いよいよ定期運用終了【E257系0番台】18年の軌跡を振り返る

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183,9系を置き換えるために中央東線向けに多数製造され、あずさ・かいじ号として中央線で活躍していたE257系0番台が、2019年(平成31年)3月15日、ついに定期運用から撤退します。

中央線特急の顔であったE257系。これまでの18年間の歴史を振り返ります。

登場は2001年

あずさ号などで多く活躍していた183系,189系置き換えのため、そして玉突きで165系波動用車の置き換えを目的として2001年に運行を開始しています。

0番台では『シンプルさの中のくつろぎ』をテーマに、先に投入されていたE351系とは異なり、標準的な特急車として開発されている点が大きな特徴です。

E653系・E751系をベースに開発され、JR東日本に投入されている各特急形式の基本となった構造を多数有しています。

2001年(平成13年)12月1日のダイヤ改正から順次置き換えが始まり、2002年(平成14年)同日に完全に置き換えというスピードは、のちに自身が経験していることは少し皮肉です。

183系列時代は9両編成・11両編成としていたものを、2+9両編成と組み替えやすくしているほか、付属編成は松本駅構内の都合で1,2号車(新宿寄り)となり、この構成はE353系にも引き継がれることとなります。

外観は白塗装の上に武田菱をモチーフとして四季の彩を表したカラフルなもので、号車により配色が異なっています。

また、ドア横の号車番号表示にも沿線の特産物・名所などをモチーフにしたイラストが添えられており、これはE257系0番台ならではの特徴と言えるでしょう。

特異な編成もちらほら

製造当初の大きな違いとしては、M-114編成だけが3号車の貫通扉が白色に塗装されていたことが有名でした。

おそらく製造メーカーのミスと思われますが、案外気に入っていたのか、全般検査までそのままの外観で一部のファンに人気の編成でした。

このほか、M-101編成とM-201編成にはローレル賞マークが車内にあるほか、M-116編成は2007年(平成19年)に大河ドラマにあわせて運行された特急風林火山号にほぼ専属で使用された経歴から、未だに専用の行先表示ROMを装備しています。

内装については製造時期が短いためにほとんど差異がありませんが、M101-103編成では床材の貼り方などに若干の違いがあります。

運用期間中の外観上の変化としては、他形式のスカート強化にあわせてE257系についてもスカートが強化型になっています。

転用先の東海道線でも定期運用経験!?

中央線特急一筋・所属も松本車両センターのE257系0番台ですが、なんと東海道線小田原駅まで定期運用を持っていた実績があります。

当時のライナー列車の運用方として、座席転換が省略できるというメリットを鑑みて、中央線特急で使用した車両をそのまま東海道線のライナーに充てるというものがありました。

同様の例だと、同一線区ながら、深夜に上野を出る急行能登号の編成を準備が整った状態でホームライナー古河・鴻巣号に充てたり、関西方面でははまかぜ6号がそのままびわこEXPRESSとして全線電化区間を走って草津駅まで行ったりと例は少なくありません。

E351系とともに小田原発着の運用が組まれたほか、E257系については夜に小田原駅到着後、更に東京発の列車に充てられていました

スーパービュー踊り子号で使用されている251系が9,10号車のコンパートメント区画(グループユニット)を普通席化したことでライナー列車に使用できるようになるなどの変化を受けてこの「出稼ぎ」運用は消滅、それ以降は189系幕張車の中央ライナーを代わりに担当しています。

早すぎる置き換えとなった理由は?

これには諸説ある……というよりは様々なメリットがあったためという色合いが強いですので、一つずつ考えていきます。

車両統一による効率化

JR東日本の大方針として、特急系統の車両統一を進めていくことになったことが挙げられます。

中央線特急では、先述のように製造費用のバランスも考えて、振り子式のE351系がフラッグシップの列車に、それ以外の列車は低重心化のみで傾斜装置を持たないE257系と区別されていました。

常磐線系統でも651系・E653系をE657系に統一、更に4両,7両とまちまちだった組成も10両編成のみとしています。

新幹線についても置き換え計画通りには進んでいないものの、東北新幹線はE5系に、上越・北陸新幹線はE7系に揃えています。

この一連の流れには運用の効率化・予備車削減・異常時対応強化とメリットが多くあり、東海道新幹線系統で座席数・ドアの位置を揃えていることが有名です。

置き換え車となるE353系についても、基本編成20編成、付属編成9編成とE351系・E257系時代に比べて各1編成の予備が削られたものの、新特急・富士回遊号2往復の運転開始にあわせて付属編成は合計11編成となりました。

全席指定席・新料金体系による経費削減

スワローあかぎ号に始まる全席指定席化による新料金体系への移行も大きなターニングポイントとなっているでしょう。

JR東日本の大方針であり、正式発表がなかった東海道線系統・房総方面についても組合発表により今後の実施検討が確認されています。

優等列車の車掌削減という大きな経費削減になることから、無人化・ワンマン化などをテクノロジーで解決することを得意とするJR東日本の標準体系となることでしょう。

これらの改造には時間を要し、常磐線系統では2年間、651系による特急運用が復活していました。

また、E257系の転用についても床下機器更新時期ということもあって60日の工期を要しており、これが老朽化していたE351系だけではなくE257系もまとめて置き換えることになった要因と言えそうです。

中央線特急の速達化

結果としては上記が主目的と言えそうですが、背景としては2027年のリニア中央新幹線建設もあることでしょう。

並行在来線という定義にはならないものの、途中駅も少ないながら建設されることとなっており、従来の高速バスに加えてJR東海という新たなライバルが生まれます。

快適性・速達性に先行投資をしておくことで、今のうちにしっかりと利用者の心を掴めることも大きなメリットと言えそうです。

E257系の使いやすさ

これも副次的なメリットではあるものの、E257系が汎用特急車として作られたゆえに、他線区転用が容易ということも挙げられます。

E351系のように振り子式などの車体傾斜機構があったら整備コストが異なっていましたので、また違った転用になっていたことでしょう。

更に、増解結可能な編成構成、方向転換すれば既存の東海道線の編成構成に近いことなども転用を後押ししたはずです。

JR西日本の683系が一部289系となった今、単独形式で最多両数である246両(500番台を含む)という大所帯。

大転属劇がいよいよ始まります。

新天地で活躍するE257系

一部編成が離脱した2018年(平成30年)7月からは、修学旅行などの団体列車・波動輸送にて積極的に活躍しており、日光や東海道などで自慢の武田菱を掲げて走行しています。

また、現在、長野と秋田を中心に転用改造が進行しており、第一編成としてM-112編成がNA-09編成として、秋田ではM-103編成がNA-03編成として改造されていることが既に判明しています。

今後も順次改造がされていき、来春には定期運用開始が見られそうです。

海なし県で育って18年……素敵なポスターも甲府駅構内に掲げられていますので、最後の雄姿の記録とともに、E257系の半生に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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動画資料集

YouTubeチャンネル【鉄道ファンの待合室資料館】にてこの車両についての動画を公開しています。チャンネル登録・コメント・評価もお願いします。

コメント

  1. 熱海市民 より:

    転用先の東海道線でも定期運用経験!について補足があります。
    E257系松本車があずさ運用の後に、東海道線のホームライナーに運用された時代ですが
    小田原に到着したE257系はそのまま、静岡県の熱海まで回送されて
    折り返し湯河原まで行き、湯河原で滞泊して翌日の小田原発のホームライナーに
    運用されました。
    私が一時、熱海~静岡間を通勤した時期に今はなき373系の東京行き上り普通列車が
    熱海到着時に隣の番線に武田菱デザインのE257系がいたため、驚いたことがあります。
    時刻は20:50から21:10くらいだと思われます。
    E257系が東海道線のホームライナー撤退まで熱海回送は続いたと思われます。