新元号・令和がスタートして早くも1ケ月半が経過しましたが、今回は私にとって『平成最後』となった乗り鉄を記事にしたいと思います。

 

元号跨ぎの関係で史上最長となったG・W10連休の3日目である平成31年4月29日。平成最後の『昭和の日』となったこの日、キハ183系で運転される臨時特急北斗88・95号に乗ってきました。

定期列車からは昨年3月のダイヤ改正で183系が撤退し、全列車『スーパー』化した北斗系統ですが、多客期の臨時列車としては183系を使用した列車が設定されています。それも、昨年のさっぽろ雪まつり期間まではスラントノーズ車による運用がありましたが、以後の臨時列車にはN・NN183と呼ばれる貫通型による運用に変わっています。

(スラントノーズ車で運転されていた頃の臨時北斗。※2015年夏臨の北斗92号)

 

 

その183系による北斗88・95号ですが、運転形態が変則的で上下の運転本数が揃わず、今年のG・Wにおいては上り88号が4月27日~5月6日と10連休中の毎日運転されたのに対し、輸送需要の偏りからか下りの95号は4月29日と5月6日のわずか2日間のみという少なさでした。ただ、車両自体は同じ編成が繰り返し使用されるため、運転されなかった日の分はわざわざ300㎞余りの距離を札幌(車両基地のある苗穂)まで回送し、翌日の88号として運転されるというパターンを繰り返していたようです。これは実際に営業列車として走らせたとしてもそれ程需要がないからという判断なのでしょうが、素人目から見れば勿体ない話です。

 

それで、往復運転のある29日に乗りに行こうと思ったのですが、あと2年(?)で完全引退がアナウンスされている183系の雄姿を収めておきたくて、前日28日に上野幌駅に出向いて北斗88号を撮り鉄してきました(冒頭の画像も)。

 

 

去年、一昨年のG・W前半は本州方面へ出かけていたのですが、今年は休みの期間も不確定だった事もあって前半に関しては全くノープランで、結局乗り鉄に行ったのは29日1日だけ。急遽行く事に決めたので北斗88・95号の指定券も取っておらず、自由席に乗る事にしたので早めに札幌駅に出向き、ホームに並ぶ事にしました。

 

北斗88号は快速エアポートが頻繁に発着する6番線からの発車。通常では同じ番線から発車する9:50発エアポート96号と時刻が接近していますが、北斗88号運転期間中は5番線に変更されています。

 

 

北斗の臨時列車は4両編成で、自由席は最後尾4号車の1両のみ。

 

 

北斗88号の車両は9:45頃に入線します。

 

 

 

ここでムカついた事がありまして。

私は4号車の乗車位置に一番乗りで並んでいたのですが、それから約10分後位に根暗そうな鉄ヲタの若い男が後に並んできました。ホームでの乗車待ちは2列に並ぶ事が基本なので、並び列が長くなってきた処でその男が私の横に移動してきました。ここまでは良かったのですが、入線してドアが開いた次の瞬間、その男は私が先に並んでいる事を無視して我先に乗り込み、最後部の『展望席』を確保し、座席を後向きに回転させて座ったのです。

 

N・NN183系の先頭車の最前列は前面展望が楽しめるという事もあって、鉄道ファンには人気がありますが、183系の終焉も近いため展望席の確保は熾烈を極めており、オホーツクや大雪でも該当する1号車17番A席は早い時期から埋まっている事も少なくありません。自由席ならかなり早い時間から乗車口に並んでいたりもします。

だからといって、先に並んでいる者を押しのけてまで展望席を確保しようとするのは以ての外でしょう。正直私もその展望席を狙っていたのは事実ですが、後向きで座るつもりではなく、最後部窓からの景色を時々撮影しようと思っていただけです。「どうせ後向きにしないのなら後部展望が見たいヤツに譲ってやれば?」なんて意見も出そうですが、常識で考えれば先に並んだほうから乗るのが当然でしょう!

私としてはその男に注意したい処でしたが、『お客様同士のトラブルで』列車の遅れに繋がる事も考えられ、テツ同志のトラブルに巻き込まれたら、一般客どころかJR関係者の心象も余計悪くなってしまいますから。ここは『大人の対応』としてグッと堪えましたよ。ただ、こんな自己中がいるから鉄ヲタの印象はますます悪くなっているのも事実です(私は一愛好家であって、あくまでもヲタではない)。

もしかしたら割り込みをしたヲタがこの記事を読んでいるかもしれないので、一言言わせて頂きます。

同じ乗り鉄として恥ずかしいワ!反省しろ(怒)。

 

 

思い出せば怒りが収まりませんが、気を取り直してブログの続き。

 

4月27~5月6日に運転された北斗88/95号の編成は下記の通り。

①キハ183-1554(指)②キハ182-503(指)③キハ182-502(指)④キハ183-1503(自)…全車札ナホ(苗穂運転所)所属

1号車はNN183で民営化後に製造された車両ですが、昭和63年製。他の3両は国鉄末期の昭和61年製なので、全車が昭和生まれの車両なのです。

今回私が乗車した4号車のキハ183-1503はかつて利尻で乗った事がありました。

(キハ183-1503の車内銘板)

 

 

1号車は座席をキハ283系用の丹頂柄に交換された個体で、現在もオホーツク/大雪に使用される事がありますが、2号車~4号車は宗谷線特急のサロベツ/利尻向けに改装されたグループでシートピッチを1050㎜に大幅拡大した上(当然、窓と座席の位置関係はズレる)で座席を261系用に交換しており、定員が通常の183系より減少しています。現在は定期運用を持たず、キハ182形は稀にオホーツク/大雪の中間(半室自由席の車両)に組み込まれる事がありますが、キハ183形はトイレを新設、さらに荷物置き場と自販機(現在使用停止)を設置して極端に定員が減少(68→52)したため運用上使いづらく、専ら臨時列車用となっているのが現状です。

(画像の位置関係だと眺望的には当たりの席になるが、コート掛けは使用できない)

 

(腰壁にある100Vコンセント。普通車の座席にあるのは改造された2000年当時としてはまだ珍しかった)

 

 

 

(発車時刻迫る北斗88号。最後尾4号車側)

 

 

 

北斗88号は9:53に札幌駅を発車。

G・W中という事で自由席も混雑するかと思っていたら、札幌からの乗客は意外と少なく、空席が目立っていました。次に停車する新札幌で10数人程乗り込みましたが、窓側席にはまだ空席がありました。

指定席車両も観察したかったのですが、外国人観光客もそこそこ乗っており、通路にキャリーバッグをハミ出して置いていたりで通り抜けしづらい事もあって結局他の車両に立ち入るのは諦めました。ただ、えきねっと上のシートマップを見る限りでは各車両ある程度埋まっていたようです。

車内放送は英語と中国語の録音放送が流れますが、自動放送ではなく予め録音した素材が入っているICレコーダーの音声を放送用受話器に当てて流しているらしく、今はなき183系旭山動物園号も同様の方式で『俊夫おじさん』の声が流れていました。

 

 

ここで車窓風景をピックアップして紹介します。

錦岡~社台の樽前山(車窓右側)。

 

 

登別~冨浦の太平洋(車窓左側)。

 

 

長和~有珠の有珠山。画像右側には昭和新山のてっぺんが見えます(車窓右側)。

 

 

静狩~長万部。牧草地の向こうには残雪を抱いた山並みが見えます。

画像中央より右寄りに見える高い山は黒松内岳(車窓右側)。

 

 

コチラも静狩~長万部。

長万部川を渡ります。中央に見える山は黒松内岳(車窓右側)。

 

 

12:21着の長万部では、イベント列車でもないにも関わらず、何故かご当地ゆるキャラの『まんべくん』がホームの外側で列車を見送っておりました。毎年9月頃に運転される臨時特急ニセコではお馴染みの光景ですが、何だかホッコリしますね。

 

 

内浦湾(噴火湾)沿いに走るうちに、遠くに駒ヶ岳が見えてきます。

(黒岩~山崎。車窓左側)

 

(本石倉~石谷。車窓左側)

 

 

13:06着の森では261系による11Dスーパー北斗11号とすれ違い。11Dは13:02に森を発車するハズなので、少し遅れていたようです。

(4号車貫通扉窓から撮影)

 

 

森からは通称砂原線経由となります。急行はまなす廃止後、定期優等列車は全て駒ヶ岳廻りとなりましたが、かつては勾配緩和のため上り列車に限り全ての優等列車が砂原線経由でした。現在も線路容量の関係で上り臨時特急は砂原線を経由する場合があります。

砂原線に入るとスピードがかなり低下しますが、同線の区間は昨年の春の雪解け時期以来、路盤が脆弱になったため徐行運転を継続している関係上、経由する臨時特急は以前のダイヤより所要時間が延びています。

(渡島砂原~渡島沼尻)

 

 

本線と合流する大沼(運転停車)を出ると車窓右側に小沼と駒ヶ岳を眺める事ができます。

 

 

仁山を過ぎると遠くに函館山と平野を見下ろす風景がほんの少しの間だけ見えます(車窓左側)。

 

 

 

新幹線乗換駅である新函館北斗(14:01着)では、直接接続する新幹線がないにも関わらず多くの乗客が乗ってきました。空いていた自由席はほぼ満席状態に。

画像は札幌方面へ向かう特急列車が停車するホームですが、コチラも多くの乗客で賑わってました。

 

 

七飯の手前で下り列車専用である藤城線の高架橋が見えてきました。

特急列車は全て新函館北斗経由となりましたが、臨時列車だけでも藤城線経由があっても良いと思います。

 

 

約4時間半の旅を終え、終着駅・函館に到着。定時では14:18着ですが、約6分遅れとなりました。

先に紹介した通り、この日は札幌行き北斗95号の営業列車として折り返します。

 

♪は~るばる来たぜ函館ェ~

 

 

折返し準備のため車内清掃です。

方向幕は往路が『特急北斗 札幌』でしたが、帰路は何故か愛称名なしの『特急 札幌』になっていました。

 

 

はるばる函館まで来たのに、勿体ないですが私はこの北斗95号でそのままトンボ返りします。

車内清掃が終わるまで乗車口で並びますが、先頭にはお土産の入った紙袋をいっぱいブラ下げた30歳位の女性が。どう見ても『鉄子』には見えないのですが、先発でしかも所要時間が短い14:53発スーパー北斗15号に乗らないのも何だか不思議な感じがします。

 

 

車内清掃が終わり、乗り込むのですが…。

 

 

最前列の展望席は一番乗りで並んでいた女性に奪われてしまい、またしてもカブリツキの夢は儚くも崩れ去ってしまいました…。

仕方なく私は往路の時と同じ海側の席(最前列から2つ後)を確保します。

183系臨時北斗があるうちにカブリツキのリベンジを果たしたい!!

 

 

函館山をバックに発車を待つ北斗95号。

画像右側には函館港に停泊する豪華客船の姿が見えます。

 

 

座席を確保した処で改札を抜け、売店『四季彩館』で駅弁を購入し、再び改札をくぐると1番ホームには、国鉄色の朱色5号に塗装変更された道南いさりび鉄道のキハ40 1807が停車していました。やっぱり40にはこの色が一番似合う。

 

 

 

函館運転所に留置されているキハ281系。

既にデビューから四半世紀が経過、寄る年波には勝てず3月ダイヤ改正で運用が3往復まで減らされてしまいました。コチラも183系同様、できるだけ乗っておいたほうが良いのかも。私は261系(1000番台)にはあまり魅力を感じません…。

 

 

 

北斗95号は15:04、函館駅を発車。

車掌は国鉄時代から勤めるベテランで、車内放送の冒頭には『アルプスの牧場』オルゴールが流れました。フルではありませんでしたが、この音が鳴ると嬉しくなります。続いて「皆様、本日は数ある交通機関の中から、JR北海道をご利用くださいまして、ありがとうございます…」

「数ある~の中から…」というフレーズは旅館とかでよく聞いたりしますが、交通機関でというのは初めて聞きました。車掌も若手ばかりとなり自動放送が全盛の中、このようなベテラン車掌の丁寧で流暢な車内放送を聞くと鉄道ファンとしては温かい気持ちになります。

 

函館からは自由席、指定席とも満席に近い大盛況。こんな状況なのだから、95号の運転日数が少ない事には疑問を感じずにはいられません(往路同様、車内探検は自粛したため車内の画像はありません)。

 

 

発車前に購入した駅弁『べこ辯』で遅い昼食にします。

生の魚介類が嫌いな私、お肉系の駅弁があれば迷わずソレを選びます。鉄道ジャーナルの初代編集長だった故・竹島紀元氏とは全く正反対な嗜好でして。

 

 

 

15:11着の新函館北斗で、自由席の1/3位の乗客が下車し、私の隣に座っていた男性客は他の席に移動。

往路でも新函館北斗~函館の利用が結構ありましたが、空席さえあれば310円(25㎞迄)の特急料金でリクライニングシートに座れるのだから、「はこだてライナーはオールロングシートだから嫌だ」という客層がuシート代わりに乗るのかもしれません(憶測ですが)。

 

 

大沼で運転停車し、261系のスーパー北斗12号と交換します。

 

 

帰路は定期特急同様、大沼公園・駒ヶ岳経由です。大沼公園を発車後、右側に大沼を見る事ができます。

往路の列車では全くなかったのですが、この北斗95号では車掌による車窓風景の観光ガイドを聴く事ができました。国鉄時代~JR初期の頃なら当たり前のように聴けたものでしたが、結局若手にそのノウハウが継承される事はなく、リゾート列車以外では滅多に聴く機会がなくなってしまったので今となっては嬉しいサービスといえます。なお、車内放送での車窓ガイドはこの後も、噴火湾、有珠山、樽前山でも聴く事ができました。

 

 

駒ヶ岳経由は文字通り、車窓右側には駒ヶ岳の麗姿が見られます。

(駒ヶ岳~姫川信号所)

 

 

16:06着の森にはキハ40 835の大沼行き4836Dが停車中。同車はキハ40形の初期製造グループで車齢42年。さすがに外板には凸凹が目立ち、疲労の跡は隠せません…。

 

 

 

森~石谷の噴火湾。

天気が良いので、対岸に羊蹄山(蝦夷富士)が見えました。

 

 

 

『日本一の秘境駅』小幌駅を一瞬で通過。

G・W中にここを訪れた方も多かったでしょう。

 

 

 

伊達紋別を出て、北舟岡付近の噴火湾。既に夕暮れ時です。

 

 

帰路も4時間半の旅を終え、19:34、終着・札幌駅に到着。

 

 

乗客を降ろした北斗95号の車両は、そのまま車両基地のある苗穂には直接回送せず、一旦引き上げた後11番線に転線して留置された後、苗穂に回送されます。

下り列車としては非常にレアな存在だった北斗95号、今度はいつ運転されるのでしょうか…?

 

 

※なお、今年2019年夏臨にはお盆期間中の8月9~15日に北斗88号の運転が予定されていますが、残念ながら95号はいずれの日も設定がありません。今年の正月期間中に設定があったという事は、次回は来年の同時期と思われます(6/16追記)。