球磨焼酎アイス、晩白柚サイダーなど、熊本当地の車内販売もあります。

SL人吉

SL人吉の運行は、概ね冬期は運休で、毎年3月~11月までの金・土・日・祝および夏休み期間中に、1日1往復運転になります。


スポンサーリンク



八代駅から単線の肥薩線に入ると、車窓からは「球磨川」(くまがわ)が見えてきます。
球磨川を何度か横断しますので、進行方向の右側・左側関係なく、エメラルドグリーンの川の様子も堪能できます。

SL人吉から球磨川を望む

2019年のNHK大河ドラマ「いだてん」(第3回)では、肥薩線のSL人吉を走らせて、綾瀬はるかさんが演じる春野スヤが、自転車でSL列車を追いかけて「爆走」するというシーンは、記憶に新しいところです。
そんな綺麗な女性が運転する自転車ではありませんが、SL人吉と平行する「道路」を、蒸気機関車と同じ速度で「爆走」する軽自動車がいました。

軽自動車の塗装がSL人吉仕様になっていましたので、とても素晴らしいおもてなしだと感じましたが、狭い道路でのスピード出し過ぎには、十分、ご注意頂きたいところです。
SL(蒸気機関車)は、登りの場合、パワーが必要なので、煙をたくさん吐いて進みます。
そのため、沿線ではカメラを構えて撮影されている方も多かったです。

JR肥薩線の線路

SL人吉では車内でSL弁当も販売しています。
ただし、数に限りがあり、買い求める列も並びます。
熊本駅でも、ホームでは駅弁の販売も無いので、熊本駅の改札を入る前に、お弁当は購入したほうが良いことが、今回は判明しましたので、付け加えさせて頂きます。
なお、今回は、熊本駅にて同行の者が一時行方不明となりまして、ホームへと急いだ結果、弁当を購入する時間を逸してしまい、事実上の昼抜き道中となってしまいました。
事前に昼食は軽くなるとは申し上げておりましたが、他の参加者様にはお詫びを申し上げる次第です。

SL人吉

人吉駅から、熊本駅に戻る際も、人吉駅の売店でも、駅弁は見当たりませんでした。
お菓子は買えます。
ちなみに、人吉駅で駅弁の販売としては「栗めし」が有名です。

一勝地駅約10分停車は大事に行こう

臨時快速SL人吉は、途中にある「一勝地駅」にて、行き・帰りとも、約10分間停車します。

一勝地駅

一勝地駅(いっしょうちえき)は、もともと普通列車しか停車しない駅なのですが、縁起の良い名前の駅と言う事で知られるようになり「一勝祈願」の記念入場券が大人気となっています。

一勝地駅

駅の窓口で買える記念切符は、結構、お買い求めになられている方がおられました。

一勝地駅

停車中には、ホームにて、球磨焼酎などの地元特産品も、ホームにて販売しています。

一勝地駅での販売

なお、一勝地駅は「対面式ホーム」のため、反対側のホームへと移動すれば、SL人吉の全景を撮影可能です。
列車に乗っていると、その列車の最後尾まで撮影できるチャンスはほとんどありませんが、人吉行きの一勝地駅だけは可能です。

SL人吉

停車時間が短いですので、急ぐ必要はありますが、ぜひ、チャレンジなさって頂けますと幸いです。
帰りの熊本行きの際には、反対側ホームへの移動が難しいかも知れません。


スポンサーリンク



そうそう、SL人吉のSL8620形は、デフレクター(除煙板)が特徴あります。
蒸気機関車の先頭部分(丸いボイラーの両脇)についている、縦の板ですね。

SL人吉

通常のデフレクターは、車体の下から板がついているのですが、SL人吉は「門鉄デフ」と言って、小倉の工場で考えられた、アングル(棒)の上に板があるスタイルになっています。
門鉄デフを装着して現役で走っている蒸気機関車は、今となってはこのSL人吉だけですので、大変貴重です。

SL人吉

そうこうしているうちに、朝、熊本駅を出発して昼過ぎに人吉駅に到着しました。

ななつぼしin九州との出会い

この日は、たまたま、JR九州の目玉であるクルーズトレイン「ななつぼしin九州」が人吉駅に停車していました。

ななつぼしin九州

ななつぼしは、鹿児島中央駅から大畑駅経由にて、人吉駅に朝9時20分着です。
下記はスイッチバックで有名な大畑駅の写真です。

スイッチバック 大畑駅

人吉では約3時間停車し、12時46分に出て、そのあとは博多駅まで、ノンストップで向かいます。
2019年のダイヤでは、運行している際、金曜日の朝、人吉駅に寄るようです。(毎年時刻表や運行日は変わりますので、ご注意願います。)
そのため、人吉駅では、下記のような、SL人吉・ななつぼし最後尾のコラボ写真も撮影できてしまいます。

SL人吉・ななつぼし最後尾

このように、金曜日の場合、ななつぼしとの共演が実現になる場合があります。

人吉転車台

さて、SL人吉は、人吉駅脇にある転車台(ターンテーブル)に移動して、機関車は方向転換し、午後に人吉駅を出発して夕方に熊本駅に戻るダイヤです。

人吉転車台

人吉転車台に関しては、別の記事にて人吉転車台への行き方や時間など、詳しくご紹介しています。
末尾にリンクを入れておきます。
ちなみに、運転していない日のメンテナンス、車両停泊・清掃・給油・洗浄・留置などは、八代駅の車両基地で行っているそうです。

下記は人吉駅から熊本駅に向かって出発した際のSL人吉・最後尾より撮影した後展望動画です。

ここからは、SL人吉の予約方法などを詳しくご紹介したいと存じます。

お得に乗車する方法

SL人吉は普通列車の「快速」扱いですので、特急料金は不要です。
しかし、全車座席指定席のため、指定席料金840円くらい(こども半額)が別途必要です。

SL人吉

なお、乗車券の部分には、青春18きっぷも使えます。
単純に熊本から人吉を往復すると普通乗車券は3900円くらいですので、18キップのように、割引があるものを活用すると、お安く割引で乗車できます。
ただし、指定席券は必ず必要ですので、別途、予約・購入する必要があります。
なお、中国などからの観光客も乗車なさっておられました。

SL人吉の予約方法

指定席の発売は、新幹線などと同じで、乗車日の1ヶ月前からとなります。
JR九州のインターネット列車予約から予約ができます。
クレジットカードで予約・支払いです。
そして、乗車の当日までに、JR九州の駅の指定席券売機にて、予約したクレジットカードと、予約番号で、発券できます。


スポンサーリンク



指定席券売機がある駅は、九州新幹線各駅と小倉駅/黒崎駅/折尾駅/赤間駅/香椎駅/行橋駅/佐賀駅/長崎駅/佐世保駅/別府駅/大分駅/水前寺駅/宮崎駅と限られます。
SL人吉の場合には、熊本駅の指定席券売機で問題ありませんが、人吉駅の場合には「みどりの窓口」で発券してもらうことになります。
なお、券売機の利用者がいたり、混雑していると、指定席券の発券にも時間が掛かりますので、時間には余裕を持って発券したいところです。
基本的にJR九州の券売機以外では発券できません。(JR北海道・JR東日本・JR東海・JR四国・JR西日本の各駅では受取りできません。)

SL人吉

景色を重視されている場合、窓枠があって少し残念だと考えられる座席は下記のとおりです。
1号車 5A 6A 7D 8D
2号車 17D
3号車 7A 8A 9D 10D

ただ、インターネット予約の際には、座席場所を選べないので、事実上、割り当てられた座席になってしまいます。


スポンサーリンク



SL人吉に往復乗車して、日帰りするのが王道と言えますが、もちろん、人吉駅から徒歩でも行ける人吉温泉の温泉宿に宿泊して1泊2日にしても良いでしょう。
また、SL人吉は片道だけ乗車して、もう片道は観光特急かわせみ・やませみや、いさぶろう・しんぺいに乗車しても、また、楽しみが増えると存じます。
ちなみに、特急かわせみ・やませみは、人吉側が「かわせみ」で、熊本側が「やませみ」の2両編成(D&S列車)で、もちろん、車両デザインは水戸岡鋭治さんです。

特急かわせみ・やませみ

また、特急のほうが、SLよりもスピードが速いので、所要時間も約1時間早くて済みます。

人吉の観光

人吉駅で降りたあとには、ぜひ、人吉駅周辺の観光がお勧めです。


スポンサーリンク



一番近いのは国宝でもある「青井阿蘇神社」となり、人吉駅から徒歩5分です。
あと「人吉鉄道ミュージアムMOZOCAステーション868」もお勧めですが、人吉駅での時間調整として利用できるとベストだと存じます。
もちろん、時間が許せば、人吉転車台に赴いて、蒸気機関車の方向転換や、人吉機関庫の見学もできると良いです。

単純に、帰りのSL人吉にそのまま乗車するまで、人吉観光をするのであれば下記のパターン(徒歩移動)がお勧め(モデルコース)です。
人吉温泉物産館(食事も取れます) ・ 青井阿蘇神社 ・ 人吉鉄道ミュージアムMOZOCAステーション868 ・ 人吉転車台(SL人吉の回転時間に合わせる) ・ 大村横穴群 ・ 人吉駅

そのほかは下記のリンク先もご参照賜りますと幸いです。

人吉転車台 (人吉ターンテーブル) SL人吉の方向転換見学方法と時間など
人吉鉄道ミュージアムMOZOCAステーション868
くま川鉄道 熊本・人吉のローカル線なのに乗車率130%?
肥薩線 キハ220形 JR九州
人吉城~日本100名城にも選出されている石垣などが立派な城
真岡鐵道「SLもおか」当日失敗しないSL乗車攻略法+オマケ情報としてコツや駐車場・入線時間などクチコミも
人吉で西郷隆盛や800年人吉で続いた相良氏に触れる人吉の見どころ
超精密鉄道模型 KATO 10-1727「SL人吉」特別企画品 蒸気機関車58654+50系客車 4両セット Nゲージ

報告する
スポンサーリンク
スポンサーリンク

関連記事一覧

コメント

  1. 初のSL人吉者

    たいへん参考になりました。

コメントするためには、 ログイン してください。