なぜ停めない?南茨木駅 | 京阪大津線の復興研究所

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大津線とは、京阪の京津線と石山坂本線の総称です。
この大津線の活性化策を考えることが当ブログの目的です。
そのために、京阪線や他社の例も積極的に取り上げます。

読み:みなみいばらき

所在:大阪府茨城市天王二丁目

開設:1970(昭和45)年3月8日

1日乗降人員:43,682人(2015年)

隣駅:茨木市(1.9km) ←→(2.0km)摂津市

 

南茨木は、阪急京都本線と大阪高速鉄道大阪モノレール線の接続駅です。まず阪急の駅が大阪万博の会場へのバス連絡駅として設置され、その20年後に大阪モノレールが開業しました。大阪モノレールの南茨木は2015年で1日あたり27,270人の乗降人員があります。

 

大阪モノレール線は大阪空港を起点に、千里中央や万博記念公園・南茨木を経て京阪本線との接続駅である門真市に至っており、万博記念公園で通称「彩都線」が分岐します。

 

大阪空港(伊丹空港)から京都方面へは、南茨木で大阪モノレールと阪急を乗り継ぐのが最短ルートであり、門真市から京都方面へも京阪と比べて遜色のない距離です。さらに、大阪モノレールにはJRとの接続駅がなく、将来的に設置される予定もありません。

 

このように、阪急にとって南茨木はライバル2社には真似のできない輸送領域を確保できる駅であり、今後のさらなる飛躍が期待されます。阪急は大部分の区間がJRと並行しているため、例えば新幹線からの乗継輸送はあまり望めません。それを補うためにも、大阪空港から南茨木経由で京都方面への観光客を取り込む意義は大きいものがあります。

 

加えて、大阪モノレールの万博記念公園のエキスポランド跡地に複合施設の「エキスポシティ」が開業したため、土休日を中心に新たな需要が生まれています。また、立命館大学の大阪いばらきキャンパスが南茨木から徒歩10分程度の位置に開設されたので、平日はこちらの通学需要も期待できます。

 

しかし、南茨木に停車する阪急の優等列車は快速と準急だけです。主に夕ラッシュ時に20分毎に運転される快速は、梅田―河原町の全区間を後続列車に抜かれずに走破しますが、終日設定されている準急は高槻市―河原町間の各駅に停まるため、京都方面への直結機能は持っていません。

 

大阪モノレールから京都方面への乗継需要に応えるには、準急では力不足なのは明らかであり、停めるなら特急を南茨木に停めなければ意味がありません。ただし、特急停車駅を増やすと今以上に混雑が集中してしまうので、代わりに隣駅の茨木市は通過させるべきです。

 

平成25年度版『都市交通年報』に掲載されている2011(平成23)年11月8日火曜日の交通量調査によれば、茨木市の1日あたり乗降人員は64,707人であり、南茨木の40,121人に大差をつけています。ただ、南茨木は京都方面への利用客が21,272人と過半数を占めており、茨木市の19,660人を上回っています。既存の需要から考えても、京都方面へ直結する特急を南茨木に停めることは理にかなっています。

 

以前の記事で、京都本線特急を淡路通過、準急を上新庄通過として急行に再度改称する案を示しました。これに加えて、特急は南茨木停車・茨木市通過、急行はその逆とすれば、茨木市から梅田方面への利便性は維持できます。

 

また、将来的には多客時に急行を高槻市から嵐山または河原町まで延長運転して長岡天神と桂に停車させ、両駅を通過する列車を特急の代わりに設定し、これを新たな快速特急とすべきでしょう。

 

話は変わりますが、阪急は宝塚本線の曽根から分岐して大阪空港に至る全長約3kmの地下新線を建設する構想を発表しました(朝日新聞2017年9月1日号)。曽根は、宝塚本線と大阪モノレールの接続駅である蛍池から3駅梅田寄りにある高架駅です。記事ではここから北西に向かって一直線に新線を設ける計画が示されており、少なくとも数百億円の建設費がかかる見込みとのことです。

 

しかし、曽根から大阪空港に直結する道路などは存在しません。地下鉄道は用地買収費がかからない道路の下に設けるのが基本ですが、それでもなお1kmあたり百億円程度の建設費を要します。地権が及ばない深さ40m以上の「大深度地下」に建設すれば民家の下を貫くことも可能ですが、高架駅である曽根と接続させることは極めて困難です。建設を強行すれば、その費用は数百億円どころでは済まないと考えられます。

 

阪急はこの他にも、「なにわ筋連絡線」「新大阪連絡線」や、神戸市営地下鉄との相互直通計画などを表明していますが、これらを同時並行で進めるのはどう考えても不可能です。本来、こんな大風呂敷を広げるような社風ではなかったはずなのですが、何が阪急をここまで駆り立てているのでしょうか。

 

表明された計画のうち、最優先課題なのは神戸市営地下鉄との相互直通であり、大阪空港乗り入れなどは検討するにも値しないはずです。それよりも、既存の大阪モノレールを活用し、南茨木での連絡強化を図るべきでしょう。

 

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