【長崎新幹線】九州新幹線新ルート建設中の事故・在来線かもめ号に接触!?

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画像:崎 狛 鉄さま(@komatetsu_6667)

九州新幹線では、既存の博多駅〜鹿児島中央駅に加えて長崎県方面に向けて新ルートを建設しています。

工法・規格が確定して工事が進められている武雄温泉駅〜長崎駅ですが、付帯工事でのトンネル工事中に掘削機材が在来線のトンネルを突き抜けて在来線特急に接触するという前代未聞の事故が発生しました。

鉄道事故の中でも一風変わった事故を、鉄道趣味の観点から掘り下げます。

鉄道トンネル建設工事ではなく、付帯工事

新線建設とあって、タイトルだけだとJR長崎線の真上に長崎新幹線が通るように見えますが、実は直接の関係ではありません。

今回の工事は新幹線トンネル掘削の影響で近隣の生活用水の水枯れが発生、その対応として井戸を掘るための試掘工事(小さな穴を開けて確認する試し掘り=ボーリング)をしていた際の掘削機がJR九州・長崎線のトンネル天井部を突き抜けてしまったとのことです。

貫通した掘削機にかもめ16号として運転されていたSM10編成の前照灯左側付近に接触、異音感知として非常制動となりました。

あくまで新幹線トンネルの付帯工事で起きた事故ですので、新幹線用の大きなトンネルが在来線のトンネルにぶつかった訳でも、将来的に新幹線が在来線の上を通過する訳でもありません

付帯工事ではあるものの、結果として新幹線が置き換えるはずの特急かもめ号を「掘り当てて」しまったという珍事が発生してしまったのはちょっと皮肉でしょうか。

同事故により6時間余りの運転見合わせと33本の運休が発生、約6000人に影響が及んだそうです。

この事故の興味深い点としては、図面上はトンネルと重ならない場所を掘っていた、という発表があったことがあげられます。

事故現場の映像と国土地理院地図からは、十数メートルは離れていたものと推測できます。

試掘が真下を掘るものではなく斜めに掘っていく工事だったのか(傷跡は縦方向ですので、真下を掘っていたように見えます)、それとも開通時期の古さゆえに地図とトンネルの位置に大きく相違があったのか、この辺りは続報や報告書など待ちとなります。

古い建造物と地図の位置ズレという問題は今も多く残る問題ではありますので、これが直接の原因となると、直接的な対策を練るのも難しそうです。

測量技術自体は近年かなり向上していますから、別のアプローチでの対策作りが求められてい来そうですね。

なお、この工事の本筋となる、2022年度に開業予定の長崎新幹線を巡る各県・各自治体の攻防、そして気になるフリーゲージトレインの投入などの車両面の動きについてもなかなか面白いですので、今後別記事にて紹介できればと思います。

トンネル掘削は事故と隣り合わせ

冒頭で前代未聞と記しましたが、トンネル工事での事故事例は多数存在します。

鉄道関係のトンネルですと、今回とは逆の鉄道トンネルを掘っていたら水源を掘り当ててしまったという上越新幹線のトンネル事故が有名どころでしょうか。

これは、上越新幹線建設の際に発生した事例で、火災や止水に難儀した結果、上越新幹線のルート変更や開業遅れが発生しています。

上越新幹線に160km/hの速度制限が存在しているという点は、現在でも特殊性を感じますね。

最近だと、同じ九州の福岡市営地下鉄七隈線延伸工事にて、トンネル内に土砂や水が流れ込んで大きな陥没をしたニュースが記憶に新しいところです。

トンネルの掘削は数ミリ単位の精度、青函トンネルは両側から掘り進めても誤差数十cmで行っている測量が発展している時代ですので、今回の事故はちょっと初歩的なミスにも思えますが、車両の損傷こそあれど怪我人が出なかったのは不幸中の幸いだったほか、これだけトンネル掘削技術が発展しても難しい事業であるということを改めて感じさせられます。

いずれにせよ、トンネルに直径15cmの鉄棒が刺さっているという状況、(異音感知で停車させたとのことで、おそらく後から知ったであろう)運転士さんは鳥肌モノでしたでしょうし、2時間缶詰めになってしまった乗客の皆さまの心労を鑑みると、再発防止を願うのみです。

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元画像紹介

今回の事故当該編成となった885系SM10編成の画像は、Twitterフォロワーの崎 狛 鉄さま(@komatetsu_6667)よりご提供いただきました。

末筆で恐縮ですが御礼申し上げます。

別アングルのお写真のほか、関連した運用変更などをツイートされています。

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