JR神戸線の混雑状況(塚本→大阪、平日朝ラッシュ時、現場調査)

記事上部注釈
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JRの大阪地区でも有数の路線であるJR神戸線。この路線は朝ラッシュ時に新快速と快速が神戸→大阪で先着したり、快速以上が12両編成で運転するなど、混雑することうかがえます。実際の状況はどうでしょうか?4月の平日に確認しました。

大阪に到着する223系新快速

写真1. 大阪に到着する223系新快速

JR神戸線(塚本→大阪)の平日朝ラッシュ時の混雑状況

以下、長い文章を読みたくない人のために、簡単に結論をまとめます。

・混雑率は130%程度で座席前の吊革が埋まり、ドア部分が少し密度が高い
・尼崎始発の普通電車は比較的空いている
・宝塚線も一部空いている
・そのほかは混雑率140%程度である

混雑調査の概要

簡単に調査方法を紹介しましょう。一部の個人サイトでは混雑状況を書いているところもありますが、調査方法や混雑指標の言及がないのでう~んと考えてしまうところがあります。そのようなことを踏まえて、弊サイトではきちんと方法を示します(さすがー)。

調査区間の選定

JR神戸線で一番流動の多い区間は、大阪-塚本です。この区間では宝塚線の乗客も含まれる(大阪-宝塚の乗客もこの区間を利用)ためです。そのため、一番混雑する区間である、塚本→大阪の混雑を取り上げます。

調査方法と調査結果

弊サイトでは混雑ポイントという概念を導入しております。その概要を示します(表1)。

表1. 混雑ポイントの概要

乗車ポイントの概要

せっかくなので、120ポイント~160ポイントの様子をご覧いただきましょう(写真2-4)。いずれも個人情報を守ることを目的に、画質を落としています。

混雑ポイント120ポイント相当

写真2. 混雑ポイント120ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント140ポイント相当

写真3. 混雑ポイント140ポイントの様子(右上に私の指が写っていますね…)

混雑ポイント160ポイント相当

写真4. 混雑ポイント160ポイントの様子(写真3と異なり、ドア部分が圧迫されていることがわかります)

もともと混雑ポイントという指標はロングシート車向けのものですが、便宜的にクロスシート車にも適用しました。

JR神戸線の混雑調査結果とその分析

生データを示してから、その分析を行います。

混雑の生データ

生データを示します(表2)。この日は京都線内での橋桁への自動車衝突の影響もあり、ダイヤが乱れていました。その影響なのか、遅れが発生しており、この後は運転見合わせとなりました。快速が1本運休ということもあり、通常よりもやや混んでいる日だったかもしれません。よりによって、私が調査する日にぶつかりやがって!(世間ではこのような考えを自己中心的というのでしょう)

表2. JR神戸線朝ラッシュ時の混雑状況

JR神戸線混雑状況(平日朝ラッシュ時、塚本→大阪)

一部の普通電車が空いていることに気づきます。これはみんな尼崎始発です。JR神戸線からJR東西線に直通する電車に接続する形で設定されているものです。日中時間帯はこれに接続する形で宝塚線から大阪方面に向かう電車が設定されていますが、朝ラッシュ時はJR宝塚線始発ではなく、需給関係やダイヤ上の都合から、新三田始発でなく尼崎始発になっていると理解しましょう。

細かな違いを無視しますと、混雑率は130%程度であり、混んでいる電車でも140%です。わかりやすく言いかえると、座席前の吊革がうまり、ドア部分はやや密度が高い(とはいっても圧迫するほどではない)というものです。

混雑状況の解析

次に、混雑状況を解析しましょう。路線や種別ごとに混雑状況を分類してみましょう(表3)。

表3. 路線や種別ごとの混雑状況

JR神戸線混雑状況(平日朝ラッシュ時、塚本→大阪、種別ごとの層別)

JR神戸線とJR宝塚線で分類し、さらにそれを種別ごとに分けてみました。いずれもそこまで混雑に差がないことがわかります。よく、神戸線では新快速が混雑、他がガラガラというように言われますが、そこまでの違いはありません。ただし、宝塚線の混雑はややゆるいことがわかります。本数も控えめで8両編成(神戸線は12両編成)で同等以下の混雑ということは、宝塚線は神戸線よりも乗客が少ないことがよくわかります。

車両ごとの混雑の差は少ないです。何となく先頭側の混雑が激しいようにも思えますが、有意差はないでしょう。

普通電車は混んでいるものと、空いているものがあります。これは、尼崎始発が空いていることと後半にいくにつれて混んでいることを指摘できます。

尼崎始発が空いていることは容易に説明できます。尼崎始発は東西線直通の神戸線普通電車を受けて発車しますが、それでも乗りかえありだと避けられるでしょう。そのため、神戸線の立花(尼崎の1つ神戸よりの駅)以遠の乗客が乗らないために空いているのです。後半の普通電車が混んでいるのは、快速や新快速が遅れているために、こちらに乗客が流れたためです。

ダイヤの検証

この時間帯のダイヤを確認しましょう。7:40~8:40の1時間で考えます。新快速は7:44、7:52、8:01、8:10、8:18、8:27、8:37に到着します。神戸線の快速は7:47、7:59、8:08、8:15、8:25、8:34に到着します(前後に7:39と8:41もあり)。宝塚線の快速は7:41、7:50、7:57、8:06、8:12、8:22、8:29に到着します。ここで間隔が開いている箇所は、宝塚線から東西線に入る快速が挿入されています。新快速、神戸線快速はだいたい9分間隔、宝塚線快速も同等の運転間隔です。現在の混雑率は130%程度とそこまで悪くはありません。また、快速と新快速が線路を共用している以上、運転間隔を詰めると所要時間が増してしまいます。そのため、現在の9分間隔を8分間隔にすることは得策ではありません。やるとしたら、10両編成の快速を12両編成にして平均的な混雑を緩和する程度でしょう。

普通電車はいつもより混んでいると想定できるといっても、(その混んでいる電車単体をピックアップしても)140%程度なので、そこまでの混雑とはいえません。とはいっても、単体でみるとそれなりに混んでいるので、何かしらの施策が必要です。1つの方策が8両編成化です。現在の普通電車は7両編成ですが、京都線や神戸線の多くの駅は12両対応です。また、東西線開業前は8両編成もありました。現在、7両編成なのは、片町線(学研都市線)の施設上の制約があるためです。それであれば、朝の大阪駅を通る一部の普通に使う編成だけ8両編成として、ピンポイントで充当し、混雑を緩和するのも手です。

また、一部の宝塚線快速が比較的空いていることも確認できました。空いている宝塚線快速(具体的には大阪着7:50や7:57)を対象に新大阪まで延長運転するのも手です。そうすれば、尼崎から新大阪に向かう人が混雑している神戸線快速や新快速を避けることが期待できます。

まとめにかえて

細かな改善点はありますが、高速運転で混雑率が130%程度と、首都圏からみたらうらやましい状況でした。尼崎から大阪という乗客が多い区間を東西線という別線を建設してそちらに客を流した効果もあることでしょう。20年前に新線を開業させた英断を評価したいです。

今後は首都圏より混雑がゆるいから良いやという認識にはせずに、ラッシュ時間帯の10両編成の快速の12両編成化など、できる工夫をして少しでも快適な通勤を目指してもらいたいものです。

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