最終的に6編成となった小田急のSEの中で、唯一保存されることとなった3021F。
登場時の姿に復元された新宿方に対し、小田原方は5両化が行われた後の姿を残しています。

5両化後、一般的にはSSEになった後の3000形ですが、実は1984年から車体修理と呼ばれる更新が行われています。
全廃が1992年ですから、最晩年に更新が行われたことになります。

ややこしいのは、1983年に3001Fが廃車になっていることで、形式として廃車が生じた後に更新が行われているのです。
どうしてこんなことになったのでしょうか。

LSEが製造される頃、小田急としてはSEの置き換えをしていきたいという事情がありました。
しかし、SEは国鉄御殿場線への直通列車として使用されており、置き換えにはその部分の調整が必要でした。
当時の国鉄の事情を考慮した結果、仕方なくSEを継続使用することになり、老朽化した部分の補修を行ったのが、最晩年に更新が行われた理由です。

更新は全編成に行われず、3011Fが対象から外れ、3021F以降の4編成に対して実施されました。
更新対象から外れた3011Fは、1987年に廃車となっています。

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ロマンスカーの基礎を築いたSEでしたが、短縮改造や中途半端な更新が行われ、安定しない車両でした。
その時々の事情に振り回されたロマンスカーですが、果たした役割はやはり大きく、小田急の名車といえるでしょう。