【都営】異端児5327編成も廃車!?急速に数を減らす5300形の今昔

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東京都交通局では、浅草線用で活躍する5300形について、次世代車である5500形への置き換えを順次進めています。

彼らのラストナンバー・5327編成が廃車回送となって話題となっています。

登場経緯から、5300形が成し遂げられなかった「夢」まで纏めてお伝えします。

5300形の登場

5300形は、東京都交通局が浅草線の既存車両5000形を置き換えるために1991年(平成3年)から製造された車両です。

先代の5000形が製造から30年以上経過していて老朽化が進行していたほか、車両の冷房化を兼ねた置き換えとなります(今でこそ信じられないですが、その頃の地下鉄車両は非冷房が標準で、それまでは乗り入れ先の会社の冷房車もトンネル内排熱の都合で冷房を使用していませんでした)。

代替として登場した5300形では、当時の最先端である、GTO素子のVVVFインバータ制御装置を搭載したほか、冷房はもちろん、行き先表示器でLEDを採用するなど、当時の最先端の技術が詰め込まれています。

1995年(平成7年)までに8両26編成が製造されて、普通鋼製の5000形を置き換えています。

異端児5327編成が生まれた理由は?

1997年(平成9年)には、残された5000形6次車→5200形の6両2編成を8両1編成に組み替えるために1編成が増備されることとなり、これが5327編成です。

ちょうどこの車両が製造されるころ、京急線内では120km/hの快特運用を都営車でも実施する計画があったため、従来の最高110km/hの車両から仕様変更が行われることとなりました。

高速域での加速性能を向上させるため、主電動機の出力を165kwから180kwに増強したほか、制御装置も三田線用のものと同形のものに変更されました。

しかしながら、この計画は見送られることとなり、1編成だけが+10km/hの性能を持っていても定期運用では役立ちませんので、加速性能が遅延回復でちょっとだけ役立つ程度となってしまいました。

この編成のささやかな見分けるポイントとしては、種別灯(急行灯)が他の編成に比べて暗いというものもありました。

個性の強い車両でファンも多い

この車両は独特のデザインに加え、VVVFインバータ制御装置の音が独特かつ大きい、不思議な警笛音の珍しさ、他社車両と異なって京成・北総・京急の全域で広く運用されている幅広さなど、なかなか個性的な車両ですね。

京急車・京成車の個性も強い為、両社のファンの一部からはハズレ扱いされることも。

そんな5300形に対して、ファンからニコニコ動画内において「交通局の白い悪魔」というタグが付けられ、この名称が現在も一番広く知られている愛称だと思います。

同時期に登場した京急を指す「ハマの赤いあんちくしょう」という名称とともに、ファンの世代が変わりつつも親しまれている呼び名ですね。

このほかにも、都営ということで、石原元都知事や猪瀬元都知事が現役の際には「石原車」「猪瀬車」などど呼ばれているのも耳にします(5300形の登場時は鈴木俊一氏ですが、石原氏の在籍年数が長かったからでしょう)。

5300形の引退と、叶えられなかった「夢」

今日、廃車回送となった5327編成には、5300形で唯一の120km/hでの走行対応がされていました。

今回の置き換えの理由の1つに、京急・成田スカイアクセス線内で実施している120km/hに非対応という運用上の制約がありました。

これは5300形が当初は改造にて対応する案もあったものの実現しなかった一方、後継の5500形では全編成が120km/h対応で製造されています。

既に5500形ではアクセス特急の表示が出来ることが確認されていますので、今後のダイヤ改正で都営車のアクセス特急運用が設定される可能性も高いでしょう。

5327編成は他の編成より車齢が若いこともあり、置き換えが後回しになって5500形とともにアクセス特急で有終の美を飾ることに期待するファンも多かったですが、20年以上成し遂げられなかった彼の120km/h運用充当は後輩に託すこととなりました。

他社と比べると早い引退

乗り入れ先では、同じく平成初期に製造された京急600形や京成3700形といった同期が修繕も受けながら当面活躍しそうなほか、京急1500形や京成3600形のような先輩車両が浅草線に乗り入れているという現状もあります。

やはり多くのファンにとって、まだまだ活躍できそうな車両の引退となりますので残念がる声も多く聞かれます。

しかしながら、この経年は東京都交通局では割と一般的な置き換え時期となっており、同じく初期車が「ミニスカート」となっている三田線用の6300形についても、初期車は相鉄直通開始までに置き換えが進む見通しです。

新宿線でも10-000形が淘汰されたほか、大江戸線用の12-000形についても初期車が置き換えられています。

引退後の他社譲渡はある?

18mという小柄なボディ、両先頭車がモーター車という点では、引退後の地方私鉄譲渡に期待する声も存在します。

しかしながら、浅草線の車両は標準軌ですので、譲渡先での台車交換が必須となる会社がほとんどです。

不幸にも、同じ時期に近い車体サイズの日比谷線03系が大量に引退しており、1067mm台車・無塗装で大丈夫という点で有利な彼らの譲渡が進んでいます

標準軌の同規格私鉄に、京急車の譲渡実績が多くて経年車が多い高松琴平電鉄=ことでんがありますが、VVVFインバータ制御車両の投入実績がないために変電所の対策が必要となるので、同社の経営状態を考えると厳しそうです。

状態が悪くない中古車両なので、どこかに嫁いで欲しいところではありますが、現状は難しそうですね。

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コメント

  1. 名無し より:

    現状解体の03系5ドア車や東武20000系転用改造対象外車とかの足回りを使えば狭軌化出来そうだけどなぁ