【JR東】NRE車内販売サービス分社?窮地の車内販売を救う?

スポンサーリンク

JR東日本グループで、駅構内を中心とした飲食事業のほか、車内販売や車内サービス業務を請け負う子会社、NRE(日本レストランエンタプライズ)が車内サービス事業について、新会社=JR東日本サービスクリエーションへの分社化をす方向で調整を進めていることがプレスリリースにより明らかになっています。

車内販売の最大手の変化・狙いを探り、車内サービスの今後を推測していきます。

なお、今年に入り路線削減・商品の大幅な改廃がありましたので、そちらの記事を先にお読みいただけるとスムーズにお読みいただけます。

東日本以外では衰退しきった車内販売

2019年(平成31年)春には九州新幹線やJR北海道で車内販売廃止が決定して話題となっています。

これにより、JR九州とJR西日本では観光列車のみ(在来線特急はすでに廃止済)、JR四国は申し訳程度の営業、JR東海は新幹線のみとなっています。

同社では新幹線はもちろん、在来線特急あずさ・かいじ・ひたちなどについても車内販売を継続しており、これはJRグループ会社では特異です。

むしろ、北陸新幹線金沢駅までの運行開始にあわせて、JR西日本管内である金沢駅に拠点を新設、越境乗務を開始して話題となりました。

スーパービュー踊り子号運行開始とともに伊豆急行線へ、東武線直通特急運行開始とともに東武日光線・鬼怒川線(2019年3月撤退)など私鉄区間も営業エリアに加えています。

なにかと挑戦的な営業をしていて車内販売の最後の砦でした。

課題は膨大にかかっていた費用

車内販売といえば高いイメージがつきものですが、各地で廃止となった引き金ともなっているのが高コスト体質にあります。

乗務員人件費が大きいものの、そのほかについても課題が多くありました。

車内販売でかかる経費(筆者調べ)

・乗務員人件費=東京での求人は時給1,200円前後

・倉庫・配送人件費=東京での求人は時給1,000円前後

・事務所・内勤人件費=乗務員・倉庫経験者中途採用または新卒採用

・商品仕入コスト=原価率50%前後・駅弁70%前後・コーヒー10%程度(調製人件費除く)

・Suica・クレジット決済手数料=売上の1%程度

・テナント料=売上の1%程度

・商品廃棄=弁当などに集中するも、ワゴンへの積み下ろしによる商品破損も

上記のようなさまざまなコストがかかるため、各列車では1時間に4000円程度の売り上げが赤黒トントンのラインでしょう。

両数が少ない閑散路線や、利用が少ない時間帯でこのラインの売り上げを出すことはなかなか難しく、それにより営業路線・列車の削減をしていった結果、駅ナカの利便性向上もあって利用者離れという悪循環に陥っていきました。

今回の新会社では、車掌業務委託を中心にシフトすることとなり、関係者によると、車内販売売り上げでの収入は3割程度まで比率が下がりそうです。

車掌委託業務による採算の確保

車掌委託業務を受託することの大きなメリットとしては、車内販売の大きなネックとなっている人件費の問題が解消されることにあります。

これを、従来の車内販売会社がテナント料を払う形でJR本体に売り上げの一部を払っていたのとは対照に、車内サービスや車掌業務を代わる対価としてJR本体から委託業務料として人件費相当分をもらう格好で解消します。

これにより、車内販売の売り上げはそのまま自社の収益向上に専念できるため、人件費やテナント料といった大きな出費を心配することなく営業が行えます。

一方で、車掌業務受託に伴い、販売以外に必要な時間の増加から手間のかかる商品や、販売期限が短い弁当類などの販売は削ることとなり、これは配送人員の削減といった副次的なメリットもあります。

今後の車内サービスの在り方とは

全席指定席化・車掌人数削減など徹底したコスト削減が続くJR東日本。

外国人観光客の対応や既存の車掌巡回の代替としてサービス要員を置くという考えは、ただのサービス削減とは反対で評価できるポイントと言えるでしょう。

まだまだ手探りなようですが、今後の業務形態の変化に注目です。

しかしながら、サービス要員として配置するなら乗務範囲は特急全列車である必要があるとは思いますので、乗務範囲削減は大きな疑問点といえるでしょう。

飛行機のフルサービスキャリアとLCCのように、フラッグシップのフルサービス列車(グランクラスやサフィール踊り子・近鉄特急しまかぜなど)と、費用は安い代わりに移動手段としての鉄道に特化するという方向は、ニーズにあわせて今後の他社への発展もありそうな動きです。

手段としての鉄道に特化するという方向は、ニーズにあわせて今後の他社への発展もありそうな動きです。

サービスレベルの高い列車が生まれるのに期待しつつ、今後のJR東日本サービスクリエーションの展開に期待が集まります。

関連記事はこちら

コメント