常総線のダイヤ改正案 | 京阪大津線の復興研究所

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そのために、京阪線や他社の例も積極的に取り上げます。

「つくばエクスプレス」の開業によって、関東鉄道の常総線沿線から東京方面への所要時間は大幅に短縮されました。その反面、取手で常磐線に乗り換えていた客が守谷乗り換えに移って乗車距離が短くなったり、直接「つくばエクスプレス」の駅へ向かう旅客流動が生まれたりして、全体として常総線の輸送は縮小傾向にあります。

常総市が公表した「関東鉄道常総線再生計画の見直しについて」によれば、2004(平成16)年度に1,145万人だった常総線の利用客は、「つくばエクスプレス」の開業後に減少し、2007(平成19)年度には1,052万人となりました。平均乗車キロも8.11kmから6.98kmに減っています。

 

ただし、単線区間である水海道―下館間に限れば、利用客が95万人から112万人に増えており、「つくばエクスプレス」接続のプラス効果が表れています。

とはいえ、需要の中心が圧倒的に複線区間であることに変わりはありません。その点で不可解なのは、取手に直通する快速が平日上り2本・土休日上り1本のみであり、なおかつ守谷―取手間の各駅に停まることです。

 

利用客の平均乗車キロを伸ばして増収に結び付けるためには、本来はこの区間こそ通過運転をしなければなりません。「上野東京ライン」の開業によって常磐線の地位が上がっていることからしても、見直しは必至です。

水海道―守谷―取手間は複線なので、列車の増発は難しくありません。島式ホーム2面4線の守谷で各駅停車を追い越して緩急接続する代わりに、快速は守谷―取手間ノンストップに変更すべきです。

 

この場合、同区間9.6kmを8分・表定速度72km/hで走ることは十分可能であり、下館―取手間は52分・表定速度59km/hとなります。予備を含めて3本の列車で運行できるので、快速専用車を指定してクロスシート化などを施すこともあり得るでしょう。

常総線の快速のもう一つの課題は本数です。常総市公表の前述の資料でも、水海道―下館間の昼間時の運転本数を現在の毎時2本から3本に増やし、うち1本を快速とすることが提言されています。ただ、そのためには車両の増備が必要となる可能性があり、それが実現しても逆に供給過剰となる公算が大です。

単線区間の快速停車駅と通過駅の乗降人員の格差を考えれば、毎時2本のうち1本を快速、もう1本を取手・守谷と水海道―下館間の各駅に停車する「区間快速」に格上げし、これらと守谷で接続する各駅停車を取手―水海道間に追加するのが妥当です。

 

 

なお、常総線の取手はJRからの連番で7・8番線を名乗っていますが、実態は島式ホーム1面2線であり、同時に2本の列車しか在線できません。時刻表改正案では快速・区間快速・各駅停車の3本が重なって滞留する時間帯があるので、京阪淀屋橋の1・4番線のように中間を信号機で区切って縦列停車できるように改良する必要があります。

 

現在の常総線は1~2両で運転されていますが、取手のホーム有効長は5両分あるので、8番線を区切って9番線を追加することは容易です。

時刻表改正案では、単線区間で快速同士を石下、区間快速同士を下妻、快速と区間快速を中妻・黒子で交換させる想定です。区間快速の全線の所要時間は67分で、上りは快速と合わせてちょうど30分毎に下館を発車するため、JR水戸線と真岡鐵道からの乗り換え客を取り込むことが期待できます。

 

水戸線の下館の1日平均乗降人員は2016(平成28)年で6,636人と常総線を圧倒していますが、今回示した時刻表改正案が実現すれば勢力図が変わる可能性は大いにあります。
 

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