8月3・4の両日に、宗谷本線の音威子府~稚内の間で運転された話題の観光列車『風っこそうや号』に乗ってきました。

JR東日本の『びゅうコースター風っこ』を北海道内で走らせるというこのプロジェクト、暗い話題続きだったJR北海道にとって久々に明るい話題といえましょう。残念ながら稚内発着の運転は終了しましたが、17日からは旭川~音威子府での運転が予定されています。好評なら来年以降も運転される可能性もあるかも…?

 

 

 

この風っこそうや、当然というべきか全車指定席なので、確実に乗りたければ指定券を買う必要があり、やはり人気集中のため運転日1ケ月前の『10時打ち』は必須なのですが、最初に乗る8月3日音威子府発の1号はえきねっとの事前受付で確保。

 

 

 

そして、網走に住むテツの旧友(コチラのブログ参照)と翌4日稚内発の2号を一緒に乗りに行く約束をしており、ソチラはみどりの窓口での10時打ちで2人分の指定券を向かい合わせの窓側で押える事に成功し、その2号は稚内を朝7:55に出発するため前泊は必須なので3日の宿も確保、何とか風っこそうやに乗るための準備は整いました。

 

 

 

そして1ケ月後の8月3日。

札幌駅を7:30に発車する51D特急宗谷に乗って音威子府へ向かいます。

 

 

 

乗車した先頭1号車はキロハ261-201、つまり量産先行車のトップナンバーで、製造から20年余り経過していますが特に古臭さは感じません。

 

 

 

宗谷は札幌→稚内のトクだ値35で乗車。途中下車になって勿体ないのですが、札幌~音威子府の運賃+特急指定席¥7970より安いので。

但し、往復利用ならトクだ値よりRきっぷ(往復¥12550)のほうがより安くなります(※Rきっぷの冬期は片道あたりトクだ値35と同額)。

 

 

 

音威子府駅には10:41着。風っこそうや1号は13:22発なので2時間半以上ありますが、名寄以北の宗谷本線は本数が少なすぎて当日札幌から向かうにはコレ以外選択肢がありません。やはり、風っこに乗ると思われる方が結構な人数降りていきました。

 

 

 

待合室は普段では考えられない程賑わっており、かつてのキヨスク跡には臨時の売店も出店していました。

 

 

 

音威子府といえば、駅そば『常盤軒』!

店主の病気療養のため長らく休業していましたが、今年4月に待望の再開を果たしました。

私は20数年振りにこのそばを頂いたのですが、濃いつゆと黒い麺の唯一無二の個性は健在で、相変わらず旨かった!

本当はおかわりしたい処でしたが、一人でも多くの方に行き渡るように自粛しました…。

 

 

 

そばを食べ終えてもまだまだ時間があります。駅舎内にある天北線資料室を見物。

天北線は私が乗車した事のある数少ない特定地方交通線で、往路は宗谷本線経由だったので片道(上り)しか乗車していませんが、早朝の722Dを南稚内から乗車し、曲淵~小石の山間部は非常に長く感じられたものです。同名の山がそびえる敏音知で途中下車し、ひなびた山間のムードに癒され、後続の浜頓別発740Dで音威子府に着いた後、2・3番ホームの待合室内にあった駅そばを食べた思い出があります。

 

 

 

駅舎内に併設されている宗谷バスの切符売場では、村の若手有志によるマチづくりグループ『nociw』(ノチウ)企画、鉄道グッズや道の駅きっぷ等で知られる(株)アプトが製作した風っこそうやのオリジナルグッズが委託販売されており、私はキーホルダーを購入しました。

 

 

 

それでもまだまだ時間がありますが、稚内から出る9342D風っこそうや2号を撮り鉄するのに手頃なポイントはないか?と歩いていたら、駅から10分位の処にある音威子府川橋梁そばの堤防に10人程の撮り鉄がいるのを発見、私もその中に入る事にしました。

 

 

 

その橋梁を、12:01頃に風っこそうや1号が通過します。

無謀にも、三脚も何も持ってきていない中で右手に一眼、左手にハンディカムで動画と写真の両方を撮るという事をしてみたのですが、そんな芸当は上手くいかず、こんなイマイチな画像になってしまいましたが御赦しを…。

風っこそうやは控え車と保安装置の絡みで旭川方にキハ40 1780『道央 花の恵み』(札トマ)、稚内方にキハ40 1720『道北 流氷の恵み』(旭アサ)を連結しているため風っこのキハ48の顔は拝む事ができません。

 

 

 

 

撮影を終えて駅に戻ると、先程食べた駅そばの常盤軒には風っこそうやから降りた乗客で長蛇の列ができており、やはり売り切れてしまい希望者全員には行き渡らなかったようです。なので、宗谷で到着した時点で食べておいて正解でした。

 

 

 

風っこそうや2号が到着してしばらくして、折返し運転の1号の改札が始まっていました。

 

 

 

風っこそうやは音威子府駅の1番線ホームに発着するのですが、普通列車用のためホームが短くて前2両がドアカットされており、2・3番線ホームからも『道北 流氷の恵み』の顔とヘッドマークを撮る事はできませんでした。

 

 

 

風っこそうや1号は、3号車に乗車します。トイレなしのキハ48 1541(JR東日本仙台支社管轄小牛田運輸区所属)です。

 

 

 

3号車キハ48 1541の車内。通路は広い代わりに座席幅はかなり狭く、BOX席に大人4人フル乗車するとかなり窮屈に感じます。

 

 

 

 

風っこそうやに乗る乗車券は、青春18きっぷを使用。

えきねっとで確保した指定券は、当初通路側で、控え車のキハ40に乗車するつもりでしたが、後に進行方向左側の窓側(しかも天塩川と利尻山の見えるほう!)に空席が発生したため変更しました。ちなみに3号車は奇数、2号車は偶数のそれぞれA・D席が上記の景色の良いほうになります。

 

 

 

今回確保した座席は、進行方向の逆向きでしたが景色の良いほうで取れたので言うコトなし!

 

 

 

フリースペース扱いの控え車キハ40 1780車内。観光列車仕様なのでBOX席にはテーブルが取り付けられており、中吊りには道北各地のアイヌ語地名の解説ポスターが掲げられています。

 

 

 

ロングシート部には記念撮影用に懐かしいヘッドマークが描かれたボードが置かれていました。

 

 

 

9341D風っこそうや1号は13:22に音威子府駅を出発します。駅長はじめ地元住民の皆さんが共通デザインの手ぬぐいを掲げてお見送りしてくれました。この手ぬぐいは、沿線各地のおもてなしのために先述のマチづくりグループnociwがクラウドファンディングで費用調達して製作されたものです。

 

 

 

この日の風っこそうや1号の指定席はほぼ満席のようでしたが、音威子府発車時点では私のいるBOX席には向かい側に若い男1人だけで、4人全て埋まっているBOXは少なく、他の乗客は控え車のキハ40『北海道の恵み』に座席を確保していたと思われます。

 

 

音威子府からの宗谷本線は、天塩川の流れと共に北上します。

 

 

 

音威子府の隣駅・筬島(通過)では集まった人達によるウェーブで乗客をおもてなし。

 

 

 

筬島の先、天塩川の河岸には幕末の探検家・松浦武四郎がこの場所で蝦夷地を『北海道』と命名した事に因む『北海道命名之地』があるのですが、ここでも手ぬぐいを持ったおもてなしが。

 

 

 

最初の停車駅・天塩中川では64D特急サロベツ4号と列車交換の待ち合わせで20分停車します。

地元住民の歓迎のおもてなしで出迎えてくれました。

 

 

 

ホームでは地元特産品の販売やハスカップを原料にしたワインの試飲会が行われており、地元ゆるキャラの『じゅえる』も登場。よ~く見ると、中川の文字が隠れているんですね~。

 

 

 

天塩中川でやっと撮影できた先頭車キハ40 1720『道北 流氷の恵み』の顔。風っこそうやのヘッドマークは前後で違うデザインで、稚内方はサロベツ原野や利尻山などが描かれています。

 

 

 

撮影を終えて自席に戻ってみたら、テーブルの上にはワインの入っていた紙コップがひっくり返っており、床にもこぼれていて置いてあった私のリュックも汚されていました。犯人は向かいの席の若い男なのですが、彼はまだ席を外したまま。仕方なく持参していたティッシュとかで拭いていたら彼が戻ってきたので注意しましたが、テーブルにはカップホルダーが付いているんだから飲み物はそこに置いといてもらいたかったですね!

 

 

交換列車の64D特急サロベツ4号が到着し、天塩中川を発車します。先程音威子府まで乗ってきた51D宗谷の折返し運用です。

 

 

 

風っこそうやにはJR北海道の乗務員の他に営業社員も乗り込んでおり、今後北海道における観光列車の参考にするために国土交通省が委託して東急グループが実施するアンケート用紙が配られました。アンケートの回答に協力するとJR北海道の列車の図柄が入ったオリジナルポストカードが貰えます。

 

 

 

風っこそうやの乗客には乗車証明書、過去に宗谷本線を走行した列車の写真が入った記念カード、沿線ガイドのチラシが配布されました。

記念カードは何種類かあり、今回私が頂いたのはキハ400系の急行サロベツでした。

画像右側にあるのは先程のアンケート回答者が貰えるポストカード(4枚)です。

 

 

 

天塩川沿いの車窓風景の中でも、特にハイライトともいえる問平(といひら)陸橋を徐行で通過します。クルマからは見られない、鉄道でしか味わえない絶景です(糠南~雄信内)。

 

 

 

そして、いよいよ天塩川の流れとはお別れし、宗谷本線唯一にして日本最北の鉄道トンネル・下平トンネルに入ります。

 

 

 

雄信内(通過)を過ぎると、今度は利尻山が見え始めます。ちょっと雲が多いようですが…。

 

 

 

天塩川の本流とはお別れしましたが、かつて蛇行していた旧河道の三日月湖が幌延の手前辺りまでの間にいくつか見られます。

(南幌延~上幌延)

 

 

 

15:24到着の幌延は1分停車。風っこそうやは上りの2号がメインのようで、幌延や次の豊富でも天塩中川と同様に地元特産品の販売などが行われますが、停車時間の短い1号は対象外。

 

 

 

広がる草原の向こうに見える利尻山。相変わらず山頂には雲が多いですが、風っこそうやの車窓から利尻山が見えたら「乗って良かった!」と思います。

 

 

 

15:49到着の豊富も1分停車なので、ホームで見送る人も少ないです。

 

 

 

その豊富から稚内観光協会の方が乗り込み、8月3・4の両日で開催の『わっかない観光物産まつり』で使える食券と、稚内の特産品が貰えるクジ引き抽選会が行われました。座席番号が書かれたクジを観光協会の方が抽選箱から引くのですが、残念ながら私の座席番号が読まれる事はありませんでした…。

 

 

 

兜沼が見えると、兜沼駅を通過します。

 

 

ここでハプニングが!

なんと、列車の前方にキツネが現れ、そのまま線路上を歩いているため列車は徐行を余儀なくされます。なかなか退いてくれず、しばらくの間徐行運転していましたが、思わぬハプニングに乗客も皆ホッコリ。

 

 

 

いよいよ、風っこそうや1号の旅はクライマックスに!

抜海の丘を登り、その頂上付近にわずかな間だけ見る事のできる日本海に浮かぶ利尻山です。

私は宗谷線を数えきれない位JRで旅しましたが、車窓から雲に隠れない状態の利尻山を見られた事は2回しかなく、霞みなくここまでクッキリ綺麗に見えたのは初めてです。右側にうっすらと礼文島も見る事ができました。

風っこそうやに乗ってここまで美しい絶景を見られて、マジ感激!!今まで生きててよかった!もうコレで思い残す事はありません。いつ死んでもいい位(嘘)。

 

 

 

抜海の丘を下った後は、最後の停車駅・南稚内です。

住宅街へはコチラのほうが近く、地元客が多く利用するため特急も停車します。

 

 

 

そして、風っこそうや1号の旅もついにフィナーレ。稚内の港を右側に見ながら、終着駅・稚内駅に進入します。

 

 

 

定刻では16:55ですが、キツネ騒動のため数分遅れて(17:03頃?)到着しました。

稚内は棒線駅のため、旭川発の61D特急サロベツが17:23に到着する関係上、風っこそうやの車両は17:15(?)頃南稚内に回送されます。

 

 

 

風っこそうや1号から下車した乗客には稚内・利尻・礼文の観光パンフレットと礼文島の花の香りの芳香剤、稚内で加工したホッケ燻製のスティックがまとめて入った袋が配られました。

 

 

 

みどりの窓口の上に掲げられていた風っこそうやのPR表示。

本来なら7月27日運転開始でしたが、道北一帯の豪雨の影響でその日は全面運休という憂き目に遭ってしまい、翌28日からの運転となったのでこの8月3日はまだ2日目だったのです。

 

 

 

コンコースでは稚内のご当地ゆるキャラ『りんぞうくん』がお出迎え。

 

 

 

風っこそうやと入れ替わりに、旭川発の61Dサロベツ1号が到着。網走発82D大雪2号から乗り継いできた旧友と合流します。

 

 

 

道の駅わっかないと再開発ビルとの合築駅舎となった稚内駅。

駅そのものは新しくキレイになりましたが、1面2線あったホームは棒線化され、線路終端部も引っ込んでしまったのでかつての駅を知る者としては一抹の寂しさを感じます。

 

 

 

駅を後にして、宿に向かいます。

今回宿泊したホテル美雪は、駅から徒歩で約5分位の場所にある宿泊特化型のホテルです。

風っこそうやの関係か、市内のホテルは軒並み満室で取りにくかったのですが、今回何とか空室を見つける事ができました。しかし稚内のホテルはこの時期どこも宿泊料金が高いです。ここも約1ケ月前に予約しましたが2人1室素泊まりで一泊2万円弱と、決してリーズナブルとはいえません。

 

 

 

部屋からは、北防波堤ドームと宗谷海峡、そして宗谷岬のほうを望む事ができます。

 

 

 

部屋に荷物を置いて外出します。

北海道遺産に指定されている稚内港北防波堤ドーム。かつて線路はここまで伸びていたのですが…。

 

 

 

ホテルは素泊まりなので外で食事を摂ろうと思ったのですが、稚内は閉店時刻が早い飲食店も多く、この日と翌日に開催の『わっかない観光物産まつり』の露店で食べるモノを買い込んで部屋で食べる事にしました。

 

 

 

同時開催の『稚内みなと南極まつり』。メインイベントである『北海てっぺんおどり』の山車の行列を少しだけ見てきました。

 

 

 

その山車の中に風っこそうやを題材にしたものもありました。残念ながら人だかりの中に隠れてうまく撮れませんでしたが…。

 

 

 

今回はここまで。次回は翌8月4日の風っこそうや2号に乗車した時の事を紹介します。

つづく

 

今回の記事に関連したYouTube動画も製作しました。お時間のある方はどうぞご覧ください↓