【中板橋脱線事故】東武東上線11003F復帰へ!時間が掛かった理由は?

スポンサーリンク
画像:緑の御旗さま(@MyDear_TRAIN)

2016年5月、東武東上線・中板橋駅~大山駅間にて東武東上線の10000系が脱線する事故があり、長らく運用を離脱していた当該編成である11003号編成が久々に本線上に戻ってきました。

事故の経緯を振り返るとともに、復活まで時間を要した要因を考察します。

東武東上線中板橋駅脱線事故の概要

事故は2016年(平成28年)5月28日、東武東上線の中板橋~大山駅間を走行する普通列車池袋行き レにて発生しました。

中板橋駅4番線ホームから出発後、急なポイントを渡っている付近で車内非常通報ボタンが扱われていることを認め、急停車して事故が発覚しています。

中間の6号車(進行方向である池袋側から5両目)であるモハ15003号の小川町駅側の台車が進行方向右側に脱線していることが分かり、すぐに運転見合わせとなりました。

東上線の都内区間でのトラブルとなり、はじめは大規模な運転見合わせとなりました。

その後も復旧の目途が立たず、上板橋駅3番線~引き上げ線~1番線という経路を使用して上板橋以西での運転を再開しています。

部分的な運転再開には、同業他社に比べて消極的な東武鉄道ですので、こういった区間での折り返し運転をすることは比較的珍しく、事故対応の長時間化を物語っています。

最終的には当日中の運転再開を諦めて終電の時刻を迎えることとなり、沿線では終日大混乱となってしまいました。

特に事故が発生した池袋~上板橋駅間については代替交通機関がバス頼みとなるため、主な迂回系統となる国道17号線や川越街道を走行するバス路線、代替手段となりえる東京メトロ有楽町線・副都心線・埼京線などの鉄道路線と周囲に大きな影響を与えることとなりました。

当該編成である11003号編成については、ひとまず終電後の時間帯に下板橋駅~大山駅間にある下板橋電留線に収容。

その翌日、終電を待って森林公園検修区に自力走行にて回送されました。

なお、事故現場からの移動の際には当該台車部分を保護して回送されています。

事故原因と森林公園検修区での動き

収容後、脱線をした号車についてはユニットをばらされて建物内に移動しました。

これは事故原因の詳細な究明などを行ったためかと思われます。

この状態がしばらく続き、9両編成という不思議な状態にて電留線にて長期間音沙汰がありませんでした。

尤も、東武鉄道は車両数に余裕がある限り、調子の悪い編成などを長期間ほったらかしにしておく事例が十年以上前から頻発していましたので、ファンから時折心配される以外は目立つこともなく月日が流れていました。

事故当日から、該当の台車に大きなヒビが見られたことがニュースでも報じられていました。

発表された事故報告書では、その亀裂により軸重のアンバランスが発生、急カーブの中板橋駅の左曲線にて右レールに乗りあがったことを原因としています。

一方で、該当の台車において溶接欠陥・割れ等の不良箇所があり、そこが定期検査での検査対象ではなかったために製造以来見落とされていたことが明らかになっていますが、それが亀裂を生んだと断定には至っていません。

東武鉄道が保有する1,000両分以上にも及ぶ同形式の台車で同一箇所を磁粉探傷(磁粉を付けてブラックライトを当てることで傷や割れ、金属疲労などの症状が出ていないかを確認する作業)する臨時点検が進められましたが、11003Fの他の7つの台車と2,072台車全てにおいて異常は認められませんでした。

また、この亀裂が急速に進行したものではなく、経年で徐々に拡大したものであることや、定期検査では無負荷の状態(車体が載っていない状態)であって表面にヒビが入っていても事故時のように大きく開口していることがなかったことが推測され、見つけることができなかったのではないかという考察がされています。

更に類似形式の他社車両台車を5,500両分程度を対象としたものの、同様の症状は見られませんでした。

以上の経緯から、事故対策としては該当箇所を定期検査項目に追加する、以上の検証が必要ないと判断されて事故調査を終えたものと思われます。

ついに試運転・運用復帰か?

事故調査中は当然証拠物件として現状維持が求められるので、使用できないことは言うまでもありませんが、事故報告書発表後については、おそらく代替の台車を用意していたのでしょう。

その後もしばらくそのままの状態が続いていたものの、2019年(平成31年)に入ってからは久々に10両編成に組成がされ、当該の15003号車については新造品と思われるピカピカの台車が取り付けられました。

事故の主因が製造メーカー側にあったという結論があったとはいえ、何十年も前の台車を同一構造で製造することはなかなか珍しいケースと言えるのではないでしょうか。

編成組成により復活が噂されるなか、2019年(平成31年)3月4日(月)、試運転にて2年10か月ぶりとなる本線走行をすることとなりました

事故からの経過日数から推測するに、今更データ取得等の用事もないことでしょうし、そもそもその必要があれば同一形式の他編成で済むはずです。

翌日に川越工場に入場していますので、検査を終え次第の運用復帰と思われます。

東上線のワンマンを除く編成では9000系列に続く長老である11003号編成。

後輩の修繕も進むなかで、デビュー当時に近い外観でこれからも東上線ユーザーの脚として、東武ファンの注目編成としてこれからも活躍してくれることでしょう。

(50000系列も納車直後の第3編成がコケる事故が検修区構内でありましたが、悪いジンクスが続かないことを祈ります……。)

関連記事はこちら

元ツイート紹介

参考文献:鉄道事故調査報告書・東武鉄道株式会社東上本線中板橋駅構内列車脱線事故(平成30年1月25日)

コメント

  1. 井田外 より:

    数十年前の形式なので(台車のデータがないので)台車の新造に時間が掛かったのか?