なぜ停める?青物横丁駅 | 京阪大津線の復興研究所

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大津線とは、京阪の京津線と石山坂本線の総称です。
この大津線の活性化策を考えることが当ブログの目的です。
そのために、京阪線や他社の例も積極的に取り上げます。

読み:あおものよこちょう

所在:東京都品川区南品川三丁目

開設:1904(明治37)年5月8日

1日乗降人員:41,167人(2016年)

隣駅:新馬場 (0.8km) ←→(0.5km)鮫洲

 

青物横丁は、京浜急行電鉄(京急)本線の駅です。1968(昭和43)年6月21日、都営地下鉄1号線(浅草線)との相互直通開始と同時に、特急停車駅に昇格しました。鉄道アナリストの川島令三氏は、昇格の背後に都会議員の圧力が働いていたと指摘しています。

 

その真偽はともかく、青物横丁は実質的なターミナルである品川からわずか2.2km、3駅しか離れておらず、客観的に見て特急を停める必要があるとは言えない駅です。

 

また、隣駅の鮫洲は優等列車の通過追い越しが可能な構造ですが、青物横丁に特急を停めれば、通常なら1分で済む普通列車との運転間隔が2分に延び、待避時間に無駄が生じてしまいます。

 

京急も青物横丁停車に乗り気ではなかったらしく、地下鉄直通運転開始の6日前に、青物横丁のほか7つの特急停車駅を通過する「快速特急」を新たに設定し、昼間時の特急の半数を置き換えました。このように、さらなる上位の種別を設定して実質的に停車駅を整理する手法は、その後他社が広く追随して採用することになります。

 

京急は特急の停車駅増を逆手にとって、スピードアップを図ることに成功しました。一方で、それまで特急が10分毎に運転されていた昼間時のダイヤが、快速特急・特急の各々20分毎に改められたことで、運転間隔が不均等になり複雑になってしまいました。

 

これが解消されたのは、ラッシュ時の一部と昼間時の全ての特急を「快特」(このときに正式名称を快速特急から変更)に格上げした1999(平成11)年7月31日のダイヤ改正です。特急の青物横丁停車から実に31年後のことであり、停車駅は増やすより減らすほうが難しいと痛感せずにはいられません。

 

この改正に先立つ1998(平成10)年11月18日に、京急は長年の悲願だった羽田空港新ターミナルへの乗り入れを開始しました。ただし、品川方面からのアクセスは、京急蒲田のみに停車する「エアポート快特」と、青物横丁・立会川・平和島・京急蒲田と空港線内の各駅に停車する「エアポート急行」を各々20分毎に運転するのが基本とされました。

 

そのため、かつての快速特急・特急の並立時代と同じく、運転間隔が不均等になる問題を抱えることになりました。「青物横丁の呪縛」は、まだ解けてはいなかったのです。

 

空港アクセスをイメージした京急ブルースカイトレイン(2013年撮影)

 

事態が動いたのは、「京急蒲田駅付近連続立体交差事業」の完成を受けて2012(平成24)年10月21日に実施されたダイヤ改正です。

 

これに伴い、昼間時の品川方面の「エアポート急行」が快特に格上げされ、ほぼ10分毎の運転が実現しました。「エアポート急行」は10分毎で新逗子発着に変更され、横浜方面からの空港アクセスと空港線内の各停輸送を担うこととなりました。

 

これによって、昼間時に青物横丁・立会川・平和島に停車する優等列車がついに完全消滅したわけですが、その代わりに品川―京急川崎間の普通列車が毎時6本から9本に増発されました。

 

このため、品川―京急蒲田間は昼間時でも片道21本の高密度運転になっており、車両の加速性能が高い京急といえども余裕が乏しい状態です。増発分の普通列車はあくまでも「見返り」であって実質的な存在意義が小さいため、ほとぼりが冷めれば廃止される公算が大です。

 

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