前回の続きです。

 

5月25日、川湯温泉へ延長運転されたくしろ湿原ノロッコ82号は、無事終着駅に到着。

折返し、釧路湿原ノロッコ81号に乗車して釧路に戻ります。

 

 

 

川湯温泉の駅舎。

駅舎内には喫茶店『オーチャードグラス』が入居しています。もう25年近く前ですが、ここで食べたビーフシチューがとても美味しかった思い出があります。この日はノロッコ号の乗客で満席だったので入る事はできませんでしたが、是非とも再訪してそのシチューを味わいたいものです。

 

 

 

川湯温泉からの折返し列車(81号)は指定券を持っていないため、自由席利用です。

機関車次位の4号車自由席車は、レッドトレインこと51形客車の原形を色濃く残すオハ510-1。客室内も床は張り替えられているものの、ほぼオリジナルのままで、51形客車本来の雰囲気を味わえる貴重な車両となっています。機関車側の旧車掌室跡には電気暖房用の発電機が搭載されており、冬期にオホーツク流氷ノロッコ号で使用されていた時は暖房を使用するため発電エンジン音がしたのですが、夏期なので客車本来の走行音を楽しむ事ができます。

 

(車内は釧路到着後に撮影)

 

 

 

当初の計画ではこの81号の自由席車に摩周まで乗車、そこで交換となる網走行き普通4730Dで折返し、そのまま網走へ向かい接続する特急オホーツク4号で札幌に戻る予定でしたが、結局ノロッコ号で釧路に戻ってもう一晩泊まる事にしました。

 

発車までまだ1時間近く時間がありましたが、ドアは開いており既に乗り込んでいる乗客も少なくなかったので、私も車内に入り席を確保する事にしました。先程再会した旧友は81号の指定券を持っていましたが、私と同じボックス席で一緒に座る事に。

本当は帰りは往きと反対側(つまり湿原と逆、シラルトロ沼や塘路湖が見える側)に座ろうと思っていましたが、ソチラ側に空いたボックス席はなかったので結局同じ湿原側の席となりました。

(※帰りの列車の81号は旧友と『テツ談義』な会話を交わしていたので、あまり撮影をしていません。ご了承ください。湿原区間の風景は前篇の記事でご覧ください。)

 

 

15:00、川湯温泉駅を発車。

ホームでは地元の方々でのお見送りがありました。

 

 

 

早速車掌が車内改札に回ってきて、川湯温泉からの乗客に特別な乗車証明書が配られました。

図柄に入っている列車は旧型客車と貨車改造車で構成されていた初代ノロッコ号です。私はオホーツク流氷ノロッコ号として運行されていた時に乗った事があります。

 

 

この日は道内、特に内陸部では真夏並みの暑さに見舞われました。

釧路管内も例外ではなく、海沿いでは涼しくても内陸部では25℃を超えました。JNRマークの扇風機が大活躍です。

 

 

16:21、塘路駅到着。網走行き4732Dと交換するため20分停車します。

 

(構内踏切から撮影)

 

交換の4732Dはキハ54 517の単行。

 

 

延長運転と通常運転で配られる乗車証明書4種。左下が下り81号で配られた通常運転分の乗車証明書です。

撮影の際、上りと下りそれぞれの分の配置を間違えてしまいました…。

 

 

 

列車は湿原地帯を進みます。

(細岡→釧路湿原)

 

 

 

最後の停車駅・東釧路を出発し、夕陽を浴びながら釧路川を渡ります。

 

 

 

17:27、終着・釧路駅に到着。

 

 

 

 

釧路に戻ったら、ご当地グルメのスパカツを食べる予定だったので、ノロッコ号の撮影もそこそこに向かった先は駅から徒歩10分程度の繁華街にある『レストラン泉屋本店』。ノロッコ号で同行した旧友も一緒に行くという事で連れて行きました。ただ、その旧友は釧路駅18:52発の4736Dで地元に帰る予定だったので、混んでいたら間に合わない可能性もあります。

 

 

3連休や長期休暇の時期は食事時以外の時間でも順番待ちという大盛況な人気店なのですが、この日は普通の週末の18時前だったのでスムーズに入店できました。

 

コレが、泉屋が考案したとされる釧路のソウルフード・元祖スパカツ。(ピンボケしてしまいました…)

 

泉屋は現在2店舗あり、もう1店はお隣釧路町にあるイオン釧路SC(旧ポスフール)内に入っている泉屋イオン店(※釧路市内のイオンモール釧路昭和にかつて存在したイオン店とは異なります)なのですが、スパカツに関しては実はソチラのほうが美味しかったりして…。

イオン店はミートソースが本店のものよりさらに深く濃厚な味わいです(個人の感想です)。

 

 

泉屋はテイクアウトも可能で、私のもう一つ好きなメニューである『泉屋風』という塩味ベースのスパゲティを翌朝の朝食用として注文。

「本日中にお召し上がりください」という注意書きが添付されていますが、あくまでも自己責任という事で…(当記事の真似をして持ち帰り食品の賞味期限切れ以降に召し上がった上で体調を崩されても責任は負えません)

(※箸袋に記載されているビッグハウス店とイオン店(釧路昭和)は閉店済み)

 

 

食事が終わったのが18:20頃。旧友の乗る釧網線4736Dにも十分間に合います。という事は札幌行き最終の19:00発スーパーおおぞら12号にも十分間に合うのでして、私もそのまま札幌に戻っても良かったのかも。既に宿代は支払い済みなので泊まりますが。

 

 

 

その旧友と『世界三大夕日』を撮影しに幣舞橋に向かったのですが、スパカツを食べている間に夕陽は傾いてしまい、MOOをバックにしたアングルでしか撮る事ができませんでした。

 

本当は銅像をシルエットに夕陽を撮りたかったのですが。

撮影後、旧友と別れてホテルに戻りました。

 

 

 

翌5月26日。

札幌に帰るためホテルを後にし、無料送迎のタクシーで釧路駅に向かいました。

 

そういえば前日の時には気づかなかったのですが、釧路駅の正面付近にはこのような掲示物が掲げられており、初代ノロッコ号から現在までの軌跡が記されていました。

初代ノロッコ号の車両は元々函館地区で活躍していた『くるくる駒ヶ岳遊・遊トレイン』という列車で使われていたもので、客車のスハフ42は国鉄末期に東北から転入してきたという異色の経歴を持つ車両でした。

 

 

 

帰路は8:20発スーパーおおぞら4号で戻ります。

この日の道内は前日をさらに上回る暑さで、道東の内陸部、北見や帯広などでは予想最高気温が5月としては前代未聞の35℃を超える猛暑日になる事が見込まれていたため(かつて湧網線が通っていた佐呂間町では39.5℃まで上昇し、道内全体はおろか全国の5月の最高気温記録を更新)、レールが熱で膨張し継ぎ目部分が歪むのを懸念して石北線は上川~網走間を日中に走行する列車の運休が決まっていました。根室線系統はこの時点での運休はなかったのですが…。

 

 

4004Dスーパーおおぞら4号は所定より1両増結の7両編成。最後尾1号車側から撮影。

 

 

帰路は『えきねっとトクだ値40』利用につき、1号車指定席に乗車。

リクライニング論争が巻き起こる中、車両の最後部席の確保はより難しくなってきていますが、編成最後部の席に空席が出たため当初予約していた席から変更しました。実際、このスーパーおおぞら4号の車掌も「座席のリクライニングのご使用は、後のお席の方にご配慮をお願い致します」と車内放送で呼び掛けていました。

 

 

 

発車までまだまだ時間があったので、ホームで撮影していると5番線に『地球探索鉄道』ラッピング車キハ54 521による花咲線5624Dが到着。

 

4番線に停車中のキハ54 516の根室行き5627Dと並びます。

 

 

 

8:20、スーパーおおぞら4号は釧路駅を出発。

 

 

 

スーパーおおぞらでは車窓から馬主来沼湿原や太平洋の景色を見たいので、できるだけ『A席』で指定席を取ります。

(2枚とも古瀬~音別)

 

 

 

3月ダイヤ改正で廃止となった駅(現信号場)を通過します。いずれも駅舎・ホームはまだ残されていました。

旧・尺別駅

 

コチラは旧・直別駅。

比較的新しい駅舎なので、どこかに移築して活用できないものか?

 

 

 

交換列車であるスーパーおおぞら1号が途中、串内信号場で車両点検の関係で遅れた影響で、4号の帯広到着は数分遅れて10時過ぎとなったのですが、この時点で気温は35℃に達していたようで、レールの熱膨張による運休区間は根室線の新得~釧路も対象となり、私が乗っているスーパーおおぞら4号は何とか走ってくれたのですが、それ以降のスーパーおおぞら5~8号などの特急列車は全区間運休となってしまいました。加えて釧網線も全区間運休、花咲線は厚岸~根室が運休となり、道東エリアで動いているのは釧路~厚岸のみという状況。

釧網線が運休という事は、この日も川湯温泉へ延長運転する予定だったくしろ湿原ノロッコ81・82号も運休となってしまったワケでして、それを楽しみにしていた方も多かったと思われ、大変残念な事態となってしまいました。コンサートでは振替公演で救済策が取られたりしますが、イベント列車だとそれもありませんから…。この日に乗れなかった方々のためにも、いつか再び川湯温泉延長運転を実現して頂きたいものです。

今回の運休は、レールの温度上昇による継ぎ目部分の膨張や変形を懸念しての事だったのですが、北海道で使われているレールは極寒に耐えられる材質で構成されているため熱膨張しやすい特性を持っており、真夏の暑さではそのままにしておくと継ぎ目部分で歪みが生じて脱線の危険があるため、通常盛夏を前にした時期に継ぎ目部分を調整する作業が行われるそうです。ところが今回はまだ5月下旬という事でまだ作業が行われていなかったため運休せざるを得ない状況になってしまった、というワケです。JRの輸送シェアが減少の一途を辿っている中で今回の運休は痛いですが、安定輸送を実現するために今後の対策が望まれます。

 

 

 

途中遅れて運転していたスーパーおおぞら4号は、回復運転の甲斐あってほぼ定時に札幌駅に到着。

この後、学園都市線の普通721系uシートに乗って帰りました。