現在は消滅してしまった、通勤型車両による小田急の分割併合列車。
以前は急行のほとんどが途中駅で分割併合を行っており、そのための装備が車両側に備えられていました。

その装備は側面の表示装置にもあり、分割併合列車ならではの使い方がされていました。
途中駅で分割する列車は、前後の車両で行き先が異なります。
そのため、別々の行き先を表示する必要がありました。

表示装置の指令器には、動作させる車両を全車と自車に切り替えるスイッチがあり、これを使ってそれぞれの表示を出し分けていました。
具体的には、まずスイッチを全車にして車掌が乗っていない車両に合わせた行き先を表示し、その後にスイッチを自車に切り替えて車掌が乗っている車両の行き先を切り替えていました。

こうして、前の車両は箱根湯本行き、後ろの車両は相模大野行き等の出し分けを実現していました。
2回動作させる必要があるため、切り替えに時間がかかるという問題はあったようです。

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分割併合の終焉が近付いていた頃、その多くは新松田で行われていました。
前の6両が箱根湯本行きで、後ろの4両が新松田行きというのが定番で、新松田から後ろの車両は各停小田原行きになることが多かったと記憶しています。