3
岡山市を走るバス会社同士の対立、遂にはケンカの舞台が法廷に移行する事態となった。
98F6E9D3-C3F1-41F3-8665-F8A81FCD5EFE
法廷闘争の原告となっているのは岡山県南部で路線バス事業を行なっている「両備バス」・「岡電バス」の親会社「両備グループホールディングス」。同社が国に求めているのが「競合他社による格安路線バス路線の事業認可取り消し」だ。

事の発端は2017年、両備バス・岡電バス(いずれもバス事業者)と同じ岡山県岡山市内を地盤とするタクシー会社「八晃運輸」が展開する低価格循環路線バス「めぐりん」が両備バス「岡山西大寺線」と競合する循環路線バス路線「益野線」の運行開始を申請、さらにその運賃を両備バスの運賃と比較し40〜55%低い価格で参入する計画を明らかにしたことに起因する。

両備ホールディングスによると、岡山西大寺線(岡山駅前〜新橋)の現行運賃は400円、それに対し益野線の運賃は250円(東山から益野方面は250円均一、東山〜岡山駅前間では100円均一で同区間の両備バス運賃は220円)とその差額の比率は40パーセントに及んでいます。特に東山〜岡山駅前方面はその差額割合が55%と両備バス・岡山電気軌道線(同区間の電車運賃は140円で益野線と比較すると差額割合は30%となる)と比較して「めぐりん」に有利な運賃を打ち出している。

岡山電気軌道・両備バスの運営は軌道線や岡山西大寺線をはじめとする少数の黒字路線がほかの赤字ローカル線を支える構造となっており、今回「めぐりん」の岡山西大寺線に対する競合格安路線バスの運行開始により2社(岡山電気軌道・両備バス:岡電バスは岡山電気軌道に含む)の減収が3億円近くに上る試算を提示しています。もしその試算が現実のものとなった場合、両備バス・岡山電気軌道の赤字路線が維持できなくなるリスクが急激に高まることになります。

これに対し岡山電気軌道・両備バスはこの問題に対する問題提起を行うために合計で31の路線を廃止することを表明(その後関係自治体との協議などによる事態打開に向けた法定協議会の実施に目処がついたことなどを理由に取り下げ)、両備グループの労働組合を中心とした労働争議(結果的に4月23日に岡山西大寺線で1時間のストライキ、4月26日に両備バス岡山西大寺線で1時間の改集札スト、4月27日に両備バス岡山西大寺線・岡山電気軌道全線で1日間の改集札ストを実施)、「めぐりん」事業者の停留所設置に伴う道路占有許可申請の瑕疵を理由とする認可取消を求めた訴訟(被告は国土交通省)の提訴などが行われた。


10807A45-20E4-47A0-8F98-C51D82648650
この訴訟の第1審(東京地方裁判所)の判決公判は8月30日に言い渡される。

この記事に関する両備グループの主張

この記事に関する八晃運輸の主張

参考記事:https://www.sankei.com/premium/news/190710/prm1907100009-n1.html(産経新聞電子版:7月10日)

画像:岡電バスが運行する「後楽園直通バス 夢二黑の助バス」、岡山電気軌道の超低床路面電車「MOMO2」

【解説:両備グループ・「めぐりん」】
両備グループは、岡山県で軌道・路線バス・フェリー(乗合貨客船)事業などを、和歌山県で鉄道事業、その他岡山県を中心に交通・情報・生活・文化・福祉など多方面に事業展開している企業グループ。代表は小嶋光信。
グループ企業には岡山電気軌道(岡山市内などで軌道・路線バス事業を展開)・両備バス(岡山県などで路線バス・高速バスなどを運営)・中国バス(広島県などで路線バス・高速バス事業などを展開)・両備フェリー(岡山〜高松間で貨客フェリー事業を展開)・和歌山電鐵(和歌山県で鉄道事業を展開)・津エアポートライン(津市〜常滑市間で高速旅客船事業を展開)・神戸ベイクルーズ(神戸港内の遊覧船事業を展開)・岡山高島屋(岡山市で百貨店を運営)・両備システムズ(官公庁や病院などのシステム構築・運営管理などを展開)などがある。

「めぐりん」は岡山県でタクシー「サンタクシー」を運営する八晃運輸が展開している乗合路線バスで、主に岡山市中心部における循環系統の路線バス(運賃は中心部路線が100円、日赤病院・大元方面の路線が200円、益野線東山〜新橋方面が250円均一と既存事業者よりも安価で運行)を運営している。運行開始は2012年で、2002年に行われた路線バス事業の規制緩和により生まれた新規参入事業者のひとつで、今回問題となった益野線は同バスにとって初となる郊外路線バスの事業区間となっている。



鉄道コム


PVアクセスランキング にほんブログ村


にほんブログ村 鉄道ブログへ
にほんブログ村 
 
本日の投稿記事:http://blog.livedoor.jp/uppi_natettyan/archives/18883509.html(記事内容:【JR東日本・相鉄】11月30日、JRと相鉄がつながる。)