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エトセトラ

2019.02.17

21年ぶりにその閉ざされた扉が開く。

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京成線 旧博物館動物園駅舎
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▲東京国立博物館の脇に佇む京成線の旧博物館動物園駅舎。営業休止から21年の時を経て、内部の一般公開が行なわれることになった

2018年11月23日より、京成線旧博物館動物園駅舎の一般公開が実施されている。1997年3月末に営業休止してから初めてとなる同駅舎の一般公開、私も遅ればせながら2月のある日に見に行ってきたので、その様子をレポートしよう。

旧博物館動物園駅舎の「東京都選定歴史的建造物」選定とリニューアル

1997年に営業を休止し、そのまま2004年に廃止となった京成線博物館動物園駅。昭和8年の駅開業時に建てられた特徴ある駅舎は、廃止以来、何をどうするわけでもなく半ば放置状態となっていた。東京国立博物館の脇にポツリと佇む旧駅舎は、そこだけ時間の進みが止まっていたかのようであった。

そんな博物館動物園駅が再び脚光を浴びることになったのは、2018年4月のこと。旧駅舎が特に景観上重要な歴史的価値をもつ建造物として、「東京都選定歴史的建造物」に選定されることになった。鉄道施設が「東京都選定歴史的建造物」に選定されるのは初めての事例だという。合わせて、旧駅舎のリニューアルを実施。旧駅舎の保存と活用が一気に具体化していった。そして、11月23日より、ついにその内部が一般に公開されることになった。

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京成線 旧博物館動物園駅舎
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▲旧駅舎のリニューアルで外観上最も大きく変わったのが扉。東京藝術大学の美術学部長でありアーティストでもある日比野克彦氏によるデザインは、上野エリアの文化・芸術施設をモチーフとしたもの
旧駅舎の一般公開『アナウサギを追いかけて』

今回の旧博物館動物園駅舎の一般公開は施設を所有する京成電鉄ではなく、上野文化の杜新構想実行委員会とアーツカウンシル東京(公益社団法人東京都歴史文化財団)が主催するアートイベント『アナウサギを追いかけて』として開催されている。東京都美術館や国立西洋美術館、上野の森美術館といった文化施設が集積している土地柄だろうか、鉄道が好きで旧駅舎を見てみたいという人だけでなく芸術が好きな人の関心も集め、公開日は連日大盛況。旧駅舎に入るには当日10時から配布される整理券を必要としているが、特に土日はその整理券がものの10分程度ではけてしまっているそう。

前述のとおり旧駅舎は一般公開に先立ってリニューアルが実施されているが、大部分において休止当時のままの姿がよく残されており、まるで自分がタイムスリップしたかのよう。私としてはこの空間に足を踏み入れるのは初めてで、現役当時の博物館動物園駅を利用したことがなかったので懐かしいとかそういった感情は生まれなかったのだが、写真でよく見た空間に自分がいままさに立っているというのはなんとも不思議な感じである。

一般公開の範囲は、改札へ向かう階段の踊り場までとなっていた。これには、特に旧駅舎そのものを見に来たという人にはいささかの物足りなさが感じられたことだろう。しかし、主催が京成電鉄でないことやそれに伴う保安上の理由を勘案すると今回は致し方ないといったところか。今後も何らかの形で旧駅舎が公開されることはあるだろうから、いずれホーム付近まで立ち入れる機会があることを期待したいものだ。かの有名なペンギンの壁画をぜひとも間近で見てみたい。

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京成線 旧博物館動物園駅舎
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▲入口を入ってすぐのところにアート作品がどどーんと展示。このアナウサギが参加者を旧駅舎の地下空間に誘うという設定
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京成線 旧博物館動物園駅舎
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▲地下へ向かう下り階段。ダンジョンを進んでいくワクワクな感じ
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京成線 旧博物館動物園駅舎
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▲階段を降りたところ、踊り場の様子。数々のアート作品が展示されている
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京成線 旧博物館動物園駅舎
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▲左奥の仕切りの奥にホームに向かう下り階段が続いているが、今回の一般公開で入れるのはここまで
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京成線 旧博物館動物園駅舎
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▲踊り場からその先の下り階段を望む。休止まで使われていた出札窓口と改札口がチラリズム
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京成線 旧博物館動物園駅舎
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▲営業当時に使われていた案内サインがそのまま残る。休止間際に書かれたと思しき落書きが実に泣ける内容

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