西鉄貝塚線の設備投資 | 京阪大津線の復興研究所

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大津線とは、京阪の京津線と石山坂本線の総称です。
この大津線の活性化策を考えることが当ブログの目的です。
そのために、京阪線や他社の例も積極的に取り上げます。

西鉄貝塚線と地下鉄の直通列車の運転区間を西鉄香椎―西新・姪浜間とした場合、福岡市交通局側は大規模な設備投資を行う必要はありません。直通用の車両(2000系6本)に西鉄型ATSの車上子を搭載すれば、ほぼ事足ります。

 

なお、現状の箱崎線から空港線への直通列車の折り返し駅は昼間時が西新、ラッシュ時が姪浜ですが、これは需要よりも運転上の都合によるものです。

 

西新は島式ホーム1面2線に引上げ線1本を備えているだけなので、運転本数の多いラッシュ時には後続の空港線列車の邪魔になります。一方、姪浜は島式ホーム2面4線であり、内側2線が入庫線に続く終着・始発列車専用線なので、余裕を持って折り返すことができるのです。

 

西鉄側はATC・ATOの車上子を備えた新車の導入が不可欠ですが、その本数は直通区間の営業距離の比率によって決まります。地下鉄の貝塚―西新間は9.4km 、貝塚―姪浜間は12.8km、とりあえず平均すると11.1kmですが、西鉄香椎―貝塚間は3.6kmなので、西鉄の占める割合は約1/4に留まります。

 

よって、例えば直通列車に必要な車両が8編成である場合、西鉄は6両2編成(3両×4本)を用意すれば済むことになります。福岡市の試算では9編成27両の車両整備費が約50億円なので、3両4編成なら約22億円に収まります。

 

現在の箱崎線の運転本数はほぼ終日に渡って毎時8本前後で、その約半数、15分に1本程度が西新または姪浜まで直通します。一方、貝塚線は原則としてラッシュ時が10分に1本、昼間時が15分に1本です。

このため、ラッシュ時は接続時間が一定にならず、直通運転が実現しても列車をそのまま一本化することはできません。

 

貝塚線は全区間単線ながら、前身の宮地岳線時代に津屋崎―三苫間で12分30秒間隔、三苫―貝塚間で6分15秒間隔の運転を行った実績がありますが、西鉄香椎で系統分断して1分の接続時間を確保することを考えると、地下鉄との直通開始後は10分間隔の運転が限度です。ここは箱崎線側が合わせるべきでしょう。

 

貝塚線は、15分間隔であれば三苫・唐の原・西鉄千早で列車交換すれば済みますが、10分間隔運転時には三苫・和白・香椎花園前・西鉄千早・貝塚でそれを行う必要があります。

 

そのためには、まず香椎花園前の撤去された2番ホームの復旧が不可欠です。同駅はもともと斜向かいにホームが設置されていた関係で線路有効長が長く、上下列車の同時進入が可能なので、2番ホームの使用を再開すればラッシュ時に効力を発揮します。

 

加えて、香椎花園前―西鉄香椎―西鉄千早間を接続時間込みの片道5分で走破するためには、香椎宮前を通過しなければなりません。

 

同駅は連続立体交差事業で6両対応になっているはずなのですが、航空写真などを見る限りそんな余裕はなさそうです。香椎宮前は隣駅の西鉄香椎から0.6km、西鉄千早から0.5kmしか離れておらず、乗降人員も相対的に少ないので、思い切って廃止すべきです。

 

香椎宮前は貝塚線で唯一の交換不能駅でもあり、運転上のネックなので、無理に投資しホームを延ばしてまで存続させる必要はありません。拙著【各駅停車がローカル線を滅ぼす】で述べた「ローカル駅の取扱基準」に照らし合わせても、廃止が妥当です。

 

跡地には、東京の旧万世橋駅の「PLATINUM FISH マーチエキュート神田万世橋店」のように、展望テラスを設けた飲食店を開店させれば人気が出るのではないでしょうか。香椎宮前付近にはJRの鹿児島本線も並走しているので、眺めには事欠きません。

 

話をダイヤに戻すと、貝塚の現西鉄用ホームを撤去して箱崎線内折り返し列車用の引上げ線を新設し、隣接する多々良車両基地の入庫線なども活用して複線区間を最大限延ばし、西新・姪浜行きが到着する前に西鉄香椎行きが発車できるようにすれば、10分間隔運転は可能です。

 

この場合、直通列車の運用本数は最大で7本、予備を含めて8本に収まります。また、西鉄新宮―西鉄香椎間の区間列車には最大4本が必要ですが、8本ある600形のうち5本を残せば当面は対応できます。

 

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