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2019年6月14日、京急800形の823編成が営業運行を終了し、京急線内の列車はすべて3ドア(2100形は2ドア)車両による運行となった。残る運用は6月16日のラストラン運用(貸切列車)を残すのみとなります。
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京急800形は、1978年に普通列車のスピードアップ、多扉車両を使用した乗降時間短縮による優等種別のスピードアップを目的として製造された車両で、京急で運用されている車両では最後の片開きドア、4ドア、前照灯1灯式車両である。この形式では700形(現ことでん1200形)をベースに1C12M(1ユニットを3両で構成し1つの主制御器で12個の電動機を動作させる)方式による6M0T編成(700形は1C4M方式による2M2T編成)を採用、起動加速度3.5km/h毎秒の高加速性能のほか4ドア車体による乗降のしやすさを両立することで京急における『通勤輸送の切り札』として活躍し、利用者からはその前面形状より『ダルマ』の愛称で親しまれてきた。
近年ではホーム上の安全性確保の観点から駅のホームドア(18メートル3ドア規格・2100形対応)設置が決まり、その際車体規格の合わなくなる800形が優先して引退することとなった。


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 京急800形のラストラン記念列車についてはこちら(京急特設サイト)からご確認ください(参加受付は終了しています)。

本記事に関する過去のブログ記事:http://up-pinatettyan2016.blog.jp/archives/40040.html



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【解説:複数のドア配置が混在する路線でのホームドア設置】 
日本全国の鉄道事業者では、さまざまな車両形式ががある一方、多くの場合車両規格はその事業者で統一されていることが多い。しかしながら、路線によっては一部の形式だけが通常と異なる車両規格をとる影響で駅のホームドア等の設置に支障をきたしていることがある。

[関東での実際例]

東京メトロ03系や東武20000系の一部編成で先頭車両とその次位に当たる車両が18メートル5ドア(他の車両は18メートル3ドア)になっている一方、現在増備が進む新型車両は20メートル4ドア車となっている。今後日比谷線でのホームドア設置に伴い在来車両はすべて20メートル規格の車両に置換えられ、東武の5ドア車は短編成・3ドア化の上で他線区に転用・東京メトロの5ドア車は全車廃車(3ドア車は一部が熊本電鉄・北陸鉄道へ譲渡)となっています。

また、JR東日本では205系・209系・E231系(山手・埼京・京浜東北・横浜・中央総武緩行線など)で6ドア車が一部使用されていた。これらもホームドア設置や新型車両導入で順次4ドアに統一する作業が進められており、今では東急や中央総武緩行線の一部編成に組み込まれた車両が残るのみとなっている。



関西圏では京阪5000系や阪急6300系、近鉄・阪神の神戸三宮〜奈良間で運行される各編成、南海2000系列、JR西日本の207系など通勤形各種と223系など近郊形各種形式などが該当しています。

[関西での実際例]

京阪5000系はラッシュ時に5ドア、通常時に3ドアという特殊な乗降扉のシステムを採用している形式で、京阪の輸送力増強に必要な架線電圧の昇圧ができない状態で増え続ける乗客に対する切り札として導入された。こちらも現在、在籍車両の大多数を占める3ドア規格(8000系は中央ドアが設置されていないものの、ドア位置は3ドア規格と変わらない)対応のホームドアが京橋駅に設置されることが決まっている。これにより他形式と車体構造が大きく異なる5000系については2020年のホームドア設置を待たずして引退する。

阪急6300系は在来特急車両(2800系)の接客サービス陳腐化に伴うイメージ刷新を目的に導入され、導入以降阪急を代表する車両として活躍した。可動式ホーム柵が導入されている十三駅では在籍車両の大多数を占める3ドア規格のものが採用され、2ドア車体で更にドアが車端部に寄っている6300系では十三駅に停車しても客扱いが出来なくなった。このため、阪急では『快速特急』専用車両を3ドア車両から改造して2ドア(両端のドアは3ドア車両と位置が共通)化した専用車両を追加導入、6300系を「十三駅を通過する快速特急(快速特急A)」に充てることで「快速特急」の増発とホームドア設置の両立を達成した。

近鉄奈良線と阪神なんば線・阪神本線では20メートル3・4ドア規格の近鉄車両と19メートル3ドア規格の阪神車両が相互乗り入れを行なっている。車両規格の統一化を実施する予定は今のところなく、技術的にもホームドア設置は困難だとしている。 神戸三宮駅にホームドアが設置されることについては、近鉄車両が停車しない1番線と3番線にのみ設置される予定で、2番線は工事の対象外となる。

南海では、元々高野線の大運転(なんば〜極楽橋)で使用する車両として17メートル2ドア(通勤形は20メートル4ドア)車両が用意されており、現在は南海本線・高野線に共通して使用されています。現在のところホームドアはなんば駅1番線にのみ設置されているため、今のところ17メートル規格車両の乗り入れにはさほど大きな問題は生じていないようだ。

JR西日本では、通勤形と近郊形が運用上厳格に区別されており、JR神戸線などでは207・321系だけが停車するホームでは4ドア用ホームドアが、通勤・近郊・特急のいずれか2タイプ以上が使用するホームではロープ昇降式ホーム柵を採用している。逆に大阪環状線では3ドア通勤形(323系)と3ドア近郊形(221系・223系・225系)に車両が概ね統一されたことから、大阪駅や京橋駅など3ドア車両しか停車しない駅では今後ホームドアが順次設置される見通しとなっています。