【絶滅危惧種】東の事業用車クモヤ143が久々に走行・次世代車の登場もある?

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首都圏ではほとんど動きのないクモヤ143系が久々に本線走行を行って話題となっています。

JR東日本で一掃された経緯をおさらいしつつ、次世代車の登場の可能性を考えます。

ATC対応の牽引車として登場

山手線を皮切りに投入が開始されたATC区間での牽引と、旧型国電由来の事業用車の置き換え目的で1977年(昭和52年)から1980年(昭和55年)に製造されたのがこのクモヤ143系です。

兄弟形式であるクモヤ145系が101系の足回りを流用したのとは異なり、新規製造の足回りを装備している点が特徴的な車両です。

2000年代に入って大規模な淘汰

後述の川越車両センターのクモヤ143-11が八高線用の入出場回送を担当していたほかにも、久留里線の気動車群が幕張車両センターに回送されて車輪転削をする際の牽引、軌道検測車マヤ34→建築限界測定車マヤ50をサンドして牽引など、牽引車としての用途で活躍していました。

また、湘南色に塗装されたクモヤ143-4など、最寄り駅から車両センターへの職員輸送列車、その他構内入れ替えなど、各車両センターに欠かせない車両でした。

山形新幹線の在来線区間用の事業用車としてクモヤ143-3がクモヤ743-1として転用されるなどの動きがあったほかは、各地に配置されて用途通り使用されていました。

E491系「East i E」の登場で、軌道検測マヤの牽引がなくなったことで初の廃車が出たり、

しかしながら、車籍を有している割に活用機会が少ない事業用車両の合理化が進められ、2008年~2013年ごろにクモヤ145系の残存車とともに転属や廃車が続いて淘汰されていくこととなりました。

現在車籍があるクモヤ143形はどこに居る?

編成単位の管理が当たり前になったうえ、転属などの輸送列車はEF64形やEF81形の双頭連結器装備が進んで配給輸送で行うのがJR東日本の基本形となって、同僚たちが一斉淘汰されたなかで生き延びた幸運な車両たち。

あまりに動きがないので忘れがちな彼らの現状を振り返ります。

クモヤ143-8,9

クモヤ143-8,9の2両は東京総合車両センターにたくさん在籍していたクモヤ143系の中でも生き延びた幸運な車両です。

ATCを使用しない線区のクモヤがATCを外しているなか、ATC区間での100km/h対応がされていたためにこの2両が残されたものと推測できます。

しかし、先述のように主な用途は廃止されていますので、彼らについても本線上はおろか、一般の目に触れる活躍は一切ありません。

記事公開日に運転された単行での回送は、毎年中野車両センターでの訓練のために行われていますが、それが唯一本線走行をする機会となっています。

クモヤ143-11

ここ数年迷走を続けているのが、川越車両センターに所属するクモヤ143-11でしょう。

川越車両センターに所属していて、サムネイル画像のように最後まで牽引役としての活躍をしていました。

これは、川越車両センターの八高線・川越線用の209系をはじめとする車両たちにATCを搭載していない為、埼京線を走行する際にATCを装備したクモヤ143を繋げる必要があったからです。

209系の電気指令式ブレーキに対応するための読み替え改造が行われています。

同様の改造がされたクモヤ145-117が209系0番台の廃車配給に当初連結されていたのと施工内容は同じで、新系列電車の牽引もできるようになっていました。

一方で、川越線が大宮駅も非電化・地上ホーム発着だったころからの線路を経由すれば、ATCがなくても東京総合車両センターへ行き来が出来ますので、こちらも経路変更により解消しています。

その後、このクモヤ143-11が生き延びたきっかけにもなった埼京線を走るためのATCも撤去、さっらに埼京線で使用される新しい保安装置ATACS非対応と去就が注目されるなか、塗装試験として大宮総合車両センターで長らく放置されたうえ、配給輸送にて川越車両センターに戻って休車となっており、今後更なる動きがありそうな車両です。

車籍抹消されているものの、クモヤ143-21が現存

クモヤ143-21は、除籍こそされているものの、東大宮にある東大宮訓練センターにて訓練機械として209系とともに活躍しています。

しかし、東大宮訓練センターに新たにクモユニ143-3が搬入されており、今後が一番危ない車両ともいえるでしょう。

クモヤ143-51

クモヤ143系50番台は、交直流型車両の牽引車両として荷物輸送廃止で余剰となったクモニ143系を改造して登場した形式です。

クモニ143系時代に纏っていた湘南色のままとなっているほか、双頭連結器を搭載していること、スカートを撤去していることなど、外観は0番台の車両たちとは大きく異なるものとなっています。

このクモヤ143-51は登場から一環として新潟車両センターに所属を続けています。

特筆すべき活躍例としては、EF64形牽引のE127系故障車輸送への充当があります。

この際には故障したE127系がブレーキ使用不可能であったため、115系2両編成とともにブレーキ用の車両として連結され、EF64+115系2両+E127系2両+クモヤ143-51という珍編成となり、大きな話題となりました。

クモヤ143-52

2両改造されたものの、新潟車両センターでは余剰となったクモヤ143-52についても、転属を重ねながら現存しています。

当初の新潟車両センターから松本車両センターに転用され、長らく大糸線の霜取り列車などで長く活躍しましたが、2018年(平成30年)の3月改正で大糸線の霜取り列車が営業用のE127系で代替されることとなりました。

現在はクモユニ143-3を置き換える形で長野総合車両センターに転属しています。

こちらは長野総合車両センターで活躍している姿を多く見かけるようになりました。

「牽引車」代替の必要性

現在、JR東日本ではEF64形やEF81形による配給輸送が頻繁に行われています

その一方で、今後は機関車牽引列車を廃止する方向で進んでいることが秋田総合車両センター内の掲示や組合発表などで明らかになっています。

JR東日本の今後を考えると、牽引役の車両を無くすことは出来ないでしょう。

新車の製造を新津で行っていますが、この輸送をする牽引機が無くなった場合、JR貨物に委託=甲種鉄道車両輸送に切り替える可能性があります。

同様に廃車のための長野総合車両センターへの配給輸送・交流電化路線への改造前の疎開配給など、これだけ日常的に配給輸送をしているJR東日本。

すべての機関車牽引列車を委託するのは費用面から現実的ではありません。

工事用臨時列車=工臨については、JR東海開発のキヤ97形に耐寒耐雪装備をしたキヤE195形を既に投入しています(残念ながら試運転段階での故障から1年、ほとんど動きはありませんが)。

こういった代替を考えると、交直流に対応して、牽引能力のある電車か気動車を開発・製造する可能性はゼロではないと言えるのではないでしょうか。

JR西日本が除雪用気動車キヤ143形を投入して話題となりましたが、その際にも夏季は牽引用としても活躍できるとしています。

もしも牽引用途の電車・気動車が登場した場合は、機関車というよりはクモヤ143系の後輩格の車両とも言えそうです。

工臨用は早期に噂が出ていた一方で、牽引用の代替方法の情報は耳にしません。

キヤE195形とともに、今後の動きに目が離せませんね。

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