きっぷ片手に旅をする

公共交通利用が中心の旅行記がメイン。月3回程度のペースで定期更新中。

「尾瀬夜行2355」と「尾瀬号」でゆく春の尾瀬沼

 2019年も5月31日(金)から「尾瀬夜行2355」の運転が始まりました。東武線浅草~野岩線会津高原尾瀬口間を夜行で運転される臨時列車で,「尾瀬夜行+東武特急往復」などのパターンで東武トップツアーズでセット販売されています。列車の性質としては団体臨時列車のような運行形態になっています。JR でも夜行列車の運転が減らされている中で,めずらしい私鉄の夜行列車です。

tobutoptours.jp

 最近マイブームで登山をちょくちょくしており,どこか景色のきれいなところに行きたいなと思っていたところ,尾瀬夜行の運転を思い出して尾瀬ゆきを決定しました。

 尾瀬エリアへの入り口には群馬側の「大清水」「鳩待峠」と福島側の「沼山峠」などがありますが,尾瀬夜行に乗車すると一般的には福島側の「沼山峠」からアプローチすることになります。東京から(への)アクセスでは群馬側のほうが近いので,往路で尾瀬夜行を使って「沼山峠」 IN ,復路は「大清水」OUT で高速バス「尾瀬号」で帰京する行程を作成。これで東武トップツアーズに申し込みました。往路「尾瀬夜行」復路「尾瀬号」のコースが用意されており,料金はすべて込みで10,000円でした。

尾瀬夜行2355 浅草→会津高原尾瀬口

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 5月31日の夜,23時半ごろ浅草駅へ。乗車票が東武トップツアーズ発行のもののため有人改札で入鋏してもらうと,「列車が遅れているため発車が遅れる見込みです」と告げられました。よく見ると東武伊勢崎線が線路内立ち入りで運転見合わせ。北春日部から回送されてくる車両が不通区間の手前で停車してしまい,浅草駅まで来れなくなっていました。

 尾瀬夜行の発車時間の23時55分になっても復旧せず,運転再開となったのは日付が変わった頃。そこから車両が浅草駅までやってくるまでさらに時間がかかり,浅草駅に来たのは0時40分頃でした。

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尾瀬夜行2355 新型特急車両リバティで運転

 やっとこさやってきた「尾瀬夜行2355」は新型特急車両「リバティ」3両編成。昨年から尾瀬夜行はそれまでの350系に代わってリバティになっています。

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方向幕は「臨時」

 350系を使っていた頃と違って通常の東武特急とあまり見た目はあまり変わりません。方向幕が「臨時」になっている程度でしょうか。

 乗り心地はリクライニングしなかった350系からは良くなり,リクライニング有り&コンセント・公衆無線 LAN 設備でモバイル環境良好。とはいえイマドキの夜行高速バスでは当たり前な設備で,昼行特急では普通の深さまでのリクライニングしかしないので,夜行で移動するぶんにはかなり厳しさも感じます*1

 浅草を65分遅れて1時00分に発車した尾瀬夜行は猛スピードで走行。もともとスジが寝ているダイヤなので,回復運転で遅れを取り戻していきます。終点の会津高原尾瀬口には定刻通り到着とのこと。つまり貴重な睡眠時間が単純に1時間減らされたということに・・・。

 春日部を52分遅れて1時35分頃に出発して減灯*2後なんとか就寝。しかし3時40分頃,車掌のアナウンスで起床。2時間しか寝れていません。すでに会津高原尾瀬口に到着しており,バスが来るから下車せよとのことでした。

会津バス 会津高原尾瀬口駅→沼山峠

 完全な睡眠不足状態で下車すると気温10℃程度でかなり寒い。しかもバスはまだ来ていません。ただでさえ寝れていないのだからバスが来てから叩き起こしてほしいものです。外で20分ほど待ってようやくバスが到着。

 ここから沼山峠まで,尾瀬夜行専用の貸切バスにて南会津町檜枝岐村の山間部をひたすら2時間走るのでここでも貴重な睡眠タイムとなるのですが,寒さで目が醒めてしまった私は早い朝食をとりながら1時間ほど車窓を眺めていて,バスで寝れたのは1時間ほどでした。

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福島の尾瀬の玄関口「沼山峠」に到着

 6時30分,沼山峠に到着。結局トータル3時間しか眠れませんでした*3。金曜の夜は会社を早く出て,尾瀬夜行の時間まで自宅で仮眠するべきだっただろうか。睡眠不足でダウナーな状態のまま,沼山峠休憩所で2回めの朝食をとって,尾瀬沼に向けて出発です。

徒歩 沼山峠→尾瀬沼→大清水

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登山道には雪がかなり残る

 東京では汗ばむ暑さになってきていますが,尾瀬では春になったばかり。登山道には残雪がかなりあり,滑ったり踏み抜いたりしないよう慎重に進みます。沼山峠からはゆるいコースなので,息が上がることもなくハイライトである大江湿原,そして尾瀬沼へ。

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大江湿原

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尾瀬沼と燧ヶ岳

 尾瀬を象徴する二本の木道と湿原。美しい沼と火山の景観。冷たく澄んだ空気を吸い,たくさんの野鳥の鳴き声を聴きながらのトレッキング。コンクリートに囲まれた都市で勤労する毎日では味わえない絶景です。相変わらず睡眠不足ですが,ここまで来て本当に良かった。

 三平下の尾瀬沼のほとりにある尾瀬沼休憩所で昼食をいただき,大清水へ。こちらの道も残雪だらけで,勾配もきつめ。三平峠を越えると4km以上にわたってひたすら下り坂。標高が下るにつれていつしか残雪もなくなり,美しい新緑を眺めながら大清水へ。

 沼山峠から尾瀬沼探勝を経て大清水まで,徒歩15kmほどを7時間ほど。駆け出しの初心者には良いコースでした。

関越交通バス 鎌田線 大清水→鳩待峠行バス連絡所

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大清水で待機中の上毛高原駅ゆき関越交通バス

 大清水からは新宿ゆきの関越交通バス「尾瀬号」が出発しています。しかしここからは乗らず,あえて上毛高原駅ゆきの路線バスで次の「鳩待峠行バス連絡所」まで乗車し,戸倉へ。尾瀬の群馬側の拠点となる戸倉には温泉があり,ここで汗を流してから帰ろうという作戦です。

oze-katashina.info

 バス停のすぐ近くにある「戸倉の湯」はかけ流しのアルカリ性単純硫黄泉。硫黄の香りのただようお湯は癒やし効果満点。疲れもありついつい長湯してしまいました。

関越交通バス 尾瀬尾瀬戸倉→練馬駅

 鳩待峠行バス連絡所と同一位置にある尾瀬戸倉バス停から「尾瀬号」に乗車して帰京します。「尾瀬号」は沼田インターまで 40km ほど一般道を走り,沼田 IC から関越道を大泉まで。大泉から目白通りを通ってバスタ新宿駅まで向かう路線。途中の「赤城高原 SA」と「高坂 SA」で休憩もあります。

 しかし折からの睡眠不足で疲労でバスに乗ってすぐ寝落ちして川越のあたりまで熟睡。乗りバスを楽しむ以上に疲労が勝ちました…。

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 地下鉄に乗り継ぐ関係で練馬駅で下車。登山口や温泉から都心まで乗換なしで(寝るだけなので)かなりラクなバスでした。

旅行後記

 尾瀬には今回初めて行きましたが,非常に刺激的な絶景で睡眠不足の体に鞭打って登山した甲斐がありました。しかし往路の尾瀬夜行では定刻通り運行しても3時間しか寝れないので,この列車に乗って(健康的に)登山するにはちょっと一工夫必要そうです。

 尾瀬はアクセスルートも尾瀬エリア内の登山道も豊富なので,夏あたりにでもまた行ってみたいと思います。電力会社の活動で有名な尾瀬ヶ原も行けていませんし。

*1:アイマスクや携帯枕,ブランケットなどは必須

*2:明るさが半分程度になる程度でさほど暗くはない

*3:ふだんは7時間以上寝ているので,完全に睡眠不足状態。